先日、BSプレミアムで、渥美清さんの没後20年の
特別番組で、渥美さんの残した俳句とともに
活躍や、渥美さんの心の旅を振り返っていました。
吉永小百合さんがナレーターで、ゆかりのある方が
たくさん出ていらして素敵でした。
寅さんというのは、渥美さんの様々な話を聞いて
生まれた物語なのだと、山田洋二監督が話されていました。
浅丘ルリ子さんも、思い出すだけで涙が出るエピソードを
熱くかたっていました。
まだ、みんなの心に生きているのですね。
とりわけ、俳句が素晴らしく、味わい深いものでした。
没後20年ということで、渥美さんの俳句の本は
品切れが多い中、1冊見つけて取り寄せました。
風天 渥美清の歌
森英介著
大空出版 刊
(参考)webより引用
ひとり遊びなれし子供のシャボン玉
遠くでラジオの相撲西日赤く
コスモスひょろりふたおやもういない
着ぶくれた乞食じっと見ているプール
好きだからつよくぶっつけた雪合戦
マスクのガーゼずれた女や酉の市
赤とんぼじっとしたまま明日どうする
ポトリと言ったような気がする毛虫かな
初めての煙草覚えし隅田川
日暮里の線路工夫や梅雨の朝
金魚屋生れた時から煙草くわえたよう
ひるがをなに思いさくすべてむなしく
鮎塩盛ったまま固くすね
いみもなくふきげんな顔してみる三が日
テレビ消しひとりだった大みそか
村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ
汗濡れし乳房覗かせ手渡すラムネ
毛皮着て靴ふるきはな水の女
いま暗殺されて鍋だけくつくつ
台所誰も居なくて浅利泣く
麦といっしょに首ふって歌唄う
蓋あけたような天で九月かな
朝寝して寝返りうてば昼寝かな
花冷えや我が内と外に君が居て
やわらかく浴衣着る女のび熱かな
おふくろ見にきてるビリになりたくない白い靴
月ふんで三番目まで歌う帰り道
少年の日に帰りたる初蛍
むきあって同じお茶するポリと不良
はえたたき握った馬鹿のひとりごと
貸ふとん運ぶ踊子悲しい
ステテコ女物サンダルのひとパチンコよく入る
秋の野犬ぽつんと日暮れて
冬の蚊もふと愛おしく長く病み
山吹キイロひまわりキイロたくわんキイロで生きるたのしさ
蓑虫こともなげにいきてるふう
雨蛙木々の涙を仰ぎ見る
げじげじにもあるうぬぼれ生きること
草しげり終戦の日遠く飛行雲
天皇が好きで死んだバーちゃん字が読めず
どんぐりのポトリと落ちて帰るかな
お遍路が一列に行く虹の中
花道に降て春雨や音もなく