eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

SCORMがなくなるとき

2007-06-05 11:55:37 | eLearning
eラーニングにおけるLMS(ラーニング・マネージメント・システム)の標準として、SCORMがあります。

SCORMの役割は、企業内に設置されたイントラネット型のLMSにおいて、他社のコースもその上で走らせることができる互換性にあります。A社のLMSを買って、B社のコースも使えるならば、LMS購入企業にとってメリットが大きい。

ところが、現実には、標準化の常として、SCORMで規定される標準の範囲が狭いため、しばしば、C社やD社のSCORM対応のコースがそのままでは、A社のLMS上ではうごかないということがおきています。

その上、時代は、インターネットでeラーニングを受講するASP型に流れており、SCORMの必要性も低下してきました。

SCORM自身も、SCORM2004以降のバージョンは、もう出てこないとみてよいでしょう。

とすれば、最初からわれわれが指摘していたように、いずれ、SCORMは消滅します。

しかし、その消滅は、ある日突然ではありません。いま、その消滅のプロセスがすすんでいるのです。

ところで、SCORMが消滅したら、なにがおきるのでしょうか。おそらく、イントラネット型のLMSは、それぞれまったく互換性がないものとなります。したがって、各社のコースを買ってきて、同じLMSで使うという活用方法はなくなります。

であれば、汎用的なコースは、ほとんどすべてASPで活用されるようになるでしょう。では、各社で用いるカスタマイズされた専用のコースはどうなるのでしょうか。その分野も、SaaS(サース)方式によるLMS活用が広がると思われます。

SCORMに現実性がなく消滅するとき、デファクトがどうなるか、注目されます。つまり、もっとも多数の圧倒的な企業や受講生が利用するLMSはどうなるのかです。




「富では戦士はつくれない」

2007-06-05 09:23:39 | 読書/新聞/映画など
知力は、資力をあつめることができるが、資力は知力をあつめることができるわけではない。

以前、そう書きました。

「戦士で富はつくれるが、富で戦士はつくれない」 ローマでよく言われた言葉だそうです。

(塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック、新潮社、2007年5月20日刊、2000円+税)

現代の戦士は、知識で武装しています。剣はつかわない。

資本主義は、本来、生産手段の独占的な所有を基礎になりたっています。しかし、ITの世界における知的な生産活動において、生産手段は、だれでも入手できる規模になってしまい、独占の対象ではなくなりました。

ここにおいて、とくにIT分野における資本の役割が根本的に変わってきたのです。

したがって、株式公開で莫大な資金力を手にした新興企業も、IT分野でそれを資本として活用する方法があまりないことにもなります。グーグルのようによほどの技術力・知力を結集していれば、さらに本業で資力を活用していくことにもなるのですが。

知力がそれほどでもない新興企業は、安易なM&Aに走り、あるいは、金融分野に手を出したりして失敗します。

現代における知力の宝庫は、中国です。