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オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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パチンコ台の釘打ち工程の謎が解けた話

2023年01月15日 16時31分05秒 | 風営機

パチンコ台には何百本もの釘が打たれていますが、その釘打ち作業はロボットによって自動化されています。まず1985年に刊行された「パチンコ台図鑑(リブロポート刊)」の96ページには、機械が釘を打っている画像が掲載されており、キャプションで「コンピューターによる自動釘打ち機。300本以上の釘を4分で打つことができる。」と説明されています。

「パチンコ台図鑑」P.96に掲載されている画像。釘を機械で打っている。

1台分の釘を打つのに4分と言うことは、1000台の釘を打つには約67時間、24時間操業したとしても3日弱かかることになります。売れる台となれば数万台は生産されるので、その延べ工数は、ロボットを使ったとしても数か月にも及ぶことになります。

現在のロボットはさらに進歩しており、1分間に130本以上の釘を打ち込めます。更に、昨今のパチンコ台の釘は200本前後くらいに減少しているので、1台の釘打ちに要する時間はおよそ1分~1分半程度に短縮されます。

現在の釘打ちロボット。宮山技術研究所のウェブサイトで公開されている動画より。

このように自動化される以前は、どうやって釘を打っていたのでしょうか。ワタシは一昨年の8月の記事「PPフェア2002より昭和のパチンコ(3):終戦直後(昭和20年代)のパチンコ」で、「かねがね不思議なのですが、手作業でパチンコ台を作っていたころ、あの釘も一本一本手で打ち込んでいたのでしょうか。だとすると、打ち込む角度や深さを均等に揃えるのはけっこう熟練を要すると思うのですが、実際のところ、どうなんでしょうか」と述べています。

昭和20年代のパチンコ台製造風景。何人もの女性たちが手にハンマーを持ち、釘を打っているように見える。

これはワタシにとって長年の謎だったのですが、昨年、拙ブログをご高覧くださっている方からお誘いを受けて「パチンコ誕生博物館」(関連記事:【特報】パチンコ誕生博物館オープン(1))を再訪した際、館長の杉山さんにお尋ねしたところ、一つの工具を取り出して見せてくれました。


釘を手で打つための工具とその底面。一見したところ、ヘンなピンセットのよう。

工具先端の内側には、釘を掴むための溝がいくらかの角度をもって刻まれている。

溝で釘を掴んだところ。

工具で挟んだ釘をハンマーでたたき込めば、一定の角度と深さで釘が打ち込めるという仕組み。

なるほど。当然と言えば当然ですが、「オートメーション」なんて概念がまだなかった時代でも、作業を効率化させる専用の工具が開発されていたのでした。それでも1台分の釘を打つのに要する時間は、どんなに熟練した工員であっても1985年当時の機械にすら及ばないことは明らかでしょう。市場規模がまだまだ小さかった時代とは言え、たくさんの人手が必要であったことと思います。

それにしても、釘打ちロボットなんて他の産業への転用もそうそうできないだろうに、ただパチンコだけのためにこれだけ高精度で大規模な機械を作ってしまうのも、よく考えれば驚くべきことです。パチンコが巨大産業に成長した陰には、こんな技術革新があったことに今さらながら気づかされました。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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pachinko tool (caitlyn)
2023-01-16 12:10:22
This is so cool! Thank you for sharing. This would make restoring pachinko machines so much easier.
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Unknown (Liner)
2023-01-17 15:27:31
釘打ち機といえば、昨年、大一商会の公式YouTubeチャンネル「だいいち!」で自社製造工場にカメラが入っていて、当該機器が映されていたかと存じます。
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