日々、思うことをサラサラと。

日頃、イイな、とかおかしいゾ、とかキレイだなと思うことをサラサラと書き出してみたい。

寝ずの番・・・俳優の力量

2011年11月26日 | 映画
先日、立川談志師匠が亡くなられた。
毒舌が冴え、独特のパフォーマンスの豊かな方だった。
好き嫌いを越えて、あのクリアに突き刺さる毒舌が聞けなくなるのは
寂しい。合掌。

落語界をユーモアに描いた作品がこれ↓。

「寝ずの番」2006
監督:マキノ雅彦 原作:中島らも 
出演:中井貴一・笹森高史 岸部一徳 長門裕之
   富士純子 木村佳乃

この豪華な顔ぶれ(私にとって)
中井貴一はすっ呆けた役をさせたら頗る面白いし、笹森・岸部が脇を固めたら敵なし
上方落語界の師匠(長門裕之)が亡くなり弟子たち(中井・笹森・岸部)が
蝋燭・線香を絶やさないように”寝ずの番”をしながら師匠の思い出話をする。
そこは噺家たちの面々、話すことのプロだから内容が巧みで実に面白い。
語られる話に沿って過去の場面が展開されていく。
そこで長門裕之が縦横無尽な演技を繰り広げる
いやー、この上手さに脱帽です(長門さん、亡くなられてからあなたの巧さを
知りました)実弟の監督が長門さんの魅力を最大限に引き出したの
ですね。
話の展開の面白さと俳優陣のこなれた演技が見事ドッキングしてこれは至芸の域では
ないだろうか(中井の唄う場面は必見)下ネタもあるけれどあまりに惚けていて
カラカラ笑えてしまう。センスのいい、こ洒落れた作品です
他に冨士純子も年相応の怪しい色気を出し、木村佳乃も気風がいい。


俳優が監督(マキノ監督=津川雅彦)するというパターンは普段敬遠していたので
レンタルを先延ばしにしていた作品だったが、監督としてのマキノ作品とは
相性が合いそうだ。



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メアリー&マックス・・底にに響くアニメ

2011年11月23日 | 映画
「メアリー&マックス」 2008/オーストラリア 
監督・脚本アダム・エリオット(前作”ハーヴィー・クランペット”)


オーストラリアの少女(8才)とアメリカに住む中年男性との20年に及ぶ文通
を通してそれぞれの人生の機微を描いている。
ブラックユーモアを交えた虚を突くセリフに片時も字幕を見逃せない。
一見、地味に見える画像だが背景の丁寧な小物の創りに温かみを覚える。
静止画に近いような鈍い動きの登場人物・動物たちではあるが(であるからこそ)
その一瞬のキョトンとした表情の中身がとても豊か且つシニカル。
飄々と淡々と描きながら、哀しさ寂しさ懸命さが濃く真摯に伝わってくる。

いじめられ友人のいないメアリーは、話し相手として文通を思いつく。ぶ厚い電話帳
の中から選んだ先はアメリカ在住のマックスだった。彼は肥満体の中年のおじさん。
メアリーの日常のあれこれを関心を持って読み込み質問に丁寧に応える。そして彼もまた日常の細々とした情景や思いをメアリーに伝える。その内容が実にいい。
メアリーの豊かな感受性や意表を突く言葉の例えが新鮮だ。例えば「スプーン裏のような
スベスベした肌・・」などあげたらキリがない

マックスがアスペルガー症候群と呼ばれる症例をもっているということが途中から
明かされる。”途中”から判明したことによって先入観なくマックスの繊細な神経に
感情移入することができた。その彼の目線から眺める平素の人々の生活の方が違和感を
覚えてしまう。



20数年の間、それぞれに様々な出来事が降りかかる。その時そのときの二人の心情を
丁寧に誠実に掬い取っている。日本のアニメでは避けるだろう辛口の切り口だって
しっかり見せてくる。(情感に流されることなく世評に媚びることなく)
この作品は実写ではなくアニメだったからこその力を秘めている。











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ハルの暖かい友だち

2011年11月16日 | 春坊の、その後

寒さを感じる先日からこんな場面をよく見るようになった
犬のデカい頭に頬寄せてるときの可愛いらしさにゾッコン

居心地はどうなのかなぁ?
箱座りのまま丸くなる余裕がないし・・・。
時々、伸び~をして向きを尻方面に変えたりしている。

ちなみにハルの友だちは30数年居住している長老で、偶然、押入れの中から
見つけ出し再登場したら、寒がりの白猫とフレンドリーな仲になったというわけ。
まさか、長い年月を経てこんなふうに役に立つとは。。。。。


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ラストの綺麗な笑顔・・・浅田真央

2011年11月13日 | フィギュアスケート
2011-2012フィギュアグランプリシリーズ
NHK杯フリーの浅田真央ちゃんの演技は実に素晴らしかった。
最初のジャンプまではハラハラだったが、その後はジャンプの出来など
どうでもよくなった。
ただ、ただその綺麗なスケーティングに見惚れてしまった
真央ちゃんキャラによく合った曲の選定・振り付けだった。
しなやかに伸びた長い手足を存分に活かし、美しい曲線を宙に氷上に描いていく。
細長くしなやかなし肢体の持ち主だから、こういう振り付けはピタリと真央ちゃん
に嵌る。放った手足がどこまでも延長していきそうな伸びやかさを感じる。
 
(画像が不鮮明なのでズームしないで見てくださいね
あくまで軽く柔らかく・・ジャンプさえ力みが感じられないほどふわりと跳んだ。

じわじわと目が熱くなってくるような優しく綺麗な滑りに5~6年前のシーンに
記憶がリンクした。お姉さんの舞さんの滑りだ。あのとき、目の前を柔らかく
舞う舞さんのスケーティングにいつの間にかジュワリときていた。あぁ、舞さんに
真央ちゃんのジャンプが欲しい。と無謀な思いを当時は描いていた。
それが時を経てここに、叶った。真央ちゃんが、しなやかな演技力を身につけて、
ムリとか根性とか強張りのようなものを払い除け、ふわりと真駒内のリンクに着地した。
ラストの充実感のある綺麗な笑顔はそうそう見られるものではない。本当に輝くばかり
の綺麗な笑顔でした


正直、ここまで美しくスローな曲を踊りこなせるとは思っていなかった。
”2011.05.01”に拙ブログでコメントした記事は嬉しい気持ちを込めて
撤回します。。。素敵になったね、真央ちゃん

祝1位、鈴木明子さん
会心のSPでした。長いスケート人生の中で初めてトリプル・トリプルを決めたと
いうことで満面の笑顔でピョンピョン飛びはね喜ぶあなたの素直さがとても好きです。
柔軟な心・強い意志をヒシヒシと感じた瞬間だった。

鈴木さん、真央ちゃん共に、今”心技一体”を具現しているかのような演技に魅了
された。
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犯罪・・・事実は小説より奇なり、と言うけれど。

2011年11月12日 | 美術展・本
「犯罪」 フェルディナント・フォン。シーラッハ

弁護士でもある作者が、実際にあった奇異な事件を題材に編んだ短編11篇。
(ドイツでベストセラーとなり、数々の賞を受賞)

”事件”となると個々の事情が背景に色濃く反映し、どの事件を取り上げても
深い関心をもって読める。
人の善意から発生し各人の気持ちが複雑に絡み合い、そして偶然のいたずらに
翻弄されてしまった被告人たちの事情があぶりだされる。
その筆致のごとく、冷静で鋭い観察眼の元で被告人の不利な立場が覆される立
証の過程が人間味があり且つスリリングだ。
鮮やかなノンフィクションの凄みが伝わってくる。
(「チェロ」が殊に印象深い)


世の中、冤罪がどれほど多いことかという思いに囚われゾっとする。
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