・・・・・(3)より続き。
「パパは出張中!」 1985/ユーゴスラビア
監督エミール・クスロリッツァ 脚本アブドゥラフ・シドラン
出演モレノ・デバルトリ ミキ・マノイロヴィッチ
1952.07.22以前のサラエボ。出張と称しパパは刑に服すため遠隔地に労働に出される。
政治問題が難しい世情で浮気相手の女性の画策にパパが嵌められたのである。
このパパ一家の下の息子マルクを軸に話は紡がれる。浮気性ではあるが妻子への愛情が深いパパと冷静で情の深い綺麗なママとの間で大事に育ったマルク。この子が健やかで逞しい。この無意識の逞しさは最強だ。この子のキャラクターが全編に渡って作品に効いてくる。マルクの真っ直ぐな観察眼、恐れを知らない無垢、いたずら心が、大人の事情や厄介な社会情勢を分かりやすく深く伝える効果を出している。秀作です。
「ブラック・スワン」 2011/アメリカ
本年度のアカデミー賞を獲得しているので内容はパス。
ラストの舞台は圧巻。ドカーンと音響が劇的な結末を予測させ予想どうりの映像がやってくる。ナタリー・ポートマンは好評価どうりの演技。リリー役のミラ・クニスが気になる存在。プロポーションがコンパクトに綺麗に整っていて、レッスン着で踊る彼女のシーンがとても素敵だった。
(残念ながらその画像がない)
”鳥”嫌いの私にはブツブツの鳥肌から芽生えてくる幼毛が怖かった。
「マンモス 世界最大のSMSを創った男」 2009/スウェーデン
妻:ミシェル・ウィリアムズ
タイトルイメージからはかけ離れた場面で好きな作品。
SNSを考案し、期せずして大富豪になった夫と外科医の妻。二人の間にはこよなく愛情を注ぐ可愛い娘がいるが、妻は仕事が忙しく娘と一緒にいる時間がままならない。娘の気持ちが自分から離れていくことが寂しい。娘はフィリピンからの出稼ぎのシッターによく馴染み、シッターも子どもにとって良好な人物。シッターは国に子どもを残し気がかりであるが生活を支えるために一緒に暮せない。それぞれの女性の杞憂を丁寧に掬い取っている。主役である夫の有り様より、こちらの女性たちの描かれ方が勝っていて意外な秀作だった。
「英国王のスピーチ」 2011/イギリス
話題をさらった作品ですね。イギリスという国はこんなにも国王のスピーチを大事に聞く国なんだなと新たに感じ入る。と、同時にスピーチの内容の豊かなこと。吃音の国王と指導者との間のトレーニング風景や演説本番の廻りの緊張などを上質のユーモアを交えて伝えてくる。イギリスという国は王室のこんな日常のトラブルを公にあっけらかんと出してくる。ダイアナ妃とエリザベス女王の葛藤も映画に仕上げてくるし、寛容?というかこの国の緩さの加減が分からない。閉ざされているよりはずっと良いけれど。
コリン・ファース&ジェフリー・ラッシュ&ジェニファー・イーリーと上手い役者を揃えている。
「カケラ」
”満縞ひかり”が光を放っている、と噂を聞きレンタル。
確かに異彩を放っている。このカメラに動じない目線、媚びない演技、何でもやってやるゾというような秘めた度胸の良さを感じる。楽しみな人出現!!
リコ役の中村映里子も雰囲気好きだな。
「やかまし村の子どもたち」 1986/スウェーデン
シリーズで何度も見ている作品。それそれの季節の田舎の風景、大らかな農村の暮らしぶりと子どもたちの日常の生活が色彩豊かに描かれている。
「ブーリン家の姉妹」 2008/イギリス
ナタリー・ポートマン スカーレット・ヨハンソン
ヘンリー王の世継ぎを巡っての画策に巻き込まれた美貌の姉妹。頭脳明晰・硬質の美貌の姉(ナタリー・ポートマン)と対照的に柔らかな包容力を備えた妹(ヨハンソン)のその性格ゆえの明暗を描く。
頭脳明晰な女はその才能を表に出してはいけません。誇り高い男には尚更・・。
硬と軟、ピッタリのキャストだったと思う。
「アバター」 2009/アメリカ
残念なことに劇場で見逃してしまった。
アバターの大きな伸びやかな肢体、そこから繰り出す優雅な動作、落ち着いた眼差しに心魅かれる。脳内にリンクして体は異性人を借りるという奇想に驚く。大画面で観たかったな、やっぱり。
「空中庭園」 2005
小泉今日子 鈴木杏 角田光代原作
原作が良かったのでトライ。いつも笑顔でオープンな家庭のママ(小泉)、夫も娘(鈴木杏)も息子も”それなり”に平穏無事に世渡りしているかに見える。折り目正しい張り付いたような笑顔の裏の空虚。一皮剥けば各人危ない展開となりそうなものを抱えているのだけど一見飄々と痛みを隠している。というか、気付かないフリをしているのだ。
そこに善悪ごちゃまぜな祖母(大楠道代)がかき混ぜ役として登場する。この祖母役の大楠道代の存在感が際立つ(凄く上手い) 真摯なブラックコメディ、とでも言おうか。程度の差はあれど特別な家庭ではないというところが怖い。”空中庭園”上手いタイトルだなと思う。たった4文字でストーリーの全部を語っている。
「ボビーとディンガン」 2005/オーストラリア
監督:ピーター・カッタネオ{フルモンティ} 原作:ベン・ライスの同名小説の映画化
お気に入りの作品。オーストラリアの田舎町。豊かではないが優しい両親と兄と暮す少女には空想癖があった。両親は辛抱強く慈しみをもって少女に対応するが兄は少々胡散臭く感じてしまうときもある。ある日、空想の中での友人”ボビーとディンガン”が行方不明となる。大事な友人を亡くした少女は日々衰弱していく。見かねた家族が対処するために出かけた先でとんでもない誤解を町民から受けてしまうことになるのだが・・ラストでそれは綺麗な結末となって収束していく。少女の”想像の友人たち”のための葬式に参列してくれる人々。衰弱した少女を救うために誰も騒がずひっそりと集まってきてくれた。それは厳かで綺麗な光景だった。
お兄ちゃん役のアシュモル君が実に良い
↑は採掘した鉱石をカットする場面。
「オパールはどれも違う?」
「どのオパールにも隠れた顔がありベールを取る(カットする)のを待っている。
緑と紫の輝きが見えるだろ?どうカットすべきか数週間考えた」
・・そして見事なカット技術で現われた美しいオパール!
「ナイト・オン・ザ・プラネット」 1991/アメリカ
出演:ウィノナ・ライダー ジーナ・ローランズ
各地のタクシードライバーと客との寸劇的ストーリー。タクシードライバーはそれぞれ主役級の名優揃いだ。各自の生活事情を反映しそれぞれ個性的な展開。ヘルシンキ編(ウィノナ・ライダー)が印象深い。人の心の移り変わりをジーナ・ローランズとの僅かな時間の関わりの中で見事に表現している。
年を経てからのジーナ・ローランズの出演作はドシンと響いてくることが多い。
他に「グロリア」
「私の中のもうひとりの私」
が好きだ。
その他
○「四川のうた」中国
○「牛の鈴音」韓国
○「エイミー」1997/オーストラリア
○「そしてデブノーの森へ」 2004/フランス
「パパは出張中!」 1985/ユーゴスラビア
監督エミール・クスロリッツァ 脚本アブドゥラフ・シドラン
出演モレノ・デバルトリ ミキ・マノイロヴィッチ
1952.07.22以前のサラエボ。出張と称しパパは刑に服すため遠隔地に労働に出される。
政治問題が難しい世情で浮気相手の女性の画策にパパが嵌められたのである。
このパパ一家の下の息子マルクを軸に話は紡がれる。浮気性ではあるが妻子への愛情が深いパパと冷静で情の深い綺麗なママとの間で大事に育ったマルク。この子が健やかで逞しい。この無意識の逞しさは最強だ。この子のキャラクターが全編に渡って作品に効いてくる。マルクの真っ直ぐな観察眼、恐れを知らない無垢、いたずら心が、大人の事情や厄介な社会情勢を分かりやすく深く伝える効果を出している。秀作です。
「ブラック・スワン」 2011/アメリカ
本年度のアカデミー賞を獲得しているので内容はパス。
ラストの舞台は圧巻。ドカーンと音響が劇的な結末を予測させ予想どうりの映像がやってくる。ナタリー・ポートマンは好評価どうりの演技。リリー役のミラ・クニスが気になる存在。プロポーションがコンパクトに綺麗に整っていて、レッスン着で踊る彼女のシーンがとても素敵だった。
(残念ながらその画像がない)
”鳥”嫌いの私にはブツブツの鳥肌から芽生えてくる幼毛が怖かった。
「マンモス 世界最大のSMSを創った男」 2009/スウェーデン
妻:ミシェル・ウィリアムズ
タイトルイメージからはかけ離れた場面で好きな作品。
SNSを考案し、期せずして大富豪になった夫と外科医の妻。二人の間にはこよなく愛情を注ぐ可愛い娘がいるが、妻は仕事が忙しく娘と一緒にいる時間がままならない。娘の気持ちが自分から離れていくことが寂しい。娘はフィリピンからの出稼ぎのシッターによく馴染み、シッターも子どもにとって良好な人物。シッターは国に子どもを残し気がかりであるが生活を支えるために一緒に暮せない。それぞれの女性の杞憂を丁寧に掬い取っている。主役である夫の有り様より、こちらの女性たちの描かれ方が勝っていて意外な秀作だった。
「英国王のスピーチ」 2011/イギリス
話題をさらった作品ですね。イギリスという国はこんなにも国王のスピーチを大事に聞く国なんだなと新たに感じ入る。と、同時にスピーチの内容の豊かなこと。吃音の国王と指導者との間のトレーニング風景や演説本番の廻りの緊張などを上質のユーモアを交えて伝えてくる。イギリスという国は王室のこんな日常のトラブルを公にあっけらかんと出してくる。ダイアナ妃とエリザベス女王の葛藤も映画に仕上げてくるし、寛容?というかこの国の緩さの加減が分からない。閉ざされているよりはずっと良いけれど。
コリン・ファース&ジェフリー・ラッシュ&ジェニファー・イーリーと上手い役者を揃えている。
「カケラ」
”満縞ひかり”が光を放っている、と噂を聞きレンタル。
確かに異彩を放っている。このカメラに動じない目線、媚びない演技、何でもやってやるゾというような秘めた度胸の良さを感じる。楽しみな人出現!!
リコ役の中村映里子も雰囲気好きだな。
「やかまし村の子どもたち」 1986/スウェーデン
シリーズで何度も見ている作品。それそれの季節の田舎の風景、大らかな農村の暮らしぶりと子どもたちの日常の生活が色彩豊かに描かれている。
「ブーリン家の姉妹」 2008/イギリス
ナタリー・ポートマン スカーレット・ヨハンソン
ヘンリー王の世継ぎを巡っての画策に巻き込まれた美貌の姉妹。頭脳明晰・硬質の美貌の姉(ナタリー・ポートマン)と対照的に柔らかな包容力を備えた妹(ヨハンソン)のその性格ゆえの明暗を描く。
頭脳明晰な女はその才能を表に出してはいけません。誇り高い男には尚更・・。
硬と軟、ピッタリのキャストだったと思う。
「アバター」 2009/アメリカ
残念なことに劇場で見逃してしまった。
アバターの大きな伸びやかな肢体、そこから繰り出す優雅な動作、落ち着いた眼差しに心魅かれる。脳内にリンクして体は異性人を借りるという奇想に驚く。大画面で観たかったな、やっぱり。
「空中庭園」 2005
小泉今日子 鈴木杏 角田光代原作
原作が良かったのでトライ。いつも笑顔でオープンな家庭のママ(小泉)、夫も娘(鈴木杏)も息子も”それなり”に平穏無事に世渡りしているかに見える。折り目正しい張り付いたような笑顔の裏の空虚。一皮剥けば各人危ない展開となりそうなものを抱えているのだけど一見飄々と痛みを隠している。というか、気付かないフリをしているのだ。
そこに善悪ごちゃまぜな祖母(大楠道代)がかき混ぜ役として登場する。この祖母役の大楠道代の存在感が際立つ(凄く上手い) 真摯なブラックコメディ、とでも言おうか。程度の差はあれど特別な家庭ではないというところが怖い。”空中庭園”上手いタイトルだなと思う。たった4文字でストーリーの全部を語っている。
「ボビーとディンガン」 2005/オーストラリア
監督:ピーター・カッタネオ{フルモンティ} 原作:ベン・ライスの同名小説の映画化
お気に入りの作品。オーストラリアの田舎町。豊かではないが優しい両親と兄と暮す少女には空想癖があった。両親は辛抱強く慈しみをもって少女に対応するが兄は少々胡散臭く感じてしまうときもある。ある日、空想の中での友人”ボビーとディンガン”が行方不明となる。大事な友人を亡くした少女は日々衰弱していく。見かねた家族が対処するために出かけた先でとんでもない誤解を町民から受けてしまうことになるのだが・・ラストでそれは綺麗な結末となって収束していく。少女の”想像の友人たち”のための葬式に参列してくれる人々。衰弱した少女を救うために誰も騒がずひっそりと集まってきてくれた。それは厳かで綺麗な光景だった。
お兄ちゃん役のアシュモル君が実に良い
↑は採掘した鉱石をカットする場面。
「オパールはどれも違う?」
「どのオパールにも隠れた顔がありベールを取る(カットする)のを待っている。
緑と紫の輝きが見えるだろ?どうカットすべきか数週間考えた」
・・そして見事なカット技術で現われた美しいオパール!
「ナイト・オン・ザ・プラネット」 1991/アメリカ
出演:ウィノナ・ライダー ジーナ・ローランズ
各地のタクシードライバーと客との寸劇的ストーリー。タクシードライバーはそれぞれ主役級の名優揃いだ。各自の生活事情を反映しそれぞれ個性的な展開。ヘルシンキ編(ウィノナ・ライダー)が印象深い。人の心の移り変わりをジーナ・ローランズとの僅かな時間の関わりの中で見事に表現している。
年を経てからのジーナ・ローランズの出演作はドシンと響いてくることが多い。
他に「グロリア」
「私の中のもうひとりの私」
が好きだ。
その他
○「四川のうた」中国
○「牛の鈴音」韓国
○「エイミー」1997/オーストラリア
○「そしてデブノーの森へ」 2004/フランス