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メアリー&マックス・・底にに響くアニメ

2011年11月23日 | 映画
「メアリー&マックス」 2008/オーストラリア 
監督・脚本アダム・エリオット(前作”ハーヴィー・クランペット”)


オーストラリアの少女(8才)とアメリカに住む中年男性との20年に及ぶ文通
を通してそれぞれの人生の機微を描いている。
ブラックユーモアを交えた虚を突くセリフに片時も字幕を見逃せない。
一見、地味に見える画像だが背景の丁寧な小物の創りに温かみを覚える。
静止画に近いような鈍い動きの登場人物・動物たちではあるが(であるからこそ)
その一瞬のキョトンとした表情の中身がとても豊か且つシニカル。
飄々と淡々と描きながら、哀しさ寂しさ懸命さが濃く真摯に伝わってくる。

いじめられ友人のいないメアリーは、話し相手として文通を思いつく。ぶ厚い電話帳
の中から選んだ先はアメリカ在住のマックスだった。彼は肥満体の中年のおじさん。
メアリーの日常のあれこれを関心を持って読み込み質問に丁寧に応える。そして彼もまた日常の細々とした情景や思いをメアリーに伝える。その内容が実にいい。
メアリーの豊かな感受性や意表を突く言葉の例えが新鮮だ。例えば「スプーン裏のような
スベスベした肌・・」などあげたらキリがない

マックスがアスペルガー症候群と呼ばれる症例をもっているということが途中から
明かされる。”途中”から判明したことによって先入観なくマックスの繊細な神経に
感情移入することができた。その彼の目線から眺める平素の人々の生活の方が違和感を
覚えてしまう。



20数年の間、それぞれに様々な出来事が降りかかる。その時そのときの二人の心情を
丁寧に誠実に掬い取っている。日本のアニメでは避けるだろう辛口の切り口だって
しっかり見せてくる。(情感に流されることなく世評に媚びることなく)
この作品は実写ではなくアニメだったからこその力を秘めている。











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