書籍
ミステリー小説「湖の男」アーナルディル・インドリダソン 2017年発行(東京創元社)
アイスランド近郊の干上がった湖底で骸骨となった遺体が発見された。複雑に入り組んだ行程を辿っていくと
1950年代にアイスランドから東ドイツに留学した学生たちの過酷だった事情が浮かんでくる。
当時の東西冷戦下、国内外にスパイが暗躍し、学生間の密告を促していた。友人同士の裏切り、誰を信じたらいいのか・・・。
正直、読み始めは敬遠しそうになった。この手の政治的な背景は今はパスしたいなと。
ところがそこをちょっと我慢して読み進めると、どんどんのめり込んでしまう。
当時の社会主義国・東ドイツの政治的な思想・背景が丁寧に描かれ、愛した人を連行され一途にずっと待ち続けた青年が辿った年月、
捜査する刑事たちの私的な事情も絡めながら見事な筆力で一気に読ませる。
と、読み終わったところで夕刊を開いたら映画紹介欄にて
「僕たちは希望という名の列車に乗った」(公開中)が載っていた。
舞台はやはり東西冷戦下の東ドイツ。”国家を敵に回してしまった若者たちの実話を基にした青春映画。社会主義国家・東ドイツでは
当局の厳しい調査が始まり、仲間を密告してエリートコースを歩むか良心を貫いて将来を棒に振るか”と紹介文にある。
もう一つ、近くのミニシアターの公開予定作品を閲覧していたら、
「希望の灯り」5/25公開~を発見。
舞台は
東ドイツのライプツィヒ近郊 そこの巨大スーパーで働く従業員たちの普通の日常を描いていると
コメントされている(上記で読んだ本の留学生たちが住んでいた街だ)
これは観たい。
この
同じ日に3作の似た作品の巡り合わせに本当に驚いた。