映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「ミステリと言う勿れ」

2023年09月19日 | サスペンス映画

田村由美さんの同名漫画を原作とするドラマシリーズ初映画。
比較的初期のエピソードである広島編。
展覧会鑑賞のために広島に来た学生、久能は
突然見知らぬ少女に声を掛けられ、強引に彼女の家に連れてこられる。
資産家である彼女の一族は、代替わりのたびに遺産を巡って争いが起こり、
死者が出るという話だが…というあらすじ。

なかなか上手くまとまっていて映画向きのお話なので面白かったです。
菅田将暉さんの久能くんの喋り、独特で好きだ。

ラストまでばれ

あの一点透視の続きの間が出てくると
「旧野﨑家住宅……」って分かるようになってきました。
最近ドラマ版犬神家で使われたばかりです。
ちなみに倉のガワは旧井上家住宅のもの。
野﨑家の倉は敷地の中央に連なって立ってるもんね。
久能くんの泊った部屋は旧野﨑家のようです。

この話の犯人(の構造)はたぶん横溝の例のあれがモデルだろうし、
旧家の相続だし、ロケ地がかぶってるし、探偵役の頭はモジャだし
なんか思ったより金田一感がありました。
うーんでもこの話の優れているところは登場人物の圧倒的まっとうさと、
終わった後の圧倒的さわやかさ。いい話だった。

原作、ドラマ鑑賞組への目くばせもちょっとありましたが、
池本の原作リスペクト舌ぺろでなぜか笑いが起こって、
「そこで笑うのか…!」という新鮮な驚きを得た。

やっぱりシーズン2あるんですかね。

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「グランツーリスモ」

2023年09月18日 | 実話系
ニール・ブロムカンプ監督
同名のプレステ用シミュレーションゲームで高得点を出したプレーヤーを
リアルにプロのレーシングドライバーにする企画「GTアカデミー」で
見事な結果を出したヤン・マーデンボローを映画化。
アカデミーはニッサンとソニー出資なのでチラチラ日本が出てきます。

ゲーム好きの普通の若者をF1マシンに乗せようというのがthe狂気!という感じで
始終ハラハラしていました。迫力があって分かりやすく、面白かったが
しかし心臓に悪かった。

オーランド・ブルーム演じる企画者がすごく山師っぽく、
「昨今車は移動手段に成り下がって誰も夢を持たなくなったので、
車に対するワクワクを取り戻したい…」てきな演説、
内容はそ、そんなバカな……!なんですけど、
話ぶりが上手いので金を引き出せちゃうのはなんとなく分かる。

内容ばれ

ドライビングテクニックとコースの把握だけでは如何ともしがたい
加速の際の体への負荷や、プレッシャー、
マネーパワーでやってきたゲーマーに対するメカニックの反発とか
色々予測可能だったでしょうに…山師はえげつないことをする。

ニュルブルクリンクのところはヒエ…ってなった。
創作だといいなと思いながら帰って調べたが
実際にあった事故で、現実はル・マンの後だった。残酷だ。

ツンデレ師匠と弟子の感激ものというのが筋のうちの1つだが、
歪なところがどこにもなく健全で(登場人物みな素直でよく泣く)、
途中で本当にニール・ブロムカンプ監督作品なのか
またなにか勘違いしてたかなと不安になった。
(ところで意地悪ボンが言った「あんたの居場所は車の下だ」は
正確には「俺の車の下だ」だと思う)

戦闘機乗りの話で、「身長が高いと加速で気絶しやすい」みたいなの、
昔読んだ気がするけど、今の技術だと問題ないのかな?

気になった日本語の変な看板。
「岩の家」「のり」



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「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」

2023年09月18日 | サスペンス映画

ケネス・ブラナー監督・主演の映画エルキュール・ポアロシリーズ3作目。
引退してベネチアで隠遁生活を送っていたポアロのところへ
旧友の推理小説作家が訪れ、
どうしてもトリックを見破れない霊媒師の、
降霊会に参加してほしいと依頼する…というあらすじ。

今回ミステリーというよりクラシックホラーだった。
画面は相変わらずギンギンに凝ってる。

ラストまでばれ

「ハロウィーン・パーティ」が原作らしいのだが
95%くらい内容が違う。
共通点はアリアドニ・オリヴァをきっかけとして事件に巻き込まれるのと
あと登場人物の名前と、アップル・ホビングくらい…。
私は実写化されるならケネス・ブラナーの撮った
美しい沈床庭園が見てみたかった。
しかし原作のビッグタイトルがまだまだ残ってるのに
なぜ「ハロウィーン・パーティ」?しかも内容の全然違う?

良かったところは画の美しさ。
ベネチアのお屋敷の屋上にある小さな花畑。
ポアロさんの家の屋上のテーブルセット。
ワヤンクリっぽい孤児院の影絵。
特にアリシアの部屋が美しかった。
降霊会のシーンは真上からのショットをまじえつつ
目まぐるしいカメラの切り替えで緊迫感があった。

ミステリとしてはあまり評価しない。
密室トリックが…もうちょっとあるだろ何か!
あと原作だとアリアドニ・オリヴァは普通に友達なのだが
この映画では嫌な性格に改悪されていますね?
シリーズを持っている探偵役で、ファンも多いと思いますが…。

カトリーヌの話(オリジナル)を引っ張り続けている。
やっぱりラストは「カーテン」くるのか?





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「ドラキュラ デメテル号最期の航海」

2023年09月11日 | ホラー映画

ブラム・ストーカーの小説においてちょっぴりだけ描写のあった
ドラキュラ伯爵の移動を膨らませて映画化したホラー。
原作に名前が出ている人にオリジナルメンバーをちょい足し。

昨今珍しいクラシックから逸脱しないホラーですが、
設定無視の箇所も多く、
原作原理主義のかたむけではない。
あと結末は分かっているので、ハラハラ要素は削がれるかも。

犬の残虐な死体あり注意。

内容ばれ

水のうえを渡れないという設定のはずだが(運搬されるのはOK)
救命ボートを追うために、めちゃ飛んでた。
あと人間の言葉をオウム返しに繰り返してるけど(アナイアレイションのあれ的な)
知能はどうなん…?

最後の方、主人公が死んでいる人を順番に確認に行くよ!
みたいになっちゃってて、ちょっと愉快だった。

おじいちゃん船長から孫への愛や、
副船長から船長へのリスペクト、
差別階級の船医の矜持の話、
船医と女の、恋愛関係ではない共感などはよかったです。




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「オオカミの家」(同時上映「骨」)

2023年09月10日 | アニメ映画
チリのアーティスト、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによるアニメーション。
チリ南部にある相互扶助団体から逃げ出した少女が豚2匹とともに
小屋に隠れ住むが、豚は人間に姿を変え、
やがて彼等の生活は恐ろしいものに変容していくというあらすじ。
アニメーションというと紙に描いた絵を動かして連続性をもたせたものが普通だが、
このアニメは四角い部屋に描かれた絵を動かし、時に立体になり、
ストップモーションアニメ風になり、他に似たもののない映像です。

このアニメに出てくる相互扶助団体はチリに実際あったコロニア・ディグニダがモデルとなっている。
ドイツ人の元ナチス党員でサディスト・小児性愛加虐者のパウル・シェーファーが
ドイツを追われ、チリで土地を開墾して作った宗教施設です。
パウル・シェーファーは家庭に事情のある子らを集め、
幼い少年たちを夜ごと弄び、周辺住民や実業家を懐柔し、
時の軍事政権と結びつき、思想犯の拷問や洗脳も任されるようになります。
脱走した子供や、被害を受けた大人が何度も訴えるのですが黙殺されます。

内容ばれ

すごく悪夢っぽい映像だった。
膨張し、収縮し、腐敗に似た崩壊をして
頻繁に形を変える肉体、
壁を這いまわる二次元の虫たち、
幻覚のように動く家具。
体裁としてはくだんの宗教団体の作った啓蒙アニメという設定なのだが、
子供が見たらまあ泣いちゃうだろうな…。

途中子守歌を歌うシーンがあるのだが、
そこでガクッと寝てしまった。
寝ないように用心していたがそれでも寝た。
(歌が終了したら起きました)
「眠りの精」が流れたらボールペンで太ももを刺すんだ…。

「お前も世話してやろうか」
が最高に怖い。

長年コロニアとその後継組織を守護してきた弁護士が、
2022年に人権大臣を引退したそうなので、
今後は告発作品が増えるかもしれません。

「骨」は、最初ドリーミンな映像だったが、
バラバラの骨にバラバラのまま肉がついて、
わりかしリアルな顔が載ったところはちょっとホラーだった。






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