映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「バーナデット ママは行方不明」

2023年09月25日 | 人情系

真面目に主婦業をやっていた、 少し変わった性格の女性が、
隣人とのトラブルをきっかけに突然何もかもを投げ出して
南極に向けて旅立つハートフルコメディだと思っていたが、
かなり違って、若くして業界の注目と期待の的だった天才建築家が、
現在は主婦業をやっており、
天才特有の社会性の欠落からトラブルを起こし、
それでも彼女なりに必死に家族へ愛を向けようとした結果…という話だった。

類型としては 「破天荒な天才話」。
でも男性主役の天才話と、 女性主役の天才話は展開が違って面白い。
「TAR」 も破天荒な天才話ですが、
全然違う人に見えるので演じ分けがすごい。
そしてエキセントリックな女性が何事かを成し遂げる話という事で
「ロスト・キング」とフォルダが同じ映画ともいえますが、
どちらも配偶者の夫が超超いいひと。
(破天荒男性主役の癒し系妻or彼女ちゃんの男性版ですね)
同時に母と娘の物語でもあります。
(破天荒父話には彼をリスペクトする息子くんが付いてくることも多いですが、 反転版だ)

ラストまでばれ

タイトルと内容紹介が少しミスディレクション気味に感じられるが
昔はすごかった変わり者のママの自分探しの物語ではない。
でもまあ普通の身近な存在の女性主役でないと集客できないというのは分かるし、
その読みは多分正しい。

まず彼女は天才で、 そんな彼女が創造をせずに普通の暮らしを送るのは、
スーパーカーが自転車と並走するようなもの。
そして彼女は重度の鬱病で自殺の危険があるという疑いがかけられますが、
精神科医は普通の人間の精神には詳しくても、おそらく天才の精神のプロではない。
天才のスランプが、 鬱病の症状と酷似している可能性があるのでは?
あと鬱病や双極性障害は、普通の人間が健康的に過ごし、
毎日労働し周囲とコミュニケーションをとるのには障害となるが、
天才が創造性を発揮するには不可欠なプロセスなので治療は不要では。
(当人が健康と長寿と交流を犠牲にしても創造したい場合に限るけど)

ラストのバーナデッドがパワーに満ち、 全開の笑顔だったので
私は長期スランプだった説をとりますけども。

今の南極の基地ってあんなAT-ATみたいなデザイン?って調べたけど
英国の研究基地ハリーVIで、デザインコンぺで勝利した
ヒュー・ブロートン建築事務所のアイディアのようです。
すごく画期的でスーパークールなデザインらしい。
しかしよく風圧で転倒しないな。



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「ロスト・キング 500年越しの運命」

2023年09月25日 | 実話系

持病があり、能力を発揮できず苦悩する女性が、
あるきっかけで リチャード三世にシンパシィを持つようになり、
醜い姿と残虐性を持つ簒奪者という彼の悪評を
否定したいという願いを持つようになる。
彼女は 「川に流された」 という伝承のある王の遺体を
捜索するプロジェクトを立ち上げるが…というあらすじ。

実話が元になっています。
持病があって、情緒不安定な中年女性主人公の、
可哀そうなお話ではなく何事かを成し遂げる話というのは珍しい。
(男性におけるアカンタレが偉業を成し遂げる系統にあたると思います)
主人公の情緒不安定をサリー・ホーキンスさんが名演しているので
こちらもすごく不安になった。
熱中することのある女性にとっては楽しい映画。
特定のタイプの男性鑑賞者はもしかするとイラっとするかも。

ラストまでばれ

それにしても500年以上前に死んだ人の、
行方の分からない遺体が見つかるのはすごいことだ。
さすがに映画向けに脚色してあって、あの駐車場にあるのではないかと
論じた人は複数人おられたようだけども、
あの「R」のマークにインスピレーションを得たのは実際あった出来事らしい。

主人公の情緒不安定、
2人の子供の養育と2軒の家を維持するためにも、
別れた夫と主人公で2人分の収入を維持する必要があるのに、
2週間仕事を休んでいる事も、
研修だと嘘をついて推しのために遠征していたことも内緒にしていた主人公に対し
説明を求めている元夫に、
自分の感情の話を一生懸命する主人公のシーン、脂汗が出た (共感性羞恥心かも)。
ある種の人は自分の感情を説明するのにいっぱいいっぱいになり、
その場で自分に開示要求されている情報がどういう種類のものなのか認識できなくなってしまう。
そしてそういうタイプは女性に多いとされている。
そのあとで、「感情の話はしないほうがいい」と別の女性からアドバイスされるシーンがあり、
教訓的なシークエンスだったのか…?と思った。
脚本を書いたかたが夫役もされている。

発掘の費用が3万5千ポンドで、「足りる!?」と驚いた。
油圧ショベル含む機材のレンタル、アスファルト撤去&再舗装、
廃棄物の処分、スタッフの日当、 代換駐車場代……
思わず価格と期間を調べて試算してしまったわ。

大学がちょい悪めに描かれている。
あの、何も貢献してないのに結果が出たとたん前にグイグイ出てくる人物の
世界共通の声のでかさよ。
実際のラングリーさんはもうちょっとガッツのあるタイプに見える。
2012年からヘンリー1世捜索プロジェクトを立ち上げなさったらしい。






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「ジョン・ウィック コンセクエンス」

2023年09月25日 | バトル映画

伝説となるほどの凄腕の殺し屋の
孤独な闘争を描いたシリーズ4作目。
無口で孤高のイメージのあるジョンですが
シリーズ通してお友達多すぎ!みなジョンのこと好きすぎ!
殺し屋とかにならずに保険の勧誘員をやればよかったのに!

連合のあらたな有力者となった侯爵により、
執拗に追われ、協力者にも危害の及んだジョン・ウィックは
古来のしきたりに則った、ある方法で反撃を試みる…というあらすじ。

起承転結とかはほんの少しで、
ともかくジョンがずーーーーっと人を殺しているという希少な映画。
色々な言語、色々な訛りの英語が飛び交います。今回は日本語も。
ドニー・イェン氏、真田広之氏が参戦ということで、
なんとジョンを合わせて3人、仲良しだったっぽい。なんだってー!

犬が車と当たったり、叩かれたりするシーンがあります。
苦手な人注意。
痛いシーンや血もまあそれなりに。

エンドロール後に1シーンあり。

ラストまでばれ

ジョンの墓が出ましたが、フューリー長官の先例があるので、
さてどうかな?
ジョンは天国で妻ちゃんに会えたろうか?殺しすぎて無理だろうか?
天国には入れなくても、中間点の犬国、みたいなところに入れてもらって、
そこで妻ちゃんと逢引きできるといいね。

アクションシーンはいつもの特盛サービスだったけど、
敵が燃える銃が面白かった。
ジョンが体重を乗せる攻撃をするとき、
助走をつける円運動するのが好きです。
ウェイトが足りないんだろうな。薄いもんなジョン…。
しかしさすがに階段のシーンは長すぎるように感じた。
(私の話なんですが、階段を転がり落ちながら「踊り場で止まるだろう」
と思っていたら止まらなくて最後まで転がり落ちたのを思い出した)
というか教会の横あたりに出したれよキングさんよ!
スタントで「ベイビーわるきゅーれ」の伊澤彩織さんが参加されてた。
この調子でご縁がどんどん繋がって、
世界規模のスタントギルドができたらいいと思う。

たまたま梅田の映画館で見ましたが
「ジョンが梅田駅に来る!?」という臨場感がありました。
(ただ、駅は本物の梅田駅ではない…たぶん)
日本刀と手裏剣と弓で戦うコンチネンタルホテル大阪。
闘うスモトリ。いいじゃんファンタジーで。

ドニー・イェン氏、真田広之氏との友情がどのように築かれたのか、
エピソードを見てみたい気もします。
ただ3人とも、娘・娘・妻、と人生の幸福を女にアウトソーシングしすぎのように思う。
ハピネスは自分で製造してくれ!
それと今作がラストだとするとエンドロール後の映像は卒業おめでとう感を少し損なったかも。
行動には報いがある、コンセクエンス、インガオホー、ということなのかもしれないけど。
だいたい1のあのアホバカカーマニアのドラ息子が何もかも悪いんじゃん…。

シャロンを演じたランス・レディック氏が今年の春に病没されています。
魅力的な役柄でした。

インターコンチネンタルホテル大阪、ラウンジ&バーadeeで
ジョン・ウィックが愛飲しているとされるバーボンBlanton'sを使ったコラボカクテル
「Evenin’ Jimmy」を2023年9月22日~10月17日に提供しているそうです。



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