映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

2018年09月11日 | 実話系

not英語話者にとっては、お色気対決!みたいな謎のタイトルですが、
当時29歳の女子テニスプレイヤー、ビリー・ジーン・キングと
55歳の往年の勝者ボビー・リッグスとの男女対抗興行試合のお話です。
それと同時に、女性選手に比べて男性の賞金額が8倍であるという
非対称に反発したビリー・ジーン・キングが
現在の女子テニス協会の原型となる組織を
新しく立ち上げるというウーマンリブ運動、
既婚者の彼女が、出会った女性と恋に落ち
自己のセクシャリティに悩む様子も描かれます。
ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス夫妻監督。

登場する男性はほぼ全員男性至上主義者の年寄りのブタで
(自分でそう名乗るんですよ。私が言ったんじゃないですよ)
良い男性は影ながら女性を支えるイケメン、またはゲイなので、
相当高レベルの(感情移入を一切しない)鑑賞者か、
またはまぞのひと以外の男性はご覧にならぬほうがよいかもしれません。

私は異性でも同性でも不倫アカンのひとなので、
あー、不倫じゃなかったらなー、めっちゃかわいい百合なのになー
って思って見てたのですが、ジーンの夫と恋人の彼女の間に
奇妙な友情が生まれて、これは例の「お前たちは俺の翼だ!」って
やつかな…ってなりました。(のちに離婚されたそうですけど)

ラストまでばれ

男性至上主義者のブタたちは、
典型的すぎて脂が搾れそうなほどの女性差別主義者で
寝室と台所にいる女性は好きだし紳士的に接するが、
ほんの少しでも権利を主張されると全力で叩き潰す、
あー、ハイハイという例のアレ。
おじいちゃんたちは事あるごとにその手の台詞を吐くので、
ラストでひねり潰されるシーンでは、
日ごろその手の案件で鬱憤の溜まった女性は
かなりスカっとするのではないかと思います。
でもボビー・リッグスにはちょっと救済がある。
(ギャンブルはやめなよ…)
あと彼の敗北については様々な説があるようですが
この映画では自己管理不足という表現になってる。
リッグス選手にしても、キング夫人にしても
トップアスリートにとって、メンタルってものすごく大きいんだなあ。

キング夫人の夫くん、めちゃいいひとなので見ていてつらかった。
「彼女の本命はテニスで、君も僕も邪魔になったら捨てられる」
って本当苦しそうだった。
世界でもトップレベルの才能の持ち主とお付き合いするのって
そういうものなんだろうか。
普通の人間とのお付き合いとやっぱりちょっと違うのかな。
キング夫人より先にボビー・リッグスと男女対抗試合をして
ボッコボコに叩きのめされたコート夫人が
保守的で女性的、プレッシャーに弱いのに対し、
キング夫人は怒れば怒るほど強くなるタイプでプレッシャーに強く、
まさに野生の獣のようなプレイスタイルに撮ってあった。
歓声のボリュームとか細やかな演出で、
試合を盛り上げていく表現も良かった。

しかし1973年に、ホテルの妻の部屋に女友達が来てて、
バスルームに友達のブラが置いてあったら、
即浮気を確信するだろうか…?夫くん、名探偵の資質があるのでは。

あ、犬好きの方にはちょっとモヤってするかもしれないシーンが
15秒ほどあります。



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「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」

2018年09月03日 | ホラー映画

英国で、霊能者たちのイカサマを暴いてきた
グッドマン教授は、
おなじく超常現象否定派であり
ながらく行方不明になっていたキャメロン博士から
連絡を受ける。
別人のように病みやつれたキャメロン博士は、
どうしてもトリックを見破れないという3つの事件の検証を
グッドマン教授に依頼する…というあらすじ。

でかい音量と共にオバケがバーン!っていうパターンが多くて
ホラーとしては、はい、まあ…という感じですけど
最後にちょっとひねりがあるのと、
あとあて書きしたのかと思うくらいマーティン・フリーマン氏が
ぴったりの役柄で出てくるので、そこは良かった。
元は舞台劇だそうです。

オチばれ

2段構えのオチなんですが、べつに連動してないので、
どっちかにした方がよかったのではないか。
あとラストのオチは、もっと洗練された別作品が
すでに幾つかあるので、もうひと頑張り欲しい。

3つの事件のうち、1番ホラーだったのは1話目だと思う。
逆に2話目は、おい真面目にやれ!って言いたくなるほど
投げやりな話なんだけども、主役の人の顔面の
ホラーりょくが高くて、彼の顔が映っているだけでなんとなく恐かった。
3話目はフリーマン氏の猟銃のエピソードがともかく良かった。




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「アントマン&ワスプ」

2018年09月02日 | バトル映画

マーベル・シネマティック・ユニバース20本目の作品です。
アントマンシリーズとしては2作目。
いやー、楽しかったです。
軸のアベンジャーズがいま文句なしの地獄展開をしているので、
全然カラーの違うこの作品の明るさが有難かった。
ほかのMCU作品を見ていなくても、アントマン1を見ていればまあ大丈夫です。
「シビル・ウォー」で、アベンジャーズ同士の戦闘に助っ人として呼ばれて、
それで拘束され有罪判決を受けてしまった、程度のことを把握していれば。
おすすめです。

あらすじ
ソコヴィア協定違反により、2年間の自宅軟禁処分を受けて
FBIに監視されているスコットは、
前の事件でコンビを組んだホープの母親が出てくる夢を見て、それを電話で知らせようとする。
直後彼は拉致され、ホープとその父、天才科学者ハンクに夢の内容を細かく質問される。
その夢は、何十年も前に世界を救うために量子世界へ姿を消した
彼女の母でありハンクの妻である女性、ジャネットを救出できる手がかりだった。

登場人物みんな、どこかに面白みがあって、悪い人もいるんだけど、
なんか憎めない感じでした。
笑いのネタを次々と仕込んでくるくせに、ぐっと来るシーンやセリフが突然でるので、
手のひらで転がされた!

子供に酷い事をするのはぜったいに駄目!という確固たる決意が感じられるのと、
MCU20本目にして初めて女性ヒーローの名が冠されたのと、
ふんわりした人間愛に満ちているの、色々好きな部分の多い映画です。

全部ばれ

ずっと監視されてたFBIの人に、勘違いで、パーティーとか用意してくれてるのかと思った
という話になって、俺と食事したいのか?空いてるけど?みたいな話になるのって、
性愛的な話じゃなく、スコットの愛嬌と人徳のちからだし、
同じ事は別れた妻にも、娘にも、それどころか妻の新しい夫にも愛されて、
ハグされまくっているのも言える。
ヴァン・ダイン家の人にも(顎で使われながら)家族の一員って認められてるっぽいし、
もちろん刑務所仲間たちからの信頼も厚い。

前作の時にもたしか書いたけど、前妻と娘がいる場合、
妻も娘も内心は主人公を頼っていて、新しい夫は主人公の能力に屈服する
みたいな話が多い…というか多くの映画は
主人公の性的魅力に、あるいは能力に惚れる脇役が出てきますが
アントマンはそういうのがなくて気が楽でした。
スコットおじさん、とってもいい人でみんな好きになるし私も好きです。
娘ちゃんに作ってあげたDIYアトラクション、すごかった!
(小さくなった状態や、「絡まった」状態、天井で首を打った状態、
様々な面白スコット博覧会でした)

昔の仕事仲間のほぼ大半とトラブルを起こしている、
そのくせ妻と娘の才能に一目置き、熱愛している、
かなり性格に問題のあるピム博士。
今回のゲストキャラクターの、ピム博士の元同僚フォスター博士、
拉致監禁している相手の娘から電話がかかってきて
緊急かもしれない!って言われたら通話させてあげるところも、
その娘を人質にとると提案されて、激おこで却下したり、その他諸々
MCUでもトップクラスの聖人だった。
MCUでは初、他の映画でも滅多にない
ヒーローとして多数の命を守るために命を捨てた母親のジャネット、
ピム博士の妻をつとめるだけはある威圧感、
彼女の「出張」で娘を置いていく言い訳の寝た振りコントで
「ンゴッ」っていうのが可愛かった(じっと待ってるピム博士も)
ルイスのトークネタ、今回は冴えに冴えまくってました。
娘ちゃんのキャシーのシーンは全部可愛かったといっても過言じゃないけど
パパの相棒に自分が選ばれるって思ってる時の顔が、最高にかわいかった。
ホープの名前があがって不機嫌になったりはしないお姉さんなところも。
ホープは、シビル・ウォーに私を呼んでたらあなたは逮捕されてない、
ってところはスパダリすぎて震えましたね。
そこは「抱いて!」って言わなきゃ!スコット!
みんな魅力的だったのですが、さすがに時間のしわ寄せがヴィランにきて
あまり有能演出はしてもらえなかった。でも自白剤コント、良かったよ!

エンドロール後に2シーンあります…………。


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