映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「ジェーン・ドウの解剖」

2017年06月11日 | ホラー映画

家業で遺体安置所と火葬場を営んでいる父子のところに、
馴染みの保安官から検死の依頼が来る。
その美しい女性の遺体は一家惨殺事件の起きた家の地下に埋まっていたとのこと。
解剖を始めると、外傷の全くない女性の手首足首の骨は砕けており、
内臓には無数の傷、肺は焼け、舌は切り取られている事が分かる。
解剖が進むにつれ、その部屋で不可思議な現象が起こり始める、というあらすじ。

短いながらもよくできたホラー映画。
身元不明のこの死体は何なのかという一連の謎ときがよかった。
怖がらせのアイディはあと10個ほどほしいかな?という感じ。
解剖シーンは上から順番にちゃんと進んで、開頭もばっちり映ります。
あと謎の美女はずっと全裸なので、内臓もしくは裸の見たい人におすすめ!

注:ねこが死にます。

オチばれ

恨みを残して死んだ人が誰かれ構わず祟りまくるという、
ちょっと日本の幽霊文法に近いお話なので、
ぞーっとする怖さです。
まあ両手足を砕かれて、舌を切られて、生きたまま火で炙られ、
何度も刺されたら、そりゃあ祟るよね…って思います。
美しい人なので、なんか拷問されるまでの経緯の想像がつきそうというか。
人間は義憤と嫉妬とヒステリーを比較的簡単に混同してしまう。

鈴の演出はよかった。
でも煙の中でお父さんがどつきまわされるシーンはよく分からなかった。
猫、えっ病院につれて行くんじゃないの?えっ?ってびっくりした。
後のシーンの伏線なのは分かるけど…。
あと、彼女は終盤でどんな活躍を?って思ってたらマッハ退場で
そこも驚きました。

あと撮影セカンドユニットがあったのですが、
はたしてどこに第二班が必要だったんだろう…。ラストかな…?



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「LOGAN ローガン」

2017年06月02日 | バトル映画

ジェームズ・マンゴールド監督・脚本。
ウルヴァリンシリーズ最終章です。
ウルヴァリン役ヒュー・ジャックマン、プロフェッサーX役パトリック・スチュワートは
本作でシリーズ卒業となります。
R15+作品。X-MENシリーズではかつてなかったくらい残酷描写があります。

ミュータントが産まれなくなった近未来、ローガンは病んだ体で
プロフェッサーXの介護をしながらハイヤーの運転手として生計を立てていた。
ある日の仕事中に、見知らぬ女性から助けを求められたローガンは、
紆余曲折あって女性の連れていた少女と行動を共にする事になる。
少女は手の甲から鋭い爪を生やし、
受けた傷を瞬時に回復する治癒能力を持っていた、というあらすじ。

本国での評価がめっちゃ高く、見る前からハードルが上がっていましたが、
期待に違わぬ出来栄えでした。シリーズ1、2の完成度かも。
ただし作品のトーンは厳しめなので、本気できついエピソードがバンバンきます。
X-MENのキャラクターに思い入れの強い人は覚悟が必要です。

結末ばれ…?

この映画のすごい所はメインではなくサブでさらっと
スーパーヒーローと老いというテーマを扱ったところです。
アベンジャーズのみんなは老いてボケたらどうなるんだろう。
魔法界の皆さんは。スーパーサイヤ人は。

ジェームズ・マンゴールド監督は器用な監督で、
「ニューヨークの恋人」「“アイデンティティー”」
「3時10分、決断のとき」など、作風がバラバラですがどれも好きです。
「3時10分、決断のとき」はリメイク作品ですが
多勢に無勢の状況でボロボロになりながらも旅を終える男の話、
そして父と子の話だったので、この作品と通じるところがあるかも。

この映画でもローガンとローラ、そしてプロフェッサーとローガン、
博士とX-24、博士の父と博士、血のつながりのあるなしにかかわらず
様々な父子関係がありました。
私は放蕩父が最後だけいいひとになって子の尊敬を受け、
一生記憶に残るっていう話はケッって思うほうなんですが、
この話を好きなのは、少女のローラがローガンよりむしろ強く、
ローガンを守り、昔のローガンを彷彿とさせる凶暴さもあり、
アクションとかちょうかっこうよかったから。
足から出る爪を活かした動きが特によかった。
これスタントはどうするんだろうと思ったら、
ちゃんと少女スタントがいるんですね。すごい!

ローラがあんなに小さいのにザクザク殺すので、
ちょっと「チャイルド・プレイ」みを感じました。(笑)

プロフェッサーXについて
この映画で90歳になった教授は頻繁に正気を失い、
薬でそれを抑制しています。しかし時々能力の暴走を起こします。
物語の後半で彼は忘却していた自分の罪を思い出します。
何があったかははっきり描写されませんが、
それはウェストチェスターで起きた出来事らしいと分かります。
恩師のピンチに誰も駆けつけないX-MENたち、
そもそも教授の世話をしているのがなぜキャリバンとウルヴァリンだけなのか、
教授の能力の暴走になんとか耐えられるのが
治癒能力を持ったウルヴァリンただ一人だけなこと、
彼等が海上での生活を望んでいる事、
そしてニュースで読み上げられた過去の原因不明の事件、
一般人の被害者とミュータントの犠牲者がでたというそれ、
様々な事を考えるとなんとなく何があったか分かるようになっています。
(本当は映画冒頭にウェストチェスターの悲劇のシーンが入る予定だったという
インタビューを読みましたが、カットしてくれてありがたいですよ!
そんな構成だったらもう映画どころじゃなかった……)
マグニートーはすでに亡くなってたんだろうなと個人的には思います。
生きてたらたぶん教授を殺してでも止めてあげたと思う。
というかメットがあれば…あれがあれば1人は助かったのに…。
さては棺に入れたんだな?そうだな?

しかしあれほどミュータントの未来のために尽力した人が、
ミュータントを、友人たちを自分の能力で殺めてしまうなど、
そんな酷い結末ってあるだろうか。
これがX-MEN映画アースの一部になるのか別アースになるのか、
諸説飛び交ってますし、
公式が宣言しても数年後に手のひらクルー!するのはよくある事なので、
ずっと考えていくことになりそうです。
ただ閉じ方として、とても優れているのは認めない訳にはいきません。
(シリアスだから優れている、死ぬから優れているという意味では勿論ない)

女児と老人とウルヴァリンの逃避行、かわいかった。
アクションシーンもよかったけど、
ウルヴァリンがローラの食事のマナーを咎めたり(コーン取りすぎ!)
教授とローラが一緒に映画を見てたり、
ローラがウルヴァリンを寝かせて代わりに運転してあげたりとかああいうの。
あんなにオラついてたローガンが、教授のトイレの世話をする日が来るなんて。
船の話をしているときの笑顔が切なかった。
もうたぶんこの人達は船には乗れないし海にも行けないだろうという
そういう予感のある笑顔と空気だった。

ヒュー・ジャックマンとパトリック・スチュワートは
演技に対していつも真摯で、こんなにアメコミがブームになる前から
X-MENに出てくれて、漫画だからと役を軽んじたりすることも全然なく、
人柄もヒーローに相応しい人達でした。
彼等がウルヴァリンとプロフェッサーXでよかった。ありがとう!

シリーズ映画は8本あるので、2時間で計算しても16時間。
過去作を見ていないとあらすじが理解できないって箇所はないので
見ないでもまあ大丈夫かな…?という感じです。
・プロフェッサーXが多くのミュータントから尊敬を受ける教育者で
 最強のテレパスである事、X-MENを指揮していた事
・ウルヴァリンは教授に保護されたけど、気性が荒く一匹狼で
 万年反抗期だった事、そんな彼にも教授は居場所を提供した事
・ウルヴァリンは本来骨でできた鋭い爪を持ち、
 強力な治癒能力を持ったミュータントだったが
 研究所に監禁され人体実験を受けていた時代に
 アダマンチウムを体内に注入され、爪と骨がアダマンチウム製になった
この辺の基本設定を知ってればまあ大丈夫。
ジェームズ・ハウレットがローガンの本名とか、
キャリバンが「アポカリプス」の端役で出てたとか、
恵まれし子らの学園の所在地がウェストチェスターだったとかは
私も忘れてたけど問題なく理解できた。


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「光をくれたひと」

2017年06月01日 | 人情系

第一次世界大戦で心に傷を負った主人公は無人島の灯台守に志願し、
1人で暮らしていた。
しかし縁あって妻を迎え、妻の朗らかさに救われる主人公だったが、
不幸にも彼女は2度の流産を経験し、ふさぎ込む。
ある日、島にボートが漂着し、その中には男性の遺体と赤ん坊がいた。
妻は主人公に、赤ん坊を2人の子として育てようと提案するというあらすじ。

マイケル・ファスベンダーさん主演なので見ました。
ファスベンダーさん久しぶりの、全く何も悪くない被害者100%の役だ。
不幸な巡りあわせで色々な人が苦しむのですが
基本的にはみんな善人で、見終わった後にどんよりしたりはしないです。

内容ばれ
前任者の末路が伏線になっていて、実は2度の流産でおかしくなった夫妻は
共通の幻覚を見ていて、ある日それに気付いて妻は自殺、
でも主人公はいつまでも成長しない赤子と、妻の幻覚と幸せに暮らす、
という話かと思ったら違った。

「お前を苦しめるには、お前自身を痛めつけるよりお前の愛する者を
傷付けるのが有効だ」という、
130分ファスベンダーさん無限拷問タイム。
序盤の幸せなシーンも「落とすためには、まずしっかり上げないといかん」という
匠のこだわりを感じました。

監督はデレク・シアンフランス。うそでしょう「ブルー・バレンタイン」を撮った人が
意地悪さや冷淡さのない、こんな「泣いた赤鬼」みたいな映画を…!?
原作があるだけでこうも違うのか。

ところで個人の意見ですがファスベンダーさんは
100%被害者の役よりも、50%くらい本人に悪い所のある役の方が、
「この人も結構クズいところがあるのに、被害者に見える…!」
という風にトリックアートっぽく楽しめると思います。



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