監督 鶴巻和哉さん
脚本 榎戸洋司さん、庵野秀明さん
スタジオカラーによるガンダム新シリーズです。
テレビでやるまで待とうかなと思ってたんですが、インタネットの皆が「緑のおじさん…」ヒソヒソ…「例のあいつ…」ヒソヒソ…とやりだして、なんか配慮の匂いを感じたので慌てて劇場に行きました。危なかった。ねたばれが平気じゃないファーストガンダム民は劇場に行ったほうがいいと思います。(もちろん下記一切読まないほうがいいですよ)
UC0085年、女子高生のマチュは、配達屋の少女ニャアンと突然ぶつかり、謎のデバイスを手に入れる。そのデバイスを巡り、非合法MSバトルに巻き込まれたマチュは…というあらすじ。
私はなんのかんの言って、一番脚本が優れているガンダムはファーストだと思っていますが、同世代の皆さん生きてますか?お元気ですか?(年齢的にリアル肉体の話)あちこちにガタが出始めましたが酷使したガンダムだと思って丁寧に整備して生きましょう。
でも優れているからと言って若いひとたちに、軽率に「見ろ~~」とは言えない。それはあらゆる後続作品が、ファーストの先進的な部分を取り入れてきたので「あのシーンの元ネタはこれか!」の連続で終わりそうだからです。
ねたばれ
ファーストガンダムを正史とする、架空戦記ものをおっぱじめた!
冒頭からして年寄りは「オイオイオイオイオイオイオイオイオイ……」って言いましたね。心の中で。
でも亡くなった方があまりに多すぎて、完全再現できないのはちょっぴり寂しい。
実戦投入される前のガンダムとホワイトベースを、赤いやつが制圧してジオンが勝ちます(前半のあらすじ)。二段構えになっていて、前半か後半かどちらか当たれ、あわよくば両方当たれという、用心深い構成になっている。
赤いやつは、あの電話帳くらい分厚い取説を読まなかったなそういえば。
今後のテレビシリーズ展開ですが、若い3人による三角関係、若い3人は実はガンダムシリーズビッグネームキャラクターでした~、赤いやつは実はずっといました~、等々盛り上がりに期待が持てます。赤いやつによる緑のおじさん死亡回避ループもの路線も捨てがたい。私は最終的にはマチュ×ニャアンの恋愛要素を期待。
あと社会による移民の排斥という問題を出したなら、一応解決を示してほしい。無理なら全部破壊するくらいはしてほしい。(頑張って生きていくしかない…みたいな、小学生の感想文的まとめはやめてほしい)。SFアニメなら地位のある高齢女性を出してほしい。できたら血統主義的な話にしないでほしい(だれそれの子供なので能力が高かったてきなの)。
ところで赤いやつ、復讐はいいのかな?ザビ家の人、おおむね生きてるよね…。
ファーストの話に戻りますが、あれの一番優れていたところは、強者の強さの演出がうまかったところ。技能と経験と才能がぶつかり合って、負ける方の格を下げなかったところ。妙なリアリズム。ロボットアニメで主人公が乗車拒否するのってあれが最初ではなかったか。ロボットアニメでありながら、途中からミュータント、新しい人類の登場というテーマも絡み、かと思えばシェイクスピアを思わせる古典的復讐劇プロットも主軸にあって、色々な味がした。
あと高い地位に女性がいて政治手腕を発揮していたところ。やたら感情的に思ったことを全部垂れ流す変なひとではなく、きちんと仕事をしている女性軍人が描かれた。ジェンダー以外にも、インド系の女性が(ファムファタルてきな描かれ方ではあるが)前線で戦う軍人として出てきた。1979年に。
あれのIFものをするなら、わくわくするエンタテインメントかつ定石の破壊者であれ…。
最初に緑のひとの名前が出たときも、カムランくんが出てきた時も、情報が脳から出てくるのにドえらい時間がかかって老いを感じました。あ~~~~はいはい、いたね!君ね!忘れてたけど覚えてるよ!
最後にキューブリック的な白い部屋で老いて死ぬ緑の人の病床に、若く美しい赤いやつがあらわれて、大満足で別れを告げるみたいなシーンは期待していいかな?ずっと探していた緑の人大激怒なれども、もう拳も上げられない、という感じの。
ところで流行の目が読めないからって、安全牌とばかりになんでもかんでも庵野さんに任せるのはやめろー!