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「ダーク・シャドウ」

2012年05月24日 | ホラー映画


ティムとデップの新作。おおむかしのホラー昼メロのリメイクらしい。
お色気コメディホラーで、お色気がわりに本気でお色気、
ホラーもわりと本気でホラー…というか結構簡単に人が死にます。
普通の感覚で言えばそのひとは助かるんじゃないの?という人も
主人公のバーナバスが殺すので、倫理観がむかしっぽい感じがします。

イギリスからアメリカに渡って水産業で財をなしたコリンズ家の嫡男バーナバスは、
メイドと適当に楽しみつつ、やがて本気で愛する女性と出会うが
メイドが魔女だったため、呪いによって両親を殺され、愛する人を殺され
自身はヴァンパイアにされて生き埋めにされます。
200年後、偶然に工事現場で掘り出されたバーナバスは
落ちぶれた生家に帰還し、コリンズ家復興のために奮闘します。

音楽はエルフマンで、衣装がコリーン・アトウッド。
ヘレナ・ボナム=カーターが出てクリストファー・リーがちょいと顔を出して
だいたいいつものバートンファミリーです。

ラストばれ&ティム語り

ティムの大好きなネタなのに、マニアック臭がない。
中期※のティム作品には奇妙な者たちが出てきて、
外の(普通の)人々に対する怯えや敵愾心やコンプレックス、
理解してもらえず排斥される悲しみ、あと好奇心がちょっぴり、
常に背負っている感じがあったが、
ダーク・シャドウ等最近の作品に登場する奇妙な者たちは、
実に堂々と己を貫いている。
現実の人々、街の人々、普通の人々を全く意に介してないようにも見える。

思うにティムはもう「奇妙な者たちの物語」を卒業したのだ。
監督としてものすごい成功をして、
「普通の人々」が怖くとも何ともなく
逆に大したことないちょろい存在だって分かってしまったのかも。
「ダーク・シャドウ」はティムのあの独特のホラーではないけれど、
ゴシックホラーへの愛の詰まった、ちょっと懐古趣味な映画です。

※初期のティム作品は
「ちょっと何言ってるか分からないです」か
「俺以外には分からないです」の2つに反応が分かれる。

魔女は、仕事を始める前に自分の顔の左右を両手でぐいっと上向きにして
気合を入れている仕草を見て、悪い人だとは思えなくなった(笑)。
ラストのところ、キラキラして悲しくてとてもきれいだった。
私は魔女のような、ああいうタイプではないけど、
すごく一生懸命なのに受け入れてもらえなくて、
ちがうよー、ちがうんだよー、って耳元で言ってあげたくなる感じ、
なんだか分かるし、現実でもある気がする。
うーん、彼女はたぶん強すぎるからうまくいかない。
能力もそうだし心もそうだし、アプローチもそう。

クロエちゃんは少しもったいなかった。
幾つか伏線があってもよかったんじゃないかと。


全体的にお洋服がかわいかった。
バーナバスの歩き方がエレガントだった。
ジョニデはああいう一部を強調した演技がうまいなあ。

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