映画の豆

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「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

2013年02月05日 | サバイバル系

映像がとてもとても美しく、
映像だけをひたすら追うのもよし、
冒険についてどきどきするのもよし、
設定について考え込むのもよしという
色々な楽しみ方のできる映画です。
モニタで見るのは勿体ないので映画館での鑑賞むき。

インドで動物園を経営する一家の息子パイは、
動物たちを売ってカナダに移住すると決めた父親と共に
貨物船に乗りこんだが、嵐によって船は沈没してしまう。
ただ1人生き残った彼は救命ボートに乗り込むが、
ボートには動物園から連れて来た虎がおり、
1人と1匹の漂流が始まるのだった、というお話。

虎がフルCGらしいのですが、もうまったく分からない。
OPの動物や、フランスの公営プール、インドの街並み、
鏡のような海面、夜の海、ともかく綺麗でした。
自然の美しさとも少し違う、けれど完全に幻想的なものでもない、
中間の美しさ。

パイはヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教を信仰する子で、
その独特の考え方も面白かったですが、それを許容する家族もまた面白かった。
パイがインド人ではなく、また監督が台湾人のアン・リーさんでなければ
この映画はこんな風にはならなかったと思う。
(原作者さんはカナダ人のようですが)
唯一神、絶対神のいる、白か黒かの世界では起こり得ない物語のような。
もしかして3つの宗教は円周率と関係があるのかなどうかな…?
お父さんは
「どの宗教も信じるという事は、何も信じていないのと同じだ」と諭しはしたけど、
叱ってやめさせたりはしなかった。
パイのお父さんは、いかにも知的な人という感じでお話も興味深いものが多かった。

パイの名前の由来になった世界で一番美しいプール
「ピシン・モリトール」ですが残念ながら1989年に閉鎖されておるようです。
http://haikyo.crap.jp/s/6931.html
廃墟になっても美しい。(リニューアルの話もあるようですね)
「ピシン」はインドではあまりいい意味ではないらしく「立ちション!」とからかわれたパイは、
自分で「愛称はパイです!由来は円周率です!」と自己アピール。

ラストばれ…?

虎の名前リチャード・パーカーは、検索したら不思議なお話が出てきて
ポーの長編小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」において
脱出した4人の男のうち、食料にされたキャラクターの名前がリチャード・パーカーであり、
その47年後に実際に起こった「ミニョネット号事件」で脱出した3人の男に
漂流中食われてしまった水兵の名がリチャード・パーカーだったらしい。

お話は、2層構造になっていますが、片側がどうしても受け入れられない人もいるでしょう。
でも、ちゃんと無視してしまえるような作りになっています。
複雑な物語だけども、
虎がいなかったら生きられなかった、というパイの言葉は真実なのでしょう。
全然違いますが「落下の王国」を思い出す。


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