映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

2022年01月31日 | 美学系

ウェス・アンダーソン監督
スタートと同時に
「情報が多い!待って!止めて!設定語らないで!静止画にして!そのビルの完璧なデザイン何!?アー!」
となりました。
雑誌の体裁のオムニバスという知識くらいはあったほうがいいかも。

映画というより、天才小説家と天才画家のコラボを見ているようだった。
この小説を書ける人は世界に何人かいるだろうし、
この絵を描ける人も世界に何人かいるだろうけど、
この映画を作るためにはその2つの才能が1人の脳に宿る必要があって、
いまのところそんな人間はウェス・アンダーソン監督しかいない。
どんなに予算をかけても、人をたくさん集めてすごいCGを使ってもこの映画は作れない。
しかしその代わりに、興行収入でてっぺん取れるタイプの映画ではない。

相変わらず役者にモテモテで出演者が非常に豪華。
ビル・マーレイ、ベニチオ・デル・トロ 、フランシス・マクドーマンド、
エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、ティモシー・シャラメ、
レア・セドゥ、リーヴ・シュレイバー、エドワード・ノートン、
ウィレム・デフォー、クリストフ・ヴァルツ、シアーシャ・ローナン。
(でもどこに出ておられるか、私には分からなかった人もいる)

内容ばれ

全シーンが凝ってた。凝ってないシーンが一瞬もなかった。
美しい映像って、天候や植物が美しい、人間の顔が美しい、色が美しい、
色々ありますが、ウェス・アンダーソン監督は
人間の全身及び人工物の形の美しさ、その美しいものを画面に配置した構図の美しさだと思います。
ちょっと仕掛け時計を連想します。
(でもアニメは、うーん…?アクションを実写でやるとトーンを統一できないという判断かな?)

特筆すべき映像が多すぎてさすがに全部は覚えきれなかったが、
(私は牢獄の画家の話がとても好きです)
殺そうと決意した瞬間、顔面に光がさしてカメラがスライドして
奥の厨房で肉を解体している人物が映るところ、
なんでこんな演出を思いつくのか分からないし、
なんでこんな完璧なリズムで撮れるのかも分からない。
わあーって思いました。

ネスカフィエ氏の「期待に応えられないのが怖かった。異邦人だから」ってセリフ、
いつもウェス・アンダーソン監督の色彩設計って
根本的に有色人種向けではないんだよなあとは思うのですが
努力はなさってる気がする。



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