光沢紙にはPGBK(顔料インク)は染み込まない?
標記について、CanonのTS8530を使って、うっかりL版の光沢紙で「普通印刷」にしてしまったので、印字結果は大失敗でした。具体に言うと、黒が「普通印刷」の設定ではPGBKという黒の顔料インクを使う仕様のようです。そうすると、この黒インクは紙の表面に薄く載るだけで内部まで染み込まないので印刷後かなり時間が経過しても、一向にインクが染み込みませんから、髪の毛やズボンの色が黒の場合、ちょっと指で触っただけでも剥がれて、まっ白くなります。下記の写真参照。
実は、PGBKというのは、普通紙の文書印刷専用の黒の顔料インクだったわけです。なので、BKが無くなったからといって、無理やり普通紙設定で光沢紙にPGBKを代用して印刷させてみても、上記のように大きな不具合が出てまったく使い物にならないわけです。
古いCanon機種の場合はどうか? 一方、PM490(2009年発売)、およびIP2700(2010年発売)では、黒にBC310という顔料インクを使っていますが、何故かこういった不具合は起こりません。同じPGBKという表示がされた黒インクですが、性質が全く違うようです。MP490やIP2700では、染料GRAYはありません。具体に言えば、顔料の粒の大きさが比較的小さくて光沢紙でも染み込み易くて定着しやすく、且つ微細な粒を印字ヘッドで疎らに噴霧して灰色をそれらしく表現できるような仕様になっているものと考えられます。要するに、このMP490・IP200用のPGBKは、TS8530用のそれとは違って、文書用にも写真用にも使える仕様です。
最近のCanonのプリンタのインクの種類は? 写真用の染料BLKとGRAY、印字用のPGBKというように、黒系統を3本も用意しているのが特徴です。私見ですが、その目的は、先ず普通紙での印字を滲まずにクッキリと見せること、次に光沢紙での写真印刷を鮮明に見せること、そして光沢紙での灰色を中間色としてごく自然に見せる事ではないか。また、Canonは、それをセールスポイントにしているのでは・・・と考えます。したがって、上記のように、最近は、PGBKとBKは全然違う性質のインクになっているようです。共通点は、黒いという以外は、まったく無いです。
使いやすいのは? Canon製プリンタは、印字設定や用紙を間違うような場合があっても、EPSON製プリンタのように警告が出ないことから、TS8530では、よくよく注意して印字設定にマッチングする用紙を入れる必要があります。ただし、PM490・IP2700の場合は、そういったことをまったく無視しても、印刷に不具合が起こらないので、そういう意味では使いやすいプリンタです。