MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ハッチとマーロウ』

2017年07月17日 | BOOKS
『ハッチとマーロウ』
著:青山七恵
イラスト:田村セツコ
小学館


 イラストが「おちゃめなふたご」シリーズ(ブライトン:著)の田村セツコさんですよ!
 もう、田村セツコさんのイラストの児童書やお料理本などを読んで育った私たちの世代の皆さんには、イラストだけでも見てほしい。
思わず、懐かしさに胸いっぱいになっちゃいます。

 おはなしは、双子の姉妹が主人公。
 11歳の二人が、章ごとに代わる替わる語ってくれるスタイルです。

 双子の11歳の誕生日に飛び出した、ママの「大人卒業」宣言と、子どもたちへの「子ども卒業・11歳からから大人」宣言。
 次の日から、ママは「大人」を辞めて「ダメ人間」を目指し、子どもたちは「大人」として家事を引き受け、学校へ行き、周りの大人たちに助けられながらも、日々を前向きに過ごしていきます。

 それにしても、「おちゃめなふたご」を読んで憧れた、本当に気の合うパートナーとしての「ふたご」の姿に懐かしさがいっぱいですし、うらやましかった気持ちがよみがえります。
 頑張り屋で、真面目で、優しくて、家事もできるし、オシャレで可愛い……、「こんな子、おらへんて」と突っ込みたくなるような良い子たち。もう児童書に出てくるキャラクターそのものですけれど、彼女たちが向き合う問題は、なかなか現代的で、考えさせられます。
 個性の問題、都会と田舎の問題、ジェンダーの問題、「嘘」の問題、「真実」の問題。
 どの問題にも、二人で立ち向かえるんだから、力強いですね。

 登場する人たちがどの人も優しくて、イヤな気持ちにならない本です。
 良い人たちばかりだけれど、「大人も、ダメだなぁ」と、あきれられちゃうかもしれない本でもあります。
 まぁ「パーフェクトな大人なんていない」ってことは、真実ですからねぇ。
 それでも、ダメな大人も、うまくいかない人生も、愛おしいものだと、思えるような1冊です。
コメント
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