『日本一の女』
著/斉木香津
小学館
「こんな生き方はしたくない」と思うような、一人の嫌われ者の人生。
「それじゃ嫌われるのも当たり前」と、ついツッコミを入れたくなる出来事が次から次へと起こる物語なのに、読み続けるのが苦痛ではありません。
なにが「日本一」って、「意地」でしょうか。
不器量な女の子が、媚びることもせず甘えることもできないまま、それでも力強くまっすぐ前を向いて生きていく姿は、どこか痛々しくもあります。
自分の存在価値を確かめたい、家族に愛されたい、認められたい。
自分のせいではない男女の差、美醜の差、都市と田舎の差、貧富の差を、自分で乗り越えようとする才覚がありながら、頑固で、愛情表現どころか感情表現も下手で、ついつい憎まれ口ばかりたたいて人を傷つけ、嫌われる。
読んでいて、我が事のようにせつなくなったり悲しくなったり、彼女の分まで腹を立てたり……。
誰にでもある「あの時に素直に気持ちを伝えられていたら」という後悔を最後まで口に出さない・口に出せなかった主人公の不器用さと、隠し続けた寂しさが、たんたんと語られる人生の出来事を通じて確かに伝わってきて共感せずにはいられません。
語り手と聞き手と一緒に、読者も彼女の「懺悔」の理解者になることで、みんなが救い救われる、そんなふうに感じるのは、物語の構成が素晴らしいからかもしれません。
昭和という時代を生きた女性たちには、妻としても母としても働く女性としても、今の私たちには想像もできない苦労があったのだろうと、今は亡き田舎の祖母たちを思い出しました。
もっと話を聞いておけばよかったと、今さらながら思います。
夏休みに帰省したら、きちんとお墓参りにも行かなくちゃ。
著/斉木香津
小学館
「こんな生き方はしたくない」と思うような、一人の嫌われ者の人生。
「それじゃ嫌われるのも当たり前」と、ついツッコミを入れたくなる出来事が次から次へと起こる物語なのに、読み続けるのが苦痛ではありません。
なにが「日本一」って、「意地」でしょうか。
不器量な女の子が、媚びることもせず甘えることもできないまま、それでも力強くまっすぐ前を向いて生きていく姿は、どこか痛々しくもあります。
自分の存在価値を確かめたい、家族に愛されたい、認められたい。
自分のせいではない男女の差、美醜の差、都市と田舎の差、貧富の差を、自分で乗り越えようとする才覚がありながら、頑固で、愛情表現どころか感情表現も下手で、ついつい憎まれ口ばかりたたいて人を傷つけ、嫌われる。
読んでいて、我が事のようにせつなくなったり悲しくなったり、彼女の分まで腹を立てたり……。
誰にでもある「あの時に素直に気持ちを伝えられていたら」という後悔を最後まで口に出さない・口に出せなかった主人公の不器用さと、隠し続けた寂しさが、たんたんと語られる人生の出来事を通じて確かに伝わってきて共感せずにはいられません。
語り手と聞き手と一緒に、読者も彼女の「懺悔」の理解者になることで、みんなが救い救われる、そんなふうに感じるのは、物語の構成が素晴らしいからかもしれません。
昭和という時代を生きた女性たちには、妻としても母としても働く女性としても、今の私たちには想像もできない苦労があったのだろうと、今は亡き田舎の祖母たちを思い出しました。
もっと話を聞いておけばよかったと、今さらながら思います。
夏休みに帰省したら、きちんとお墓参りにも行かなくちゃ。