MOONIE'S TEA ROOM

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『職場を襲う「新型うつ」』

2013年07月28日 | BOOKS
『職場を襲う「新型うつ」』
NHK取材班・編著


 正式な病気として認定されていない、「新型うつ」という症状。
「職場には行けないが、プライベートでは遊びに行ける」という、「従来型うつ」と全く違った症状が問題になっています。
 病気なのか?若者の甘え・怠けなのか?  
 「NHKスペシャル」の取材を基にした、この新しい症状を知るための入門書になっています。
 当事者側の視点もありますし、精神科医・教育者・社会学者などのパネリストからの見方、職場の復職への取り組みも非常に興味深いです。
 
 当事者である若者たちも、周りの上司・同僚、そして精神科のお医者さんもまだまだ分からないことが多い症状である「新型うつ」。特効薬もなく、簡単な解決法があるわけでもありません。
 なぜ今増加しているのかという理由も明らかにはなっていませんが、ただ、「生きにくい若者」の増加が「新型うつ」の要因の一つであるとすれば、それは子育てや教育に大きく繋がっていると思うのです。
 この本には「新型うつ」から回復した人たちの体験談もありますが、「社会に適応できるように育ちなおす」という印象を受けました。

 いつの時代も、社会はときに理不尽で、自分なりに頑張ればよかった学生時代とは全く質が異なります。
 八つ当たりのような叱責・苦役のような雑用・他人との比較や誹謗中傷の多い人間関係……、多かれ少なかれどこの職場でもあることで、会社を辞めたくなることもあるでしょう。
 ただ、そこで耐えられる人・受け流せる人・成長できる人がいるのも事実。
 どこで違いが出てきてしまうのか、そこが一番気になります。


 先日、とある小学生向けの講習会に行った時のこと。
 年配の講師の「礼儀正しく」「行儀が悪い」などの言葉に、キョトンとしている子が何人もいました。
 周りの人間、とくに目上の方への礼儀・配慮を小さいころからしつけることの不足も、もしかしたら「新型うつ」の要因になってはいないか……少し不安になりました。

<関連リンク>
■自著を語る  <文藝春秋>
 若い社員に急増。企業はどう対処すべきか?
(『職場を襲う「新型うつ」』)
 小堺 正記|NHK大型企画開発センター チーフ・プロデューサー


<関連記事(2013.11.27.追記)>
『「現代型うつ」はサボりなのか』 - MOONIE'S TEA ROOM
 現代型うつ(新型うつ)を、「病気」ととらえて予防・対処法にも触れた1冊です。
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