MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』

2009年04月14日 | BOOKS
 軽い。
 悪い意味ではなくて、本当に軽妙さが心地よい作品です。

  『鴨川ホルモー』万城目学(産業編集センター/角川文庫)
  『ホルモー六景』万城目学(角川書店)

 映画が公開されるからでしょう、数ヶ月前から「鴨川ホルモー」という言葉がネットでも新聞でも目に入るようになりました。
馴染みのある地名「鴨川」と(当たり前なのだけど)聞き慣れぬ「ホルモー」という言葉に、京都在住の私はひきつけられずにはいられなかったのでした。

 舞台は、まさに私が10年ほど住んでいた生活圏。
 通りの名前も、学生街の喫茶店も、時計台前のクスノキも、神社の参道も。
 あまりにも身近すぎて、物語の中に吹く風を皮膚で感じられる気さえしました。

 大学生の私が、子どもを連れた私が、物語の風景の一部として、自転車で駆け抜けていっているような……。


 『ホルモー六景』は『鴨川ホルモー』に続く短編集。
 二つの本の時間軸は重なっているので、是非一緒に読むことをお勧めします。
 物語の奥行きが深くなって、ますますホルモーの世界を楽しめます。

 振り返ってみて「なんて自由で、なんてバカバカしい」と懐かしむ大学時代と、この作品の雰囲気はよく似ているのです。
 情けなくも憎めない主人公と、不思議なものは出てくるけれど、どこにでもいるような普通の人間らしい日常生活を忘れていない世界。 この作家のほかの作品も読みたくなりました。
コメント (9)
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