行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

老子の言葉(2)

2018年09月11日 | 仏の心
絶聖棄智、民利百倍、絶仁棄義、民復孝慈、絶巧棄利、盗賊無有




聖を絶ち智を棄つれば、民利(みんり)百倍す、
仁を絶ち義を棄つれば、民、孝慈(こうじ)に復す、
巧を絶ち利を棄つれば、盗賊あることなし





才能をひけらかさなければ、人民の生活は安定する。
仁義をふりまわさなければ、人民は道徳意識をとりもどす。
利益ばかり追求しなければ、盗みをはたらく者はいなくなる。

過ぎたる正義と、悪事とは紙一重なのです。正義も過ぎれば悪となります。

老子の言葉(1)

2018年09月07日 | 仏の心
最上の善とは水のようなものだ。
水のよさは、あらゆる生物に恵みを施し、
しかもそれ自身は争わず、
それでいて、
すべての人が蔑む場所に満足していることにある。
このことが、水を「道」にあれほど近いものにしている。


住居をつくるには地盤のしっかりした場所をよしとし、
いろんな考えの中では奥深いのをよしとし、
友達と交わるにはこころやさしいことを、
言葉においては信義あることを、
政治においては秩序だったことを、
事の処理においては実効を、
行動においては時をたがえぬことをよしとするならば、
争いになることもないので、
決して間違うことはない。



方丈記は災害を通してみた無常観

2018年09月04日 | 仏の心
日本は地震、火山、水害など、とにかく災害の多い国です。他国な侵略されない代わりに、災害で苦しめられてきました。鴨長明が31歳の1185年に、大地震がありました。竜巻も経験しています。災害時の人の心の動きや社会の変化を長明はその反骨心に満ちた目でとらえています。災害時の為政者の無責任さは現代に通じるものがあります。方丈記を読んでみると、災害の多さと政治の劣化という点で現代によく似ていると思います。災害に対する心構えのヒントを鴨長明は語ってくれているような気がします。

地獄の思想

2018年09月04日 | 仏の心
恵心僧都源信の「往生要集」に描かれている地獄は、現代社会に生きる私たちに、正直に人徳をもって生きて行くことの大切さを教えてくれます。
黒縄地獄。身を引き裂かれ、鋸でひかれ、刀で切られてしまうのです。意識のある状態なのでたまったものではありません。
あるいは、現代人の迷いの世界そのものかもしれません。
衆合地獄は邪淫を犯した人が行きます。美女を追っているうちに、後ろから身を切り裂かれて行きます。骨になろうとも、美女を追いかけて行きます。現代、家族を崩壊させようが、財産を失おうが、不倫のみちに走る人に似ています。
地獄の思想は、日本人の倫理観を支えてきたのです。