行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

人の短をいうなかれ

2012年07月03日 | 空海 真言宗 金剛峯寺
弘法大師空海が座右の銘としたといわれている崔子玉座右銘の一文です。崔子玉は中国の後漢時代の人です。

無道人之短 無説己之長


人の短所をいうことなかれ 己の長所を説くなかれ


施人慎勿念 受施慎勿忘


人に施しては慎んでおもうなかれ  施しを受けては慎んで忘るることなかれ


世誉不足慕 唯仁為紀網


世誉は慕うに足らず ただ仁を国の制度となす


隠心而後動 謗義庸何傷


心にはかりてのち動く そしり何ぞ傷まん


無使名過実 守愚聖所臧



名をして実に過ぎしむるなかれ 愚を守るは聖の臧する所なり


在涅貴不緇 曖曖内含光



黒泥にあれども黒まざるを貴ぶ  曖昧としてうつに光を含め


柔弱生之徒 老氏誡剛強



柔弱は生の徒なり 老氏は剛強を戒む


行行鄙夫志 悠悠故難量


行行(剛強)たる鄙夫(人格の低い人)の志し 悠々として故(まこと)に量り難し


慎言節飲食 知足勝不祥


言を慎み飲食を節し 足るを知りて不祥に勝て


行之苟有恒 久久自芬芳


久久自ら芬芳(すぐれた功績)あらん

これを読んでみると、現代人の病巣にあてはまっているような気がします。

人の短所を言ったり、自分の長所をやたらと自慢するものではない。

特にこのところ、他人に厳しく、自分に甘い人が多くなったような気がします。

周りに対しては、正義の鉄拳をふるうが如く、攻撃するが、自分の悪に気づかず、あるいは気づいていても、開き直っているような人です。いわゆるクレーマーと呼ばれる人でしょうか。

仏教は、外に向かっている目を自分の内側に向けなさいと教えています。

人を攻撃すれば、必ず自分の方にもどってきます。

他人にして差し上げたことは忘れても、人様からしていただいたことは、忘れない。

人の悪いところばかり見ているのはむなしいことです。

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