行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

自分のこととして考える

2012年04月03日 | 禅の心
 大きな被害を出した東日本大震災。私は決して遠い世界のことだとは思えませんでした。このような大きな出来事がおこると、ただ感情論に走ってしまいがちです。「被害に遭われた方がかわいそうだ。」「大変なことになった。」と、いわゆる”上から目線”で考えたり、感傷的になってしまいます。しかし、「自分がその立場なら」とか、「自分にも起こりうることだ」という視点も必要だと思います。禅では、相手と自分の間の垣根を取り払って物事を考えます。つまり、相手になりきるのです。これは相手に合わせて、救って下さる、観音様の心でもあります。昔、画家が、鷺の絵を描くことを依頼されました。依頼者は、画家の絵がいつもあまりにもすばらしいので、どのようにして絵を描いているのか知りたくなりました。そこで、画家のアトリエを覗いてみると、画家は、鷺の格好をして、羽をばたつかせながら、絵を描いていたということです。対象になりきる、自分のこととして考えることは、禅の心であり、観音様の心でもあるのです。