akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

『戒厳令』

2008-07-07 | 映画・芸術・エンターテインメント
吉田喜重監督の『戒厳令』を観る。
二・二六事件の首謀者として処刑された北一輝を追及した作品。脚本が別役実。
なんだってこんな日に、こんな重い映画を観ているんだろうと笑いながら、鑑賞後友人とご飯を食べ現実世界に戻って帰る。
「こんなの高校や大学時代に観てたら、きっと毒されてたなあ」と友人。

日本を軍国主義と戦争に駆りたてていったものは、けっして我欲だけの愛国主義、利益優先思想ではない。むしろ、理想的な美しい統制された国家のために、その思想と革命に我欲を捨て去り身を投じた者たちが歴史を動かしていったのだ。
理想の実現ためには自分の命を捧げるまでの青年たちのエネルギーが、間違ったベクトルを与えられてしまったがゆえに。

作品中、革命の首謀者北一輝その人は、理想を説き扇動した戦闘的人物としてよりも、そういう流れになってしまった中で自分だけは関係ないところにいたいという卑小さや恐怖と闘う臆病さが強調されている。
歴史上の人物はこうした描かれ方で裁かれ、作品中では、忠義心にあふれながら革命に命を捨てきれなかった一番の臆病な兵士に密告されることで、処刑台に裁かれるのである。
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