しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

「東海道中膝栗毛」小田原  (神奈川県小田原)

2024年06月16日 | 旅と文学

弥次さん・喜多さんの話はおもしろい。
子どもから大人まで楽しめる。

江戸時代に、発売とともに売り切れ・大人気だっというのもうなずける。
江戸時代でも現代でも楽しめる話。

この本の最大の参考書は、歌川広重の「東海道五十三次」。
広重の絵画を見ながら、弥次喜多を読むと、楽しさが倍増し、
なんとなくあの時代がわかったような気になる。


小田原では、
宿場の女中に色気をだし、風呂でやらかし、読者を安心(?)させる。

 

 

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旅の場所・神奈川県小田原市
旅の日・2015年7月8日
書名・東海道中膝栗毛
原作者・十返舎一九
現代訳・「東海道中膝栗毛」 世界文化社 1976年発行

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小田原 


宿引「あなたがたは、お泊りでございますか」
弥次「貴様のところは奇麗か」
宿引「さようでございます。この間建て直しました新宅でございます」
弥次「女はいくたりある」
宿引「三人でございます」 
弥次「器量は」
宿引「ずいぶんと美しゅうございます」

 

 

やがて宿に着くと、亭主は先に駆け出して入りながら、
「サァお泊りだよ。おさん。お湯をとってあげろ」 「お早いお着きでございます」
早速、茶を二つ持ってきた。
弥次郎それを横眼でチラリとながめ、喜多八に小声で、
「見なよ。まんざらでもねえな」
喜多 「今夜はあいつをやっちゃお」
弥次「ふてことをぬかせ。おれがやるんだ」


喜多 「おっと、じゃ入るぜ」
と、待ち兼ねたように裸になり、一目散に湯殿へかけこみ、いきなり風呂に片足つっこみ、
喜多「アツ、、、、、弥次さん弥次さん、たいへんだ、
ちょっときてくんな」
弥次 「馬鹿め、風呂に入るのに、べつに作法があるものか。まずそとで金玉をよく洗って」

下駄でかたかたと足踏みするものだから、ついに釜の底を踏みぬいてベタリと尻餅をついてしまった。
湯はみな流れてシュー
喜多 「うわー、助けてくれ」
主「どうなさいました」
喜多 「イヤもう命に別条はねえが、釜の底がぬけてアイ」
亭主「こりゃ、又どうして底がぬけました」
喜多 「つい下駄で、ガタガタとやったもんだから」
亭主「イヤァおまいは途方もないお人だ。すい風呂に入るの にわざわざ下駄をはくという事があるものでございますか。しょうがない人だ」
喜多「いや、わっちも初めは裸足ではいってみたが、あんまり熱いもので」
亭主「いや、にがにがしいことだ」
弥次郎も気の毒になって、仲裁に入り、釜の修繕代に二朱銀一つ払うことで、ようやく事がおさまった。 

 

 

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