goo blog サービス終了のお知らせ 

天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 5:マレー鉄道近郊電車KTMコミューターの旅

2016-09-25 | 旅行記:2016 マレーシア・タイ
Photo:マレー鉄道近郊電車KTMコミューター


4:パダン・ブサール(Padang Besar)で、歩いて国境を越えるからの続き

マレー半島を縦断する路線を持つマレー鉄道(略称KTM)には、国際列車や特急電車KTM-ETS以外にも首都クアラルンプールを中心とした近郊区間にKTMコミューターと呼ばれる普通列車も運行されている。

クアラルンプールからタイ国境までを結ぶ特急電車KTM-ETSの旅を楽しんだ翌日、今度は近郊電車KTMコミューターに乗って首都近郊の小さな旅に出てみることにした。
(→2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 3:マレー鉄道特急電車KTM-ETSの旅


午前10時のKLセントラル駅。
コンコースの自販機できっぷを買ってから、バトゥ・ケーブス(Batu Caves)行きのKTMコミューターに乗って出発!




KTMコミューターの車輌は、特急電車KTM-ETSによく似た流線型の中国製電車。
車内は日本のJRの近郊電車と同じセミクロスシート構造で、まだ新しいので清潔で冷房もよく効いてそれなりに快適だが…
窓ガラスが必ず割れているのはマレー鉄道のお約束なのか?それとも中国製のガラスはものすごく割れやすいんだろうか…?


ともあれ、KLセントラル駅から30分程で終点のバトゥ・ケーブス駅に到着。




バトゥ・ケーブス駅の周辺には、ここがクアラルンプールのベッドタウン化していると思われる高層マンション群が建ち並んでいるが、
それと共に切り立った断崖絶壁が駅の裏に迫っている。なんだか異様な雰囲気であるが…


駅前に出てみると…「何なんだ、この山紫水明で水墨画のような風景は!?」


はい、これがバトゥ・ケーブス駅の駅前広場です(笑)
ここはバトゥ洞窟というヒンドゥー教の聖地。
そそり立つ巨大な黄金の像はヒンドゥーの軍神「ムルガン神」で、この聖地からクアラルンプールの街を見守っておられるそうです。ちなみにムルガン神は日本でもお馴染みの象の姿の「ガネーシャ神」の弟さんなんだとか。

バトゥ洞窟はマレーシア国内でも人気のある観光地で、実際に洞窟の中に入って探検する事も出来るそうだが、気温30度を超える蒸し暑さの中で洞窟へと続く長い長い階段を登る気力は無い…
おのれの不甲斐無さをムルガン神に詫びるような気分で、バトゥ・ケーブス駅から再びKTMコミューターに乗って折り返す。


バトゥ・ケーブス発のKTMコミューターに乗ってクアラルンプール市街地を走り抜けそのまま南下して、到着したのはスレンバン(Seremban)駅

スレンバンはスズ鉱山開発で発展した街だそうで、人口は55万人程。ちょうど熊本市よりちょっと小さいくらいの地方都市である。
駅舎は街の規模に対しては小さめのクラシカルな建物だが、駅前には大通りが走り自動車の通行量がかなり多い。駅の近くには大きなショッピングモールもあってなかなか栄えている印象。




ちょうどお昼時なので、駅前のショッピングモールのパン屋で買ったパンとカルピス(マレーシアオリジナルのマンゴー味!)で昼ごはん。
スレンバン駅には小さな屋台村もあったが、暑さと連日のコッテリ系マレー風肉料理に少々食傷気味だったので簡単に済ませる。

腹ごしらえを済ませたら、さぁ再びKTMコミューターに乗って出発!


クアラルンプール方面行きのKTMコミューターを待っていたら、マレーシア南部方面行きの特急電車KTM-ETSが向かい側のプラットホームにやって来た。
昨日乗ったマレーシア北部のパダン・ブサール行きのKTM-ETSと同じ車輌で、先頭車が流線型でユーロスターのコピーのようなデザインの中国製電車だ。

KTM-ETSにはこの中国製電車の他にも、日本の丸紅が受注して韓国の現代ロテム社が製造した車体に三菱電機が電気機器類の艤装を行った電車も使われているらしいのだが、今回のマレーシア滞在中には見かけなかった。


やがてクアラルンプール方面行きのKTMコミューターが到着。
今日はこれから、この電車でクアラルンプールに向かい、KLセントラル駅で乗り換えて港街を目指すことにしよう…




そして到着したのが、クアラルンプール近郊の港街ポート・クラン(Pelabuhan Klang)
ポート・クランはマラッカ海峡に面したマレーシア最大の貿易港で、マレー半島と世界各地を結ぶコンテナ貨物船航路の一大ターミナルになっているらしい。
だがKTMコミューターのポート・クラン駅は貨物船ターミナルからは離れた静かな場所に位置していた。




ポート・クラン駅はKTMコミューターの終点だが、線路はさらに先へと伸びている。
駅前の道路を渡った先で、柵が閉まっているが…


柵越しに見る線路。どうやら港地区へと続く貨物線のようだ。
レールの表面が車輪で磨かれて光っているので、貨物列車の運行本数は結構多いものと見える。

…貨物列車が来ないか暫く待っていたが、もう夕方近くで時間が遅いせいか来る気配がない。
仕方がないので、ポート・クラン駅の周辺を少し散策してみることにする。


駅から少し歩いたところに船着き場があった。
この沖合にある小島に蟹料理で有名な漁村があるそうで、観光客向けの渡し船も出ているようだが今日の運行はもう終わっていた。残念…




駅の近くの倉庫街の交差点に、運送業者や地元の人相手の屋台村を発見!


今日はここで夕飯にしよう。
チキンライスと搾りたての夏ミカンのジュースで、いただきま~す




屋台の店の子が、猫と遊んでいる。旅先での平和で心和む夕食時…

チキンを食べてジュースを飲み干して、暫く子供と猫を眺めてから、駅に戻る。
さて、KLに帰ろうか…






夕暮れのポート・クラン駅にクアラルンプール方面行きの近郊電車がやって来た。さぁ帰ろう。

ああ、今日も楽しかった!やっぱり鈍行列車の旅は面白い!

6:再びクアラルンプール街歩き食べ歩きに続く

2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 4:パダン・ブサール(Padang Besar)で、歩いて国境を越える

2016-09-25 | 旅行記:2016 マレーシア・タイ
Photo:パダン・ブサール(Padang Besar)のマレーシア/タイ国境検問所


3:マレー鉄道特急電車KTM-ETSの旅からの続き






マレーシアとタイの国境に位置するパダン・ブサール(Padang Besar)駅

マレー半島を縦貫する国際貨物列車や豪華クルーズ列車“イースタン&オリエンタル・エクスプレス”が行き交う国境駅であると同時にマレー鉄道の国内線特急電車KTM-ETSの終着駅であり、タイ国内へと向かうタイ国鉄の列車との乗換駅でもあるが、今日はこれから鉄道を使わずに国境を越えてタイに行ってみようと思う。

…そう、自分の足で道路を歩いて徒歩越境するのだ。

僕もちょっと昔、まだ怖いもの知らずで一丁前にバックパッカーを気取る若造だった頃は、「深夜特急」の旅に憧れて何度も意味もなく歩いて国境を越えて一人で悦に入っていたものだ…ああ、若気の至り(笑)
(→白い空、緑の田圃、紅い河~2007年夏ベトナム鉄道漂流 その2 2007年夏
(→白い空、緑の田圃、紅い河~2007年夏ベトナム鉄道漂流 その3 2007年夏
(→泰国鐡路漂流記~3、国境。ノーンカーイ・ターナレーン、そしてラオス~ 2008年夏


パダン・ブサール駅の構内には国境検問所への道案内等は一切無かったが、ほぼ全ての旅行者は駅から列車に乗って国境を越えるのだろうからこれは致し方無いこと。


駅構内に停車しているコンテナ車を連ねた国際貨物列車の編成の向かう先を目指して、とりあえず駅舎から渡り廊下を通って外に出る。
この時点で、歩いて駅の中をウロウロしている僕に白タクの運転手がしつこく「ゴートゥシティ?ホテル?タクシー?」と声をかけてくるのが、鬱陶しくも懐かしい…若い頃はよく白タクの運ちゃんをシカトしたり冗談交じりに口喧嘩したりしたなぁ。






パダン・ブサール駅構内の線路は駅の北方で単線になり、真っ直ぐタイ国内を目指して進んでいるのが分かる。
僕もなるべく線路の向かう方向へと足を進めていくと…


予想通り、国境のマレーシア側チェックポイントが見つかった。
パダン・ブサールの鉄道駅から数百メートル離れた場所に自動車と徒歩の旅行者用の国境検問所があり、マレー鉄道の線路と平行に走る道路がそのままアジアハイウェイ2号線の支線的な役割の国境を越える道になっているようだ。


国境検問所の徒歩旅行者の行列に並ぶ…
どうやらこのパダン・ブサールのチェックポイントではトラックや自家用車で国境を通過する旅行者に優先的に対応しているようで、歩いて越境する人もかなり大勢いるのにパスポートチェックの窓口は1つしか開いておらず行列はなかなか進まない。


別に急ぐ理由もないし焦っても仕方がないので、ここは一つ東南アジアの流儀でのんびり並んで待つしか無い。
のんびりムードの国境検問所では、人も猫もみなのんびりゆっくり…

30分ほど待ってようやく順番が回ってきて、国境職員と「これからどこに行くんだ?バンコクか?」「いや、今日はボーダー(国境)を越えてみるだけだ。今日中にすぐここに帰って来る」「はぁ!?…ワッハッハ、ふざけた野郎だ!!」といったようなやり取りをしてパスポートにマレーシアの出国印を捺して貰う。
晴れて越境の許可が出た。さぁ、歩いて国境を越えるぞ!


マレーシア側のチェックポイントを出て、「タイはこちら」の看板に従って国境地帯の道路を歩いて行く…
それにしても、歩行者用の歩道も路側帯も無いし時折後ろから大型トラックもやって来るので、のどかな徒歩越境に見えるが実は結構危なっかしくて恐い。




数百メートル程歩くと、タイ側のチェックポイントが見えてきた。


タイの入国審査の検問所に並ぶが、どういう訳だかマレーシアの出国検問所の数倍の長さの行列が出来ており、いつまで経ってもタイに入国出来ない…
徒歩越境する旅行者に対して、タイの入国審査は麻薬の持ち込み等を警戒して厳しくチェックが行われているのかも知れない。

結局、1時間以上も待ってからようやく窓口でパスポートチェックを受ける。JAPANの菊の御紋入りのパスポートを所持している旅行者に対しては麻薬検査も無く審査もかなり緩かったが、それでもマレーシア側同様に「これからどこに行くの?バンコク?」「いや、今日はボーダー(国境)を越えてみただけ。今日中にすぐ出国してマレーシアに帰るよ」「はぁ!?…(以下略
というやり取りを交わして、出入国カードに記入させられてから無事にパスポートにタイの入国印を捺して貰えた。


遥々やって来たぞ、タイ王国!…さて帰るか(笑)



…実際、国境を越えたタイ側のパダン・ブサールの町は小さな集落程度の規模しか無く、これと言って見て回るようなものも見当たらない(マレーシア人の男性が遊びに来る夜の歓楽街があるらしいが、そんな不健全な場所には興味ありません。いやマジで)
何より、思った以上にタイへの入国審査に時間がかかったので、早めにマレーシアに戻らないと帰りのクアラルンプール行き特急電車KTM-ETSの発車時刻に間に合うかも心配だ。

という訳で、国境検問所の前の道路を渡って数分間散歩しただけですぐに出国審査場へと向かう。
案の定、タイの出国審査も凄まじく時間がかかり、1時間以上も待ってようやく出国。ついさっき捺して貰ったばかりでまだインキも乾いていないタイの入国印の隣に出国印を捺して貰い、書いたばかりの出入国カードを提出して、再び歩いて国境地帯へ。




タイからマレーシアに向かう国境地帯の道路沿いには、ショッピングモールのように立派な免税品店もあった。


後ろからやって来たトレーラートラックを振り返ると、なんと日通のトラックだった。
この後、この日通のトラックの運ちゃんと並んでマレーシアへの入国審査のチェックポイントを通過して、ようやくマレーシアに戻って来た時には既にクアラルンプール行きKTM-ETSの発車時刻15分前。
「ギリギリセーフだったな…タイ側の町で呑気に遊んでたら絶対間に合わなかったな。まぁ、クアラルンプールに戻る列車は今日中にまだあと数本出てるけどね。」





パダン・ブサール駅前の国境のモニュメントを撮影したら、急いで駅に向かい16:15発のKTM-ETS9209列車に乗り込む。

2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 3:マレー鉄道特急電車KTM-ETSの旅

 

…かくして、マレーシアからタイへと歩いて国境を越えるだけの小さな国際旅行は数時間で無事に終わった。
タイ国内への滞在時間は実質、僅か十数分間。
でも、どうせあと数日でクアラルンプールを離れて空路でバンコクに移動するし、もう暫くしたらまたタイ王国に行くことが出来るのだ(笑)

それに何より、若かった頃バックパッカーに憧れて東南アジア各地を歩き回った、あの頃の気分に戻って純粋に旅の面白さを味わうことが出来たと思う。

「やっぱり、旅は楽しいね。一見なんでもないこと、全く意味の無い馬鹿馬鹿しいことを真剣に楽しむことが、旅の醍醐味なんだ!
さぁ、次はどんな馬鹿げたことをして旅を楽しもうか…?」

…やっぱ乗り鉄かな(笑)

5:マレー鉄道近郊電車KTMコミューターの旅に続く