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2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 3:マレー鉄道特急電車KTM-ETSの旅

2016-09-24 | 旅行記:2016 マレーシア・タイ
Photo:マレー鉄道特急電車KTM-ETS(Electric Train Service)


2:クアラルンプールの国立プラネタリウムからの続き


早朝のクアラルンプール、KLセントラル駅
2001年に開業したマレーシアの首都の新しい中央駅であり、清潔で近代的な駅構内は行き交う人々で活気に満ちている。
また、日本人建築家の故黒川紀章氏が設計を手がけた事もあってか、駅構内の案内表示には日本語が併記されているので、まるで日本国内の駅にいるかのような印象も受ける。



今日はこのKLセントラル駅から日帰りでマレー鉄道(略称KTM)の旅に出ようと思う。
マレー鉄道といえば北はバンコクから南はシンガポールまで、マレー半島を縦断する国際列車が行き交う大国際鉄道というイメージを抱くかも知れないが、実際にはマレーシア国内のみを走る「国内線」の列車も数多く運行されている。
そして、それら国内線の列車は日本のJRの在来線特急と同じように、気楽に利用できるマレーシア国民の足となっているのだ。




今日これから乗車するのは、マレー鉄道の国内線列車でも最も長距離を走る国境駅パダン・ブサール(Padang Besar)行きの9220列車
所定の発車時刻は、事前に日本国内でマレー鉄道の公式サイトで手配したEチケットによると06:46発とあるが、実際にはKLセントラル駅の発車案内表示では07:01発になったり06:57発になったり…

マレー鉄道は列車の遅延が多いとは聞いていたが、早朝の首都の中央駅でも発車時刻がはっきり定まらないとは、聞きしに勝るマイペースな運行ぶりで先が思いやられる。
乗車券は日本の鉄道より遥かに進んだオンライン予約システムで海外からでも買うことが出来るのに、肝心の運行状況がこれだけいい加減というのは不思議な気もするが…


ともあれ、午前7時頃に9220列車はなんとかKLセントラル駅を出発した。
パダン・ブサール行き9220列車は新型の特急電車で、KTM-ETS(ETSはElectric Train Serviceの略称)と呼ばれる列車種別で日本でいう特急電車に該当する。
KTM-ETSの車輌は英仏海峡トンネルを越えてロンドンとパリ・ブリュッセルを結ぶユーロスターの車輌にそっくりだが、これは中国製とのこと。


KLセントラル駅の地下ホームを出発して間もなく地上区間に出ると、朝焼けのクアラルンプール市街の超高層ビル群が列車を見送ってくれる。


KLセントラル駅発車直後のKTM-ETSの車内の様子。
基本的に全席指定で、1等2等の区分は無くモノクラス編成となっている。座席は僅かに傾く簡易リクライニングシートで、日本の特急の座席より座面が若干堅め。
マレー鉄道は線路幅(ゲージ)が日本のJRの1067mmより僅かに狭い1000mmちょうどのメーターゲージだが、車内も日本の車輌より若干狭く感じる。


車窓はすぐに、椰子の木の生い茂る風景に変わった。
マレーシアの風景は基本的に椰子かゴムの木の並木(おそらくパーム油とゴムのプランテーション)か、スズを掘っていると思しき露天掘りの鉱山のみで変化には乏しい…


そして驚くべきことに、窓ガラスが割れている事がかなり多い。
日本や他の国の鉄道では考えられないことだが、1車輌で必ず数枚は窓ガラスが割れたりヒビが入っている状態で、よくこんな状態で平気で走っているなと心配になってしまう。
走行中にガラスが砕け散ったりしないのであろうか…


車内の天井にはモニタ画面が設置され、映画のサービスを実施中(ちょうど懐かしのアニメ「トムとジェリー」を放映中…)
それと同時に列車の運行状況を案内表示しているが、日本のJRより狭いメーターゲージでしかも窓が割れているのに時速134キロでブッ飛ばしている。最高速度はどうやら時速140キロまで出すようだ。


車内の天井には運行区間の停車駅や路線、そして編成内容の案内が張り出されている。
C号車にはビュッフェかカフェテリアがあるようだが、その隣りにあるSURAUとは一体…?


早速、実際に見に行ってみるとムスリムが祈りを捧げる為のイスラームの礼拝室があった。
敬虔なイスラーム国家であるマレーシアの鉄道ならではの車内設備だ。


そしてこちらが、礼拝室の隣のカフェテリア
KTM-ETSではワゴンサービスは実施しておらず、車内での飲み物食べ物はすべてここで販売している模様。


サンドイッチや御飯物、中華などの簡単な軽食のみのメニューだが、発車が早朝で朝食をとらずに乗車した乗客が多いせいか飛ぶように売れていく。


という訳で僕も、売り切れる前にチキン添えフライドライスとマレーシア名物ホワイトコーヒー(砂糖とマーガリンで煎った甘いコーヒー)のセットを購入。
価格は9リンギット(約220円)で、味はまぁまぁかな。
…日本の感覚からするとかなり安いけれど、街中の屋台村で食べるとこの半額くらいなんだよね(笑)






食事している間にも、列車は時速140キロでマレー半島をどんどん北上…
一路、タイ国境の街パダン・ブサールを目指す。






変化に乏しかった車窓に突如巨大な湖が現れ、列車はそのまま湖の上を高架橋で突っ切り渡って行く。
この湖はどうやら、かつての露天掘りのスズ鉱山に雨水が溜まって出来たブキメラ湖という人口湖らしい…




湖を渡ると車窓は再び、単調なマレーシアらしい風景に…


定刻から30分ほど遅れて昼の0時半頃、KTM-ETS9220列車は終点のパダン・ブサール駅に到着した。


パダン・ブサール駅はマレーシアとタイとの国境駅であるが、殆どの乗客はそのままタイ国内方面行きの列車に乗り換えてしまうのか、駅構内の待合室は閑散としている。



さて、無事に国境の街パダン・ブサールに着いたので、僕も国境を越えてタイに行ってみようと思う。
…とはいえ、列車を乗り継いでタイに行ってもあまり面白くない。
ここは是非、昔バックパッカーを気取って東南アジアのあちこちを歩き回っていた頃に幾度もやらかした経験がある“自分で歩いて道路の国境を通過”を久しぶりにやってみようと思う!

…と、このまま読者の皆さんとご一緒に国境検問所に向かいたいところですが、あいにく記事の紙面が足りないので、その話はまた後で改めて書きます。
乞うご期待!


※追記:徒歩越境の記事、書きました

→2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 4:パダン・ブサール(Padang Besar)で、歩いて国境を越える





パダン・ブサール駅に到着してからおよそ4時間足らず、16:15発のKTM-ETS9209列車に乗ってクアラルンプールに帰る。
…本当に“ただ歩いて国境を越えて、また戻ってくる”だけのパダン・ブサール滞在だった。


帰りの9209列車は派手な企業ラッピング車輌だった。


帰りも車内のカフェテリアで、ビーフンと今度はブラックコーヒーのセットを買って遅い昼食…
おかしいな、ブラックコーヒーの筈なのにかなり甘いぞ(笑)

帰りの車窓も行きに見たのと同じ、やはり単調なマレーシアの風景…
なのだが、途中で一箇所だけ違う景色を眺めることが出来た。




車窓に広がる干潟の河口と、遠くに見える島影…
ここは港街のバターワース駅へと続く盲腸線で、向こうに見えるのは「東洋の真珠」として名高いペナン島だ。

行きに乗った9220列車はタイ国境への速達ダイヤでバターワースを無視して通過してしまったが、帰りの9209列車はちゃんとバターワースに立ち寄って折り返す律儀なダイヤになっているのだ。
おかげで、行きには見ることができなかった有名観光地ペナン島の島影を見ることが出来た。
…そう、あくまで「見るだけ」なのだが。ううっ、一度くらいは「東洋の真珠」で優雅に楽園リゾートを満喫してみたいものだ…




「東洋の真珠」を素通りしてストイックに走り続けたマレー鉄道の特急電車KTM-ETS9209列車は、定刻から10分程度の遅れで午後10時頃に終点のKLセントラル駅に到着した。
早朝から夜中まで一日中かけてマレー鉄道の北半分を往復した、馬鹿馬鹿しくも妙に充実してそれなりに楽しい一日だった。

さて、帰りの列車内でガンガンに効いた冷房で冷え切った身体とお腹を温めるために、ホテルに戻る前にちょっとクアラルンプールの中華街に寄って夜市の屋台で軽く何か食べていくかな…!
だがしかし、KLのチャイナタウンはかなり生真面目で健全らしく、まだ日付の変わる前だというのに夜市は店仕舞いしてしまっていて、結局疲れ切って空腹のままホテルに帰り寝る事になったのであった(笑)

4:パダン・ブサール(Padang Besar)で、歩いて国境を越えるに続く


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