スタジオジブリの宮崎監督が「風立ちぬ」をもって、長編映画監督業を引退することを発表しました。
恐らく私の世代の多くは宮崎監督と高畑監督の作品をほぼリアルタイムで見て育った世代だと思います。
思うに、映画も音楽も本も感受性が豊かな幼少時代から青年時代に見たものが一番影響を受けると思う。私は宮崎監督の作品の対象世代に一致していたのではないのかとも感じています。
多くの日本人がよく知っている作品なので、今更それについて書くのもどうかと思ってずっと書かずにいたのですが、いつか書きたいとも思っていました。
子供の頃、「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」「ルパンⅢ世」等を再放送も頻繁にしていたので、繰り返し見ていました。(恐らく、このリピート放送が質の高い作品を作り続けた宮崎・高畑両監督、ジブリにとってよいことだったのだと思う。)
ハイジのチーズを火であぶってとろかしながらパンに乗せて食べるところや山羊の乳が美味しそうだな、と思ったり。ルパンの世界各地の歴史や文化をストーリーに盛り込んだ物語は毎回が楽しみでした。
「ルパンⅢ世 カリオストロの城」
序盤のカーチェイスシーンはアニメーションでしか見ることができない面白さで、当時、この作品も繰り返し見たものでした。
ちなみにイタリアではルパンⅢ世は非常に人気があり、その後、宮崎監督の知名度がイタリアでも高くなったときに、ルパンに関わっていたことが分かったようで、このカリオストロの城がテレビで放送されたそうです。
入学祝に「風の谷のナウシカ」の前売り券を叔母にプレゼントしてもらって、映画館で立ち見をしました。
観た後、姉が買ったパンフレットを見て、王蟲や腐海、植物の生態系の謎等、宮崎監督の作り出す世界観に圧倒され、「どうして、こんなことが思いつくのだろう?」と今思えば宮崎監督の天才性を思い知らされた(笑)第一歩となりました。
恐らく「ナウシカ」はジブリの作品でどれか1本選ぶなら、と言われたなら最後まで悩むうちの1本に入ると思います。
「天空の城ラピュタ」は当時、電車の吊革広告で見ていた気がするなぁ。バブル真っ盛りな時代だったような記憶があって、この時代によく少年文学のような作品が作れたなぁ、と思ったものですが、観てみると、本当に面白い。
冒険活劇、謎、敵、宝、子供がわくわくする要素がすべて詰まっていて、完成度が高いので大人の鑑賞に堪えるどころか、大人も童心に戻って楽しんでしまう作品になっています。
大人になると、ラピュタに生息していた生物たちがどんどん高度が高くなった場所で対応できるのかどうか心配なのですが…。
「となりのトトロ」
当時はジブリの作品と言えば、ヨーロッパが舞台にしたものが多く、ヨーロッパの街並みを楽しみにしていたので、どうして日本を描くのだろう?というのが映画が告知された後の率直な気持ちでした。
しかし、歳を取れば取るほどよい作品だと思う。メイちゃんのサツキちゃんの言葉を真似して繰り返すことや、庭で遊ぶ行動は実際の子供の動くそのものだと思うし、近所の御婆さんとのお留守番中にお姉さんに会いたくなってしまう行動や雨粒が傘に落ちる音をトトロが目を輝かせながら面白がる姿とかは忘れかけていた子供時代を思いかえしてくれるし、そういう何気ないシーンとトトロや猫バスが出てくるファンタジーなシーンのどこをとっても、童心を思い出す何とも言えない幸福感を感じさせてくれます。それでいて、お母さんの病状を心配する姿もあり、子供向けであってもただただ幸福なだけの映画になっていないところも宮崎監督の力量だと思う。
当時、家族が今でも愛読している「キネマ旬報」の邦画ベスト1になっていた思います。映画紙の中で硬派な雑誌だったので、アニメーションが1位になるんだ、と感心したものです。
この作品はフランスで全映画のDVDの売り上げの第一位になったそうです。
つづく。
恐らく私の世代の多くは宮崎監督と高畑監督の作品をほぼリアルタイムで見て育った世代だと思います。
思うに、映画も音楽も本も感受性が豊かな幼少時代から青年時代に見たものが一番影響を受けると思う。私は宮崎監督の作品の対象世代に一致していたのではないのかとも感じています。
多くの日本人がよく知っている作品なので、今更それについて書くのもどうかと思ってずっと書かずにいたのですが、いつか書きたいとも思っていました。
子供の頃、「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」「ルパンⅢ世」等を再放送も頻繁にしていたので、繰り返し見ていました。(恐らく、このリピート放送が質の高い作品を作り続けた宮崎・高畑両監督、ジブリにとってよいことだったのだと思う。)
ハイジのチーズを火であぶってとろかしながらパンに乗せて食べるところや山羊の乳が美味しそうだな、と思ったり。ルパンの世界各地の歴史や文化をストーリーに盛り込んだ物語は毎回が楽しみでした。
「ルパンⅢ世 カリオストロの城」
序盤のカーチェイスシーンはアニメーションでしか見ることができない面白さで、当時、この作品も繰り返し見たものでした。
ちなみにイタリアではルパンⅢ世は非常に人気があり、その後、宮崎監督の知名度がイタリアでも高くなったときに、ルパンに関わっていたことが分かったようで、このカリオストロの城がテレビで放送されたそうです。
入学祝に「風の谷のナウシカ」の前売り券を叔母にプレゼントしてもらって、映画館で立ち見をしました。
観た後、姉が買ったパンフレットを見て、王蟲や腐海、植物の生態系の謎等、宮崎監督の作り出す世界観に圧倒され、「どうして、こんなことが思いつくのだろう?」と今思えば宮崎監督の天才性を思い知らされた(笑)第一歩となりました。
恐らく「ナウシカ」はジブリの作品でどれか1本選ぶなら、と言われたなら最後まで悩むうちの1本に入ると思います。
「天空の城ラピュタ」は当時、電車の吊革広告で見ていた気がするなぁ。バブル真っ盛りな時代だったような記憶があって、この時代によく少年文学のような作品が作れたなぁ、と思ったものですが、観てみると、本当に面白い。
冒険活劇、謎、敵、宝、子供がわくわくする要素がすべて詰まっていて、完成度が高いので大人の鑑賞に堪えるどころか、大人も童心に戻って楽しんでしまう作品になっています。
大人になると、ラピュタに生息していた生物たちがどんどん高度が高くなった場所で対応できるのかどうか心配なのですが…。
「となりのトトロ」
当時はジブリの作品と言えば、ヨーロッパが舞台にしたものが多く、ヨーロッパの街並みを楽しみにしていたので、どうして日本を描くのだろう?というのが映画が告知された後の率直な気持ちでした。
しかし、歳を取れば取るほどよい作品だと思う。メイちゃんのサツキちゃんの言葉を真似して繰り返すことや、庭で遊ぶ行動は実際の子供の動くそのものだと思うし、近所の御婆さんとのお留守番中にお姉さんに会いたくなってしまう行動や雨粒が傘に落ちる音をトトロが目を輝かせながら面白がる姿とかは忘れかけていた子供時代を思いかえしてくれるし、そういう何気ないシーンとトトロや猫バスが出てくるファンタジーなシーンのどこをとっても、童心を思い出す何とも言えない幸福感を感じさせてくれます。それでいて、お母さんの病状を心配する姿もあり、子供向けであってもただただ幸福なだけの映画になっていないところも宮崎監督の力量だと思う。
当時、家族が今でも愛読している「キネマ旬報」の邦画ベスト1になっていた思います。映画紙の中で硬派な雑誌だったので、アニメーションが1位になるんだ、と感心したものです。
この作品はフランスで全映画のDVDの売り上げの第一位になったそうです。
つづく。