La douce vie

sweetsや美味しいもの,雑貨,映画,art,音楽,本,マンガ,スポーツ観戦,ice show,旅行等ゆるブログです

川原泉「銀のロマンティック・・・わはは」

2006-02-26 | book/comic
ずいぶん古いマンガの話しです。川原泉の「銀のロマンティック・・・わはは」こっちが気恥ずかしくなるようなタイトルです。

更紗はバレエダンサーを父に持つ高校生。彼女もバレリーナだが、動きの繊細さに欠け、公演メンバーから外されてしまう。落ち込んだ更紗は気分転換に亡くなった母とよく行ったスケートセンターへ。そこで、負けず嫌いなお兄さと知り合う。二人はなりゆきでジャンプ合戦をする。そこへ偶然、フィギュアの兄妹コーチが彼らを見かける。兄妹は長年育てていたペアに逃げられたいたところだった。

稀な才能とスカウトをするが、負けず嫌いのお兄さんは数ヶ月前にスピードスケート選手で致命傷を負った影浦選手だった。
バレエ出身の更紗とスピードスケート出身の影浦は豊かな運動神経を活かし、いきなり全日本チャンピオンになってしまう。

日本で優勝したものの、次のMHK杯(マンガなので・・・)でせいいっぱいの滑りをしても世界との力の差は大きかった。
技術はトップ並みでも芸術性を現す余裕がなかったのだ。日本のペアの壁は異様に薄いが世界のペアの壁は異常に厚かった!
世界選手権を前に二人はクワドラプル(4回転)に活路を見出す。そして、もうひとつの大きな難題、表現力が伴わない二人が目指す「美しさ」の世界は・・・

タイトルはコーチが情緒感あふれる演技を表現するのに恥ずかしげもなく使う言葉です。羞じを知る文化で育った日本人コンビの二人はこの「銀のロマンティック」の世界に途方に暮れてしまいます。
昔のスポ根モノでも少女マンガ然としたマンガでもなく、ほんわかとしたコメディですが、漫画家なのに「川原教授」とあだ名されるだけあって豊富な知識と語彙、ともすると絵よりも文字の方が多いくらいの独特の世界です。昔の採点方式なので、改めて読むとなつかしく感じられます。
ずっと笑って読んでいられるのに、ラストシーンは何度読んでも目頭が熱くなってしまいます。