La douce vie

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「御宿かわせみ」の魅力

2006-02-08 | book/comic
御宿かわせみ」は江戸時代末期。おるいさんは同心の父親の死を期に役職を返上し、父の代からのつきあいである働き者のお吉と父と一緒に捕物をしていた嘉助さんと町人として小さな旅館「かわせみ」を大川端で営み始めます。
おるいさんが旅館をはじめた理由の1つは幼馴染の神林東吾さんの存在。
両親に早死にされた東吾さんは歳の離れた兄の通之進にかわいがって育てられました。体の弱い兄は夫婦仲睦まじいが子供がおらず、東吾さんに与力職を継がせようと考えており、東吾さんは親代わりに育ててくれた兄の思いをつっぱねることができません。身分社会の当時は二人の結婚はありえず、まして、東吾さんには兄嫁の妹であり亡き父の親友の娘である七重を夫婦にするという亡き父の親友のたっての願いがありました。
そんな、おるいさんと東吾さんを中心にいろいろな事件が旅館で起きたりや同心で幼馴染の源さんや蕎麦屋を営む岡引の長助から持ち込まれます。
最初の3冊くらいはすごく面白い、というほどでもないのですが、5冊くらい読みすすめると、登場人物の多いこの話ですが、脇役まで個性や背景ができていて話に深みを増していきます。
作者は恐らく現代を意識しながら作品を書いているので、現代をテーマに考えられるような話も多いし、事件も苦々しいまま終わる話もあります。また、まったく事件性のない話も私にとって魅力の1つです。
そして、おるいさんや周囲の人々の性格もはっきりと善人悪人と別れるわけではなく、いい面も悪い面も持ち合わせた生活しているものの個性が出ています。また、彼らの生活は幸福なようで、どの登場人物もどこかに陰があるところが読みつづけられる理由かもしれません。
本は冊数を重ねるごとにきちんと時計も動いており、冒頭の設定から少しづつ立場や人間関係が変わってきます。私はこの前読んだのは27巻。幕末の気配が色濃くなりつつあります。
まるで長いつき合いのご近所さんみたいな登場人物たちが幕末をどう生きるか、それも少し気になりはじめています。