徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

2017年11月27日 | 書評ー小説:作者ア行

『劫尽童女』はバイオレンス・アクションの目立つSF小説です。父・伊勢崎博士の手で超能力を与えられた少女・遥は親子で、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していて、7年経って再び戦いが始まるという設定です。父はがんで余命がいくばくもなく、再燃した最初の戦いで命を落とします。天涯孤独の身となった遥は、特殊能力を持つ大型犬アレキサンダーと共に身を潜めつつ、組織と戦います。

ストーリー設定は悪くないのですが、恩田陸はバイオレンスシーンの描写に松岡圭祐のようなハラハラする臨場感に欠けているのが残念です。

また、ZOO崩壊後に遥の弟・トオルが登場するのですが、母・ハナコと共に謎の退場するのが腑に落ちない感じです。ラストもなんだか納得がいかない終わり方です。全体的に殺戮が多すぎで、ストーリーの中での必然性があまり感じられないのも難点。

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