徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:恩田陸著、『Puzzle』(祥伝社文庫)

2017年09月28日 | 書評ー小説:作者ア行

『Puzzle』(祥伝社文庫)は2000年に発行された作品。

コンクリートの堤防に囲まれた無機質な廃墟の島・鼎島で見つかった奇妙な遺体達。学校の体育館で発見された餓死死体。高層アパートの屋上には、墜落したとしか思えない全身打撲死体。映画館の座席に腰掛けていた感電死体。しかも、死亡時刻も限りなく近い。偶然による事故なのか、または殺人なのか?というミステリー。

まずは第1章「Piece」で、廃墟の島・鼎島で見つかった3体の奇妙な遺体を報じる記事が提示され、そのあとにそれぞれ関連性のない記事が続き、「なんじゃこりゃ?」と読者に思わせ、関心を抱かせます。

次の章「Play」で二人の検事がくだんの廃墟の島に上陸し、この謎に迫ります。そして第3章「Picture」で種明かしするという構成です。

廃墟の島の情景の描写自体もなかなか興味深いですが、そこで起こったことというのがまた何とも不思議なことで、「そんなことあるの?」と全体の「絵(Picture)」を見せられてもなんだか腑に落ちない、騙されたような気分になりました。「それで終わり?」と軽い失望感も覚えました。

先が気になって一気に読み切ってしまいましたので、話運びが面白くないというわけではないのですが、着地点に疑問を覚えてしまったんです。個人的な好みの問題でしょうか。

ちなみに第2章に登場する関根春は、『六番目の小夜子』や『図書館の海』などに登場する「関根家の人々」の一人らしいです。

恩田作品はまだ読み始めたばかりで、知らないことがいっぱいです。読破するのが楽しみです。

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