このところずっと探偵小説ばかり読んでいたので、ちょっと気分を変えて、買ってから随分と長いこと放置していた恩田陸のエッセイを読んでみました。
『隅の風景』(2013)は紀行エッセイで、作者の趣味と独断が思いっきり炸裂していて面白いです。ビールがそんなに好きか?とかそんなに肉ばっかりよく食べられるな~、と突っ込みたくはなりますが(笑)
目次
ロンドンで絵を買う
チェコ万華鏡
ほどよい距離、ほどよい広さ 郡上八幡
不信心者の「お伊勢参り」
『冷血』と家光の墓 日光
雨の街、風の城 -台湾ブックフェア報告
仙人は飛び、観音菩薩は微笑む 韓国 雪獄山
スペイン奇想曲
阿蘇酒池肉林
熊本石橋の謎+馬刺し憧憬
曽我入鹿の玄昉の首塚 奈良
銀の箸の国で 韓国 ソウル
真昼の太陽を見上げる 北京、上海
付録・旅のブックガイド
ゲニウス=ロキ覚書
あとがきに代えて(2010)
文庫版あとがき(2013)
エッセイを読んでいると、恩田氏は旅に出ると着実に小説のイメージを得ているのだということが分かります。観光地に行って何をどう感じるかというのは極めて個人的なものですけど、日本の観光は「点と点」を結ぶことしか考えておらず、途中の線がない、だからゆっくり思索しながら歩いて行こうとする人たちのための歩道や休憩所がないという指摘に続いて、「日本は国民が思索することを好まない」という結論を導き出すあたりはなるほどなと感じました。
「スペイン奇想曲」を読んで、今度は北スペインにも行こうと秘かに決意を固めました。
チェコの「ふしぎな庭」の本を読むクジラの話が面白かったです。ビールがたいそう美味しいらしいですが、私はそもそもお酒をほとんど飲まないので、プラハに行った時も一滴も試しませんでした。グーラッシュは散々食べましたけど(笑)
郡上八幡や阿蘇なども訪れてみたいとは思いますけど、ドイツに住んでるので、スペインに行くよりずっと難しそうです。