徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:恩田陸著、『ネバーランド』(集英社文庫)

2017年05月26日 | 書評ー小説:作者ア行

恩田作品第三弾として2003年発行の『ネバーランド』(集英社文庫)を手に取ってみました。

商品説明では:

伝統ある男子校で寮生活をおくる少年たち。年末、4人の少年が居残りすることに。人けのない寮で起こる事件を通して明らかになる「秘密」とは。奇蹟の一週間を描く青春ミステリー。

とありましたが、どこらへんがミステリーなのかよくわかりません。

他の商品説明では:

舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

とあって、どんな「謎」なのかワクワクしていたのですが、まあ、「事件」と言っても殺人事件とかではないし、「謎」と言っても、誰がとあるいたずらをしたのか、または幽霊の正体はなんだったか、みたいなレベルのもので、あんまり「ミステリー」という感じがしませんでした。

それでも少年たちの抱える事情は興味深いですし、トラウマとかそれを乗り越えて行こうという意志、将来の夢などが生き生きと描かれていて、青春群像小説として楽しめます。

少年4人の濃厚な2週間を描かれています。4人だけで一緒に過ごすうちにそれぞれの秘密を打ち明け合う密な関係になる少年たち。途中、かなり緊迫感のあるケンカがあったり、両親が訪ねてきてキレちゃったり、というドラマが展開し、そうかと思えばスポーツに夢中になるさわやかシーンも生き生きと描かれて、とてもメリハリのある小説になっています。

どの子も、いろいろ事情がある割には素直というか真面目というか、擦れてない感じで、かわいらしい。でもそういう子たちが、毎日のように酒盛りをして、タバコ吸ったりもするのがちょっとちぐはぐな印象を受けます。

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