福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

被爆78年目の夏(5)  国連機能不全で国際法はほぼ形骸化(2)

2023年08月14日 09時12分31秒 | 政治・経済 国際関係
 国際社会に国際法という規範が存在することも事実。しかし、基本的原理の確認だけであり実効性は乏しい。

 国際法の流れを見ると、19世紀以降、国際的の商品取引、資本輸出が増大し、交通・通信手段も発達するにつれて、国際法の必要性は増している。
 通商航海条約をはじめ、領事関係、犯罪人引渡し、郵便、電信、鉄道、著作権、工業所有権などを規制する無数の条約が締結され、国際法の内容を豊富にしてきた。
 これらの中では国際法は一部機能している、と言える。

 国際法は国家間の対立関係に関しては無力であった。
 ◉第一次世界大戦以前
 戦争そのものを実行する国家の行為については、まったく放任し、法的規制の対象としなかった。いわば戦争は、国家の大義を認めさせる最後の手段とされてきた。

 ◉第一次世界大戦以降
 侵略戦争すなわち攻撃戦争を違法化する一般的な条約が結ばれてきた。国際連盟規約、不戦条約、国際連合憲章はその代表的な例である。

 ◉米英のイラク攻撃 
 2003年3月、米英など「有志連合」は一方的にイラク攻撃を始めた。2001年のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに、アフガニスタンに続いて、イラクを標的にした。これによってフセイン体制が、あっけなく崩壊した。

 今日では侵略戦争の違法性は、世界のすべての国によって法的に確信されている・・・と、ロシアのウクライナ侵攻までは思われていた。私もそう思っていた。

 しかしながら、調べてみればソ連、ロシアが他国と結んだ条約などが悉く無視されてきている。枚挙にいとまがないほどである。
 これらの2国間の条約や約束はかつてのソ連、ロシアによって見事に破られた。対ロシアの不信感は私にもあるが、調べてみれば欧米の歴史は対ロ不信感に基づいていると言っていい。

 我が国との間でも、ソ連は日ソ中立条約があるにもかかわらず1945年(昭和20年)8月8日に対日宣戦布告を行いわずか1週間で漁夫の利を得た。
 これにも日本は戦後沈黙し、犯罪性を問うことなく有耶無耶にした。シベリア抑留と強制労働も同様である。シベリア抑留に対する国の公式見解は聞いたことも見たこともない。

 今回のロシアのウクライナ侵攻は国連の常任理事国であり、核保有国であるロシアが、他国の領土の一体性や政治的独立を脅す武力の行使を禁じた国連憲章や国際法を無視し、大規模な武力行使によって現状変更を試た。

 ロシアは核兵器など大量破壊兵器の使用もちらつかせている。
 さらに、ロシア軍は民間人を標的とする非人道的な攻撃をあからさまに行っている。

 ロシアは批判を受けているだけで、どこからも軍事的実効的抑制を受けていない。プーチン批判は何ら実効を果たしていない。

 国際法は無とは言えないが、この程度の力しかない。
 日本の大学にも国際法専門学者が大勢いるが、ほとんど沈黙している。何故なのか? もともと学者の存在意義はそれほどないが、もう少し情報を発信していいのではなかろうか。存在意義が問われる。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする