国際法は存在する。しかしながら、とても脆弱である。とても法と言えるものではない。
各独立国では国内法は充実してきている。
日本の国内法と国際法を比較してみれば以下のような差異があり、国際法の問題が浮き彫りになる。
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●立法機関がない
国際社会には各国の議会に相当するような立法機関がない。
そのため、すべての国家を拘束する強い法になりえず、理念的慣習的の形態でしか存在し得ない。
●裁判機関ががない
国際社会には裁判機関がない。
現在では国際連合の主要な司法機関として国際司法裁判所が設けられている。今回のロシアの戦争犯罪を論じる際にも時折話題になっている。しかし、当事国間の合意がなければ裁判できないことになっている。
その結果、国際法に違反する紛争でも、裁判所の判断に服するとは限らない。果てしない水掛け論が繰り返されたり、結論まで至らずに審議が終了する可能性もある。
●法の執行機関がない
国際社会には法の執行機関がない。
国家の場合には、警察などがあって犯罪を防止し秩序を維持するから裁判所の判決も実効的に執行できる。国際社会には、統一的な権力的機関は存在せず、国際法違反を実効的に監視・執行する制度がない。
侵略戦争に対して国連が防止措置や強制措置をとる制度はあるが、その実効性は保証がない。
漫画チックで仮想の話であるが、国連に国連軍があって国際条約違反の国に力を行使できれば抑止力になるが、現実にはあり得ない話である。
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国際法には、このような脆弱性がある。
だから、法の文章にそぐわないレベルの機能しかない。
一方、国際社会に国際法という社会規範が存在することも事実。しかし、基本的原理の確認だけであり実効性は乏しい。