私は持っていた書籍のほぼすべてを自分でばらしてスキャナーで取り込み電子化した。部屋がすっきりして、本当によかったと思っている。
一方、私はまだ本や雑誌の電子版ほとんど購入していない。やはり購入する本は紙の書籍がいい。
電子書籍に疑問を持っている。第一は価格面である。紙の本はエコではないし、電子書籍作成過程も大幅に省力化できるはずだからもっと安くてもいいじゃないだろうか。しかし紙の書籍に負けず劣らず高額である。
幼い頃からの習慣で、本は紙で読むものと思っていた。 紙の本は重いし、手触りが感じられるし、それぞれの本には匂いもある。 装丁も重要な要素で、眺めるだけでも楽しい。紙の本は内容はもちろん、外側からも愛でられる。
私が自炊し始めた当時はまだ、電子化書籍を読む端末が一般的に普及していなかった。 タブレットはもちろん、スマホも現在のように、学生や子どもまでが持つような状況ではなかった。
しかしその後のスマホやタブレットの普及はすさまじく、あっという間に広がっていった。
私が蔵書の書籍化を始めたのは終活の一環としてこの世に残す物理的な荷物を減らすためであって、当初は電子化するものの書籍をタブレットで読む気にはならなかった。
そのうちに必要があってその一部を読み始めたのであるが、当初はただ目がタブレット上の字面を追っているだけで文章がまったく頭に入ってこないのには自分でも驚いた。
徐々に慣れ、結果的にとても便利な存在となった。ここ10年ほどは購入した書籍は装丁や感触を楽しんだ後すぐにバラして電子化し直接読むことはほぼ皆無になった。
しかし、電子化書籍の場合、気になった文章をあとから探そうとしても、どこにあったのか分かり難い。紙の本だと、パラパラめくりながら大体このあたりにあったはずと、見当がつけられるが、パラパラめくりが不得意なタブレットではそれができないので、目当ての文章がなかなか見つからずにひと苦労する。これが電子化の大きな欠点である。
それへの対策として目次をじっくり見て本の構成を頭に入れて読み、時々また目次に戻リ再確認する。従来ほとんど見なかったインデックスも利用する。これで電子化の欠点をかなりカバーできるようになった。
かつては、将来はすべて電子書籍になるだろうという書籍編集者もいた。しかしそうはならなかった。電子書籍にもたくさんの利点はある。
しかし、紙の書籍の魅力を電子書籍は凌駕することはできなかった、と思う。
紙の本を手にしたら、内容はもちろん、その触感から様々な想像する。紙の本は視覚だけではなく、触覚、嗅覚などの五感を通して私どもを養ってくれる。 これが本の魅力である。
読書は、手軽に文章が読めればいいのではない。読んだら機会を得てアウトプットしないと読書の価値は発揮できない。だから、私は紙の本のよさを無視できない。
だから、まず紙の書籍を購入し、その存在を十分あじわってから電子化する所以である。