福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

日本の医療の現状と課題(10)皆保険制度(9)国民医療費の実態

2011年09月23日 12時43分51秒 | 医療、医学
 厚労省が先月発表した平成22年度「国民医療費の動向」概算を見ると36.6兆円で、前年比1.3兆円の増加、8年連続最高額を更新している。8年も連続していることの背景は医療の高度化、高齢化が主であるから、抜本的対策をしなければ今後もこのまま続く。日本の経済が成長路線にあるのならそれでも良いが、状況は逆でマイナス要因が大きい。だから医療提供体制、皆保険制度の質的改善は喫緊の課題である。
 まだ平成22年度医療費の詳細は発表されていない。前年とそう変わるはずもない。前年度のデータを簡単にまとめてみた。資料は厚労省のデータによった。

 ■平成21年度の概算医療は35.3兆円で、前年度から約1.2兆円(3,5%〕増加した。
 ■平成13年度以降では最大の伸び率であった。
 ■一日当たりの医療費は対前年度比で4.1%増加。理由は高齢化・医療の高度化と、受診抑制効果が不十分であったためと考えられる。
 ■医療費の内訳は入院14兆円(3.1%増)、入院外12.7兆円(2.8%増)、歯科2.5兆円(0・7%増)、薬剤5.0兆円(7.0%増)。
 ■調剤を含む外来医療費は全体の52.8%。
 ■受診抑制効果減の原因は介護療養病床減で退院患者減も一因。
 ■生活保護受給者が増え、医療費が対前年比5%増の1.7兆円。
 ■70歳未満は18.1兆円で2.2%増、70歳以上は15.5兆円で4.6%増、75歳以上の後期高齢者は12.0兆円で5.5%増と倍以上の伸びた。
 ■施設別えは大学病院5.6%増、公的病院4・6%増、診療所は1.7%増。
 ■診療所の科別では、内科、外科、整形外科で伸ぴ、小児科、皮膚科、産婦人科、耳鼻科で減少。

 要するに、医療費増加と直結する因子は、■医療の質的高度化■高齢化に伴う医療の量的増加、の二点に集約される。
 国民皆保険制度はスタート時からこの半世紀コンセプトは変わっていない。時代は変わった。何もかも、と言って良いほど変わった。経済力、マンパワーは今後も右肩下がりになると予想されている現在、皆保険制度の持続を困難にする要因がここまで明らかになっているのに、8年間も手をこまねいていて良いのだろうか。

 政府、国民、医療関係者とも現状の仕組みの中で医療・福祉の一層の充実を叫んでいては先細りである。三方一両損の考え方の導入が必要となろう。
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