福田の雑記帖

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日本の医療の現状と課題(8)皆保険制度(7) 英医学誌「ランセット」で取り上げられた

2011年09月04日 13時04分04秒 | 医療、医学
 日本の皆保険制度は患者側には優れたものと思うが、総合的に見れば、今日的には決して理想的なものではないし,現状のあり方のままでは存続が困難、いや不可能だと私は考えている。

 この9月1日、英国の著名な医学雑誌「ランセット」は、日本の「国民皆保険制度達成50を記念」の日本待集号を発刊した、と岩手日報で報じられ、その記事を私は興味を持って読んだ。

 新聞の紹介記事には、低医療費で世界一の長命を達成した日本の医療制度を高く評価している一方で、 国内では「医療崩壊」が叫ばれ、急速な高齢化や財政難、改革の先送りで、国民皆保険制度の持続性が危ぶまれている、と指摘しているそうである。

 記事によると、2008年時点でわが国の医療費は、GDP比でみるとOECD加盟国中20位でありながら、最良の結果を達成している、と指摘し、世界に教訓を提供できる、と評価している。しかし、医療分野の人材不足など現行制度の課題が浮き彫りになり、東日本大震災もあって、「低い経済成長と不安定な政治状況が、医療保険制度の改革を困難にしている」と分析している。
 また、国から都道府県への権限移譲、保健医療分野での国際交流の活発化など四つの改革を提案している、とのことである。
 同誌のR・ホートン編集長は「医療サービスに格差が生じるなど、保険の質が悪化する危険な兆候が見え始めている。皆保険制度は改革の必要性は高まっており、政治はリーダーシップを発揮してほしい」と話している、とのことである。
 
 私はこの「ランセット」をまだ直接読んではいないが、注目すべき内容だと思う。これがどのような研究者によって記載されているか興味が持たれるが、わが国の医療関係者、為政者がもっと真摯に考えなければならない事項である。わが国の医療は外の目にどのように映っているかを知る良い機会になりそうである。

 一般的に スリランカやキューパの如く社会主義的制度の国では経済状態の割には高い保険医療が提供されている。一方で、医療制度がより市場原理化している国では、最新のの医療が提供されているのにもかかわらず、国民の満足感はさほどではない。わが国は医療の財政制度が社会主義的で、国公立の医療機関・公的病院は公的保護が受けられる。一方、地域医療の維持に大きく貢献している私的医療機関は市場主義的立場に置かれているという、不可解で不思議な構造になっている。

 この辺のことも含めてどう評価されているのだろうか。この論文を早く入手したいものである。
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