わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ1

2019-06-14 17:52:01 | 続 電動ろくろに付いて
電動ろくろに付いては、過去に何度かお話しましたが、新たな視点から述べたいと思います。

初心者の方で、電動ろくろに興味を持たれる方が多くなりました。

以前より陶芸体験が出来る施設も多くなり、観光地でも体験できる所もあります。

この様な所では1~2時間程度で器の1~3個を作る事も可能です。

制作した作品は、底削りをした後素焼き、施釉、本焼きを経て着払いで送ってくれます。

但し、最初から土が轆轤(ろくろ)上に据えられ、土殺しも終わっている状態がほとんどで、

難しい所は既に済ませてあるのが普通です。その為、手渡しされると轆轤と土を触る程度で、

ご自分で自由に制作した感じがせず、自分で作ったと言うより、ほとんど指導者が作ってしま

ったと感じる程です。

電動轆轤だから簡単に轆轤が回るからと言って、容易に粘土が形に成るわけでも無く、強い力

も必要になります。最初の感想は、「思った以上難しいかった」」と言う方が多いようです。

1) 轆轤の歴史。

 轆轤は数千年の歴史があり、その起源ははっきりしませんが、紀元前約四千年前のバビロン

 に現れ、紀元前三千年頃にエジプトに広がり、更にインド、小アジアに伝わります。

 一方ギリシャから中央アジアには紀元前五百年前に入って行ったと言われています。

 現在使われている轆轤は、ほとんどが16~18世紀ごろから使用され始め、その姿はほと

 んど変化が有りません。当時は作者本人(又は助手、弟子)が手、又は足を使って回して

 いました。

 エジプト時代にも蹴り轆轤、手ろくろがありました。インドでは作者が立った状態で長い棒

 を孔に挿入し、回転させていました。当然直ぐに止まらない様に、重い回転盤に成っていま

 す。座った状態で回転させる方法もあり、重量は40~50Kg程ありました。
 
 かなりの重労働です。

 助手に回転させる方法もありました。助手が天板とは別の同軸上の円盤を手で回したり、足

 で蹴って回していました。轆轤の支柱にベルトを巻き、別のプーリ(ベルトを巻く円盤)

 にベルトを巻き付け、プリーを助手が手(又わハンドル)で回す方法もありました。

2)現代の轆轤の種類。

 ① 轆轤の形状(構造)は回転する円盤(木製、金属製など)の中心に下から支柱を立て円

  盤を受けます。

  更に円盤の振れ止めの為、円盤の裏の中心に支柱を包む筒状の物を設けます。 

  円盤と支柱及び筒状の物の摩擦を出来るだけ小さくする為の形状や油、現在ではボール

  ベアリングが使用されています。
 
 ② 轆轤は大別すると、手轆轤、蹴り轆轤、機械轆轤、電動轆轤となります。

  ⅰ)手轆轤は円盤の上面の縁に3~4個の浅い孔が彫ってあり、ここに棒を差し込み、

   押して回転させます。電動轆轤の発明前の日本で一般的に使われていました。

   即ち、男性が轆轤の前に胡坐(あぐら)をかき、片手に棒を持ち轆轤を回転させ、止ま

   りそうに成ると、更に回転させながら形成させていました。利き腕が右手の人が多いで

   すので、回転し易い右回転(時計方向回転)で回す事が多いです。

  ⅱ)蹴り轆轤は、上下二層構造で、天板の支柱の下方(同軸上)に円盤があり、この円盤

   を足で蹴る(又は手前に引く)事で天板を回転させる方法です。

   手足を同時に使用しますので、効率的に作陶できる利点があります。

   回転方向は、右足で蹴る事が多いですので、左回転(反時計回転)です。但し足を引い

   て使うと回転になります。

  ⅲ) 機械轆轤は、同じ形の物を量産するのに適した方法です。

   石膏型(器の外側の型)を機械回転する轆轤上に設置し、上部よりコテを下ろし、粘土

   を石膏型に押し付けて形作る方法です。手や指が粘土に触わらずに作陶できます。

  ⅳ)電動轆轤は、手回しや蹴り轆轤と同じ作用をしますが、電気で回してくれるので、

   女子でも轆轤作業が可能にまりました。手作業で作りますので、一個一個形に違いが出

   ます。但し、轆轤作業の難しさが簡単に成った訳ではありません。

以下次回に続きます。
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