わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ37(風船、管作り1)

2020-02-23 16:09:03 | 続 電動ろくろに付いて

電動轆轤の作品の中には、特殊な作り方も存在します。

例えば、風船の様に作品全体を粘土で包み込む作り方や、管(くだ又はかん)状の

作品を作る方法です。尚、これらの方法は以前に記載した記憶がありますので、

記事が重複するかも知れませんが、ご了承下さい。

1) 風船作り。

 轆轤で作品を制作する時、口を広げます。特に食器等は口の無い物は使いものに

 成りません。しかし、風船の様に口の無い状態で制作し、縦又は横方向に分割す

 れば口が出来、器として使用する事も可能です。

 但し、完全に口を閉じ、上部を綺麗な形にしても、内側に突起や捻じれが生じる

 事も多いです。これは、残した上部の位置が多過ぎる起き場合や、上部が肉薄の

 場合に起き易いです。

 ① 風船作りとは、筒状に立ち上げた作品の上部を完全に閉じてしまう作り方

  です。当然中の空気は閉じ込められる事になります。

 ② 閉じる場所は最上部とは限りません。筒の途中分を完全に閉めて、上部は

  別の形にしても良いです。

 ③ 閉じ易きするには、径の小さな方が有利です。

  作りたい形にもよりますが、やや円錐型の方が良く閉じる事ができます。

  又は、閉じる予定の場所から数センチ下から、徐々に細くしてから、完全に

  閉じると、やり易いです。

 ④ 閉じる前には、作品の内側の水は完全に、スポンジ等で吸い取って置き

  底割れを防ぎます。

 ⑤ 完全に空気が閉じ込められていれば、外からの圧力によって、ある程度自由

  な形にする事が可能です。即ち上部(頭)を下に押し付ければ、直径の大きな

  形になり、左右から両手で中央に押し当てれば、縦方向に伸びた形になります。

 ⑥ 作品の壁の一部が薄かったりすると、壁の一部に穴があく恐れがあり、

  穴が開くと当然、風船は「しぼんで」しまいます。一度しぼむと再度膨らま

  せるには、「柄こて」の入る穴を開けなければなりません。

  又、壁の縁が肉薄の場合、作品の口を閉じる事は難しくなり、土に拠れが発生

  する事もあります。

 ⑦ 完全に空気を閉じ込めると、素地の乾燥の収縮と共に全体が縮、内部の気圧

  も上昇し、やがてヒビが入ったり、破裂する恐れがありますので、針等で小さ

  な穴を開け、内部の空気を逃がし、気圧を下げます。

 ⑧ 底削りは必要です。

  底の周辺はかなりの肉厚になり易いですので、余分な土を取り除く必要があり

  その際には、シッタ(湿台)が必要になります。

 ⑨ 筒の途中から完全に閉めて、その上部の土を利用して、別の形にする事も

  可能です。但し、先に途中を閉めると、その直径が小さく、その上部が不安定

  に成りますので、ある程度上部の形を決めてから、途中を完全に閉じる事です

 風船作りで作った形状をどの様な形の作品に仕上げるかは、アイデアと新たな

 発想が必要になり、腕の見せ所となります。一例として人形等が作れます。

 尚、本焼きする際、空気抜きの穴が小さいと、土の乾燥により、穴径が更に小さく

 なり、施釉の際、穴が塞がり易いですので、施釉後には、もう一度ドリルの刃を

 通したり、施釉直後に、息を吹き掛け釉を吹き飛ばす必要が有ります。

2)管作り。

以下次回に続きます。


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