轆轤で制作する際、一般には器の口を上部にして作ります。
但し、根本(底)が極端に狭い(小さい)場合で、上部が開いている時には、作品
自体が不安定になり、轆轤挽する事は困難です。その様な場合、上下を逆さにして
轆轤挽すれば、容易に制作可能です。但し、本焼きで焼成する場合は、上下正常な
状態ではやはり、作品が自立できず、焼く事は出来ません。その為何らかの方法を
とる必要が有ります。尚、施釉しない焼き物の場合は、逆さのままで焼成できます。
逆さに作るには、以下の方法で行います。
1) 口径に成る部分は広く(大きく)取り、ドーナツ状にし中央部は底を抜きます。
紐作りで円形にしたり、一塊の土の中央に穴を開けたりして、密着させます。
轆轤の中央に載せ、轆轤挽して綺麗な円環にします。
2) 上記円環の肉を上部に薄く延ばし、高さを出します。
土を伸ばす際には、円錐形に成る様にします。斜めに伸ばしますので中々
高さは出ません。
3) 底を轆轤挽で作る場合と、底の部分を後付けする方法があります。
ⅰ)轆轤挽で作る場合には、底を作る為にタップリした土が必要です。更に底を
平ら(水平)にする為に大きさも限定されます。空中で大きく平らにするのは
轆轤では難しいからです。
ⅱ) 徐々に口径を細くし、最後に口を閉じます。前々回で紹介した風船作りと
同じです。口を閉じる前に、側面の傾斜をご希望の形に成形しておきます。
勿論、口を完全に閉じればある程度、側面の形を変える事が出来ます。
ⅲ) 口を閉じる際、最上部に土を残しこれをやや水平にして底を作る場合には、
閉じる口の位置を若干下にする必要があります。残り土が少ない場合には、
若干乾燥後に土を継ぎ足します。乾燥が甘いと、頭が重くなり、全体がヘタリ
ます。
ⅳ) 底を後付けする方法で有れば、十分乾燥後に取り付けますので、好みの大きさ
にする事が可能です。底のなる部分の中央に孔を開け、作品の底がこの穴に
差し込む様にして接着面を十分広くとり、作品の倒れるのを防ぎます。
ⅴ) 作品の口縁を削り肉厚を薄くし、形を整える。
逆さに作った作品では、口縁になる場分は、肉厚に成っています。肉薄の場合に
は大きな作品を作る事が出来ないからです。
轆轤面に糸を入れて轆轤面より切り離します。口径を上にして削る際にはシッタを
使い安定した形で削ります。
4) 焼成の問題点。
素焼きまでは、逆さにして焼成する事ができますので、ほとんど問題には成り
ません。問題は高温で焼成する本焼きの場合です。
ⅰ)伏焼きので焼成する。
伏せ焼きとは、口縁を下にして焼成する方法です。主に底に成る部分に釉を掛け、
見た目やテーブルを傷つけない様にする方法です。
当然下に成る口縁になる部分は、施釉はしてありません。このままでは
使用できませんので、口縁は融点の低い釉(楽焼等の釉)を掛けて焼くか、
抹茶茶碗の様な場合には、金や銀製の環を取り付けて、無釉の部分を覆う
場合もあります。
ⅱ) 小さな作品であれば、内側の底の中央を棒で支え宙ぶらりんにして焼く方法
もあります。当然棒の当たる部分は無釉にして置く必要がありますが、出来るだけ
狭い範囲に留めます。尚棒は耐火度の高い土で作ったり、棚板と同じカオーボン
ランダム等を用いる事ができます。底の内側に棒の痕が残りますが、上記の様に、
融点の低い度焼成するか、他の方法でカバーします。
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