4)削り作業での主なトラブルは、以下の事項です。
① 作品を轆轤の中央に置けず、片削りに成ってしまう事。
② 削り途中で作品が移動してしまう事。
③ カンナ(又は掻ベラ)の刃が作品に食い込み傷を付けて仕舞う事です。
④ その他 作品が轆轤とドベ受けの間に落ち、作品が壊れたり、傷付く事が
あります。
⑤ カンナの刃と作品の角度が合わず、削りがスムーズに運ばない事。
⑥ 作品によって削り痕が残り見苦しく成る事もあります。
⑦ 勿論素地の肌理の細かさによって、表面が荒れたり滑らかに成ったりし、
作品の出来を左右する事も稀ではありません。即ち、男性的な豪快さを出す事も
可能ですが、女性の体の線の様に滑らかな表面にする事も可能です。
以下詳しく記述します。
① 作品が轆轤の中央に置けない。
作品を轆轤にセットするには、幾つかの方法が有ります。
ⅰ) 轆轤の天板に直接セットする方法。
作品が左右均等で綺麗な形で轆轤挽されている場合で、特に口縁に凹凸がない
場合の時に行います。尚、天板上に鉛筆等で、口縁よりやや大きめの真円を描
いておくと中心が出易いです。
ⅱ) 轆轤の天板に板状の粘土を敷きその上にセットする方法。
作品の口縁に凹凸がある場合、直に置くと作品は回転と共に首振り運動を起こし、
作品とカンナの隙間も刻々変化し、綺麗に削る事は出来ません。
その為、天板に柔らかい粘土を置き轆轤を回転させ、表面を、平らに削った後
剣先等で口縁に合わせた真円を描き、作品を置きます。当然縁の凹凸により底の
高さも均等に成らず、首振り運動を行いますので、底の高い所を粘土に押し込み
底の高さを均等に近づけます。
ⅲ)シッタ(湿台)を使う方法。
一般に鶴首の様に逆さに置けない場合に使いますが、口径の大きい器や口縁が
真円に出ない場合や縁に凹凸のある場合にも使います。
使い方は、鶴首の様にシッタの内側を使用する場合と、口径の大きな器や、それ以外
の一般的な湯呑やご飯茶碗等にも使用し、シッタの外側を利用します。
シッタには素焼きした物と、生の物があります。素焼きした物は十分水で吸収して
濡らしてから使用します。尚作品の首の長さや口径の違いによって数種類用意
するのが一般てきです。生シッタは汎用性のある素焼きのシッタが合わない場合、
その都度制作する事が多いです。当然ある程度乾燥した後に使います。
a) シッタを轆轤上に作品をセットする。
シッタも轆轤上の略中心に置く必要があります。轆轤を回転させシッタを横方向
から軽く叩き中心に移動させます。叩く力が強過ぎると移動量が大きくなり中々
一定の位置に移動する事が出来ません。力の入れ具合も慣れをないと意外と難しい
です。
b) シッタを柔らかい粘土(止め土)で固定する。
シッタの底周辺の三か所を止め土で留めて固定します。
シッタが動いてしまうと、削り作業は不安定になります。
c) シッタの最上部に柔らかい粘土を巻き付け、轆轤を回転させカンナや竹べらで
削り高さを均一にし、シッタの内外を綺麗な円にします。
尚、柔らかい土を巻き付ける理由は、作品を密着させると共に、作品に傷を付け
ない為です。柔らかい粘土の替りに布を使用する方法もあります。
d) シッタに作品を載せる。
当然作品を中央に載せるのですが、多くの場合最初は作品が斜めに成る事が多い
ですので、何度も作品を移動する事になります。コツは作品の底が水平に成る様
にセットする事です。特に背の高い作品は傾き易いですので注意が必要です。
セットが完了したら、作品とシッタを柔らかい土で固定します。方法は細い紐状の
粘土を作品とシッタの間に挟み込み、シッタの土で紐状の土を巻き込みながら
作品側の真上にの擦りつけます。
e) 作品が轆轤上の中心にない場合、電動轆轤で削ろうとすれば片削りに成って
しまいます。勿論肉厚が厚ければ孔が開く事は有りませんが、作品を軽くする
為に、薄くしたい場合や大きく削りたい場合には、中心からズレル事は危険です
尚、時間は掛ますが、手動で回転させて少しづつ削る事も有ります。
勿論面取りや異形な作品では、自動で削る事はほぼ不可能です。
以下次回に続きます。
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