わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ2(長所と短所)

2019-06-18 15:17:43 | 続 電動ろくろに付いて
電動ろくろはここ数十年の間に出現した機械です。近年昔からの手回し轆轤や蹴り轆轤が使用

される頻度は少なく成りましたが、各々長所と短所を有しますので、現在でも従来の轆轤を

使用し続ける人もいます。

3)電動ろくろの長所と短所

 電動ろくろは大変便利な機械(道具)で、この道具の出現で比較的容易に誰でも陶芸を楽し

 む事が出来る様になりました。但し、施釉や窯焚きは従来通りです。

 (近年は便利な電気窯が普及しています。)

 ① 長所

  ⅰ) 手や足を使って、自力で回転盤を回転させる必要がなくなりましたので、力仕事の

   量もかなり減少し、非力な女性でも轆轤作業が可能に成りました。

  ⅱ) 回転方向もスイッチ一つで選択可能ですので、容易に回転方向を変える事ができま

   す。技術(腕前)が上達すると、配転方向を変える必要が生じる事がありますが、

   容易に変える事が可能になります。逆転の使い方は、後日お話します。

  ⅲ) 回転スピードも作品の形状に合わせて、自由に調節可能ですし、高速から超低速ま

   で自由に設定可能に成りました。回転スピードの話も後日お話いたします。

  ⅳ) 手足を使って、自力で回転させた場合、回転力を与えた時が一番高速に回転し、

   徐々に回転は遅くなります。即ち、時間と共に回転スピードが変化する事に成ります。

   一方電動であれば、常に一定の回転スピードを保持し続ける事が可能ですし、必要に応

   じて、スピードダアップもダウンも可能に成ります。回転盤が軽いので失敗しても、

   慣性も少なくクラッチを切れば瞬時に手で、回転を止める事も可能です。

  ⅴ) 回転軸にボールベアリングを使用していますので、滑らかな回転で、回転盤の振れ

    も少なく成っています。

 ② 短所

  最大の特徴である、回転盤が滑らかに回転する事が欠点になります。

  即ち、作品が左右対称になり、作品に面白みが出ないと考えている方もおられまし。

  ⅰ) 我が国では、昔から作品の歪み(ゆがみ)を鑑賞(作品の良し悪し)の必要条件

   にする傾向があります。特に茶道の抹茶茶碗は綺麗な形に出来上がっているよりも、

   若干の歪みを大切にしてきましたし、現在でもその傾向が存在しています。

   この傾向は、他の作品にも見られ、我が国独自の美意識と考えられます。

  ⅱ) 電動轆轤は精巧にできていますので、綺麗な形に出来易く成っています。

   勿論、轆轤技術が未術な方は、作品が自然に歪(ゆがむ)んでしまいますが、ある程

   度技術を習得した方は、逆に自然に歪ませる事が難しくなり、あえて歪ませる為に、

   外から力を加える作業を行う程です。

  ⅲ) 従来の轆轤で作った作品がに微妙な歪みを持つのは、必ずしも滑らかな回転では

   無く(ベアリングは不使用)、轆轤自体に「ガタ」が有る事も少なからずあり、

   回転スピードも刻々と変化している為でもあります。回転速度も作り手の腕力に関わ

   り、極端な高速や低速はかなり難しい作業です。

  ⅳ) 轆轤作業で同時に手足を使う事は、何らかの調子を取る事にもなります。

   ある手足の動きのリズムが作陶に良い結果をもたらしている可能性もあります。

  ⅴ) 電動轆轤は姿勢が一定になり易いです。

   従来の轆轤は手足を使う為、体全体の運動に成りますが、電動轆轤の場合、足はベダル

   を踏み込むだけですので、姿勢もり固まり易くなります。極端な前屈み(まえかがみ)

   の姿勢は、腰に大きな負担となり、腰を痛める結果になります。長い時間同じ姿勢で

   作陶を続ける事なく、固まり避け時々腰を伸ばすのが、腰痛対策になります。

 以下次回に続きます。  

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