わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ31(トラブル8、蓋物2)

2019-12-13 15:52:22 | 続 電動ろくろに付いて

4) 蓋物のトラブル。

 ① 器と蓋の寸法が合致しない。

  良く起きるトラブルですので、注意が必要です。

  不都合なのは、器と蓋の接合部(合わせ目)がピッタリ合わない事です。

  蓋が大き過ぎ閉まらない事も多いです。但し蓋が小さくて隙間が大きくガタガタ

  しても、使用上は問題に成りません。当然、この様に成らない様に、一個作りの

  際には、現物合わせで隙間を調整する事になります。

  合わせ目が円形の場合には一か所だけでなく、どの方向でも蓋が合致する様に

  します。

 ② 蓋が歪む為に組み合わない。

  蓋の形状にもよりますが、蓋が歪む事も有ります。特に轆轤挽した直後では、一番作品

  が縮みますので、狂いも大きくなり易いです。その他焼成中にも歪みます。

  一般に、蓋は丸味のある凸状に成っている物が多いです。平らな物は凸状と比べて変形

  する事が多いです。更に蓋の直径が大きい程、乾燥時や焼成時に歪み易いです。 

  器の口縁周辺を若干高くし、落とし蓋にすると納まりの良い形になります。

 ③ 焼成で起こるトラブルは、釉が合わせ目に入り込み、溶着してしまう事です。

  その為、蓋を開ける事が出来なくなります。この場合の解決策は、溶着部分を物理的

  方法で剥がす事になります。具体的には、溶着部分が一か所の場合で、溶着範囲が比較

  的狭い時には、溶着部分を根気よくハンマー等で軽く叩き続ける事です。

  但し、溶着部分を破壊する恐れも大きいですので、クッション材を利用して慎重に

  作業します。ある程度蓋が動き始めたら、テコの応用で先の細い金属類で、こじ開け

  ます。更に細工用のダイヤモンドヤスリの先端が、蓋と本体の隙間に入る事が出来る

  場合には、その隙間にこじ入れて徐々に削り取る方法もあります。

 ④ 上記の状態に成らない為には、施釉の際接合部分に釉が付着させない事です。

  蓋側と本体側の両方共必要です。若し、釉が掛かった場合には、水で濡らした

  スポンジ等で綺麗に拭き取ります。更に、水で溶いだ水酸化アルミナ等の溶着

  防止剤を筆等で塗っておきます。

  基本的には、蓋をした状態で、本焼きしますが、蓋と本体を別々に焼成する

  事もあります。前者で有れば、例え形が狂っても、その位置でなら蓋が出来る

  事に成りますが、後者であれば、溶着する恐れは在りませんが、形が狂った

  場合には、何処でも合わない事になります。別焼きの場合、施釉する範囲は

  若干広くなりますが、施釉の為肉厚が大きく成りますので、釉の厚みにも注意

  が必要です。又、蓋に蒸気抜きの為に小さな孔を開ける場合があります。

  この場合も施釉後に、息を吹き掛けて釉を飛ばします。

 ⑤ 溶着部分が広い場合には、残念ながら蓋が取れず諦める事になります。

  蓋物の場合、蓋の取れない作品は、ほとんど使いものに成りません。

  最初から作り直す方が、肝銘です。

 ⑥ 蓋物で注意する点は、器内部の物(食品、料理等)を取り出す際に、器側の

  口縁が邪魔になり易いですので、成るべく簡単な構造にする事です。

  特に内側に反り返る蓋受けでは、器側の口径を狭くしますので、出来るだけ狭く

  するか、無くす構造にした方がより実用的になります。  


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