前回に続き、作品の「そり」「歪み」に付いて、述べます。
原因として、「土の記憶性」以外に、以下の事が、考えられます。
2) 乾燥の仕方による場合
① 内々に「反る」 (内側に、凸状に、反る)
板(タタラ)で作った、箱型の容器は、乾燥するに従い、全体に内側に、反り易い
です。即ち、容器の底の中央部分は、持ち上がり、周囲の側壁(側板)は、
内側に弓なりに反ります。
対策として、
ⅰ) 板状の物(板物)は、十分乾燥させてから、組み立てる事です。
但し、板物は、それ単体でも、乾燥すると、中央が持ち上がる「反り」が
出易く、成りますので、数度ひっくり返し、両面が均等に、乾かす様にします
(網状の物に載せて、両面を、均等に乾燥させる方法も有ります。)
「反り」が発生したら、直ぐに、平らに成る様に、逆方向に力を加えて、
直します。
ⅱ) 箱型に、組み立てたら、内側に「反る」事を、予見して、全体を太鼓状に、
「反らせ」ます。
② タタラで作った、平たい皿なども、中央部分が、上部に「反り」が発生
します。この場合、乾燥が進むと、周囲を持ち上げる作業が、難しくなるので
まだ「反る」恐れが有る段階でも、「形作り」に入ります。
(周囲を持ち上げる形では、「土の記憶性」の関係で、若干高く、持ち上げ
ます。)
乾燥が進み、更に「反り」が進んだ時は、逆に反らせて、補修します。
又、板皿の裏底に、長手方向に、2~3本の溝を掘る方法も有ります。
これは、滑り止めの効果の他に、「反り」を防ぐ効果も有ります。
③ 乾燥が均一でない場合、乾燥が速い部分から縮みます。
乾燥の甘い部分は、引っ張られて、変形し「歪み」ます。この乾燥の甘い
部分が、乾燥しても、 元の形には、戻りません「歪んだ」ままです。
対策として、
ⅰ) 乾燥が均等に成る様に、出来るだけ、肉厚を均一にします。
ⅱ) 乾燥が均一に成る様な、環境に作品を置く事です。
以下、次回に続きます。
陶芸作品のそり歪み
参考にして頂ければ、有難いです。