ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

きむちナイト

2010年03月28日 | 家族とわたし
一昨日、トイレットペーパーが完全に切れ、昨日、野菜と果物がほとんど家から消えて、いくらなんでも買い物に行かないとヤバくなった我が家。
ペーパー類と炭酸水はコストコで、食料はコリアンマーケットで仕入れると決まっています。
お尻を拭けなくなるとかなり困ると思ったのか、珍しく旦那がひとりでコストコに買い物に出かけて行きました。
そして今日、頭がボワボワのわたしを乗っけて、再度旦那がコリアンマーケットに車を走らせてくれました。

週末の試食品コーナーがあちこちにあって、そのいちいちに立ち止まって試食するわたし達。そのたんびに「韓国人でしょ?」と話しかけられるわたし。

今日はこれを買いました。どっか~ん!



さてなんでしょう?丸ごとの白菜のキムチ漬け、でございます。上のおっきなビニール袋の中に、ふたつの白菜が入っていました。



まな板の上にごろんと寝かせ、一口サイズに切って、それを容器に移していきます。大きな瓶にひとつめの白菜、これはふたつめの白菜です。
オイスターやらイカやらも一緒に漬け込まれた、それはそれは新鮮でコクのあるキムチ。けど……どうやって食べ尽くすのか……これが大きな課題です。

そしてこれ。



はまぐりの一種らしいのですが、ちゃんとした名前を知りません。
でも、すごくいい出汁が出て、これまた新鮮でとても美味しい貝です。
貝殻の緑色が好きで、試しに買ってみたのが去年のある日。それからはうちの食卓の常連さんです。
日本での貝のお味噌汁は、ひとり多くて4個が限界の我が家でしたが、この貝はとても安くて、今日もひとり10個以上いただけました。
贅沢な気持ちにならせてくれるありがたい貝さんです。


今夜は久しぶりの、心がゆったりな夜。 
わたしがゆったりしていると、なぜだかTもKもいつになくゆったり。
もしかしたら我々親に気を遣っていたのかもしれないけれど、今夜はあれやこれやといろんな話をしながら、夕飯の後、『たい焼きとお茶』タイムまで付き合ってくれました。
少し前からDちゃんが友人の家に泊まっているので、本当に久しぶりの一家団欒になりました。
今年のはじめはまだ、3月の末から始まるTの、日本での新生活のことを心配していたので、そのことを思うと、今夜のような時間を一緒に過ごせるなんて夢のようです。

嬉しくてちょっと食べ過ぎてしまいました。家中キムチなかほりが漂っております。明日、大丈夫かなあ……。

ライバル

2010年03月28日 | 音楽とわたし
オーディションの朝は冷え込んだ。
喉を使い過ぎない程度に何回か歌い、ピアノパートだけの練習をした。
指が疲れたらお湯に少し浸し、マッサージをしてやるとすぐに回復するけれど、充分に訓練されていない喉が疲れてしまうとそう簡単にはいかない。
なので、練習したいだけするのはピアノパートで、歌のパートは量の加減をよく考えないといけない。

朝の仕事が終わり、いよいよ後はオーディションに出かけるのみとなった途端、胸がドキドキし始めた。
おいおい、まだまだ5時間もあるんやで~と自分の心を窘めるのだけれど、てんで効果が無い。
昨日から出だした鼻水が、喉に到達するのを阻止しようと、異常に神経質になってしまって、ティッシュがどんどん無くなっていく。もったいなくなって、トイレットペーパーに代替えした。
今からこんなんではどうしようもない。冬に戻ったような寒さに体も冷えきってしまっている、
よっしゃ、お風呂に入ろう。
湯気がゆらゆらするお風呂につかり、湯の中の自分の体をしばらく見つめていた。
もう若くない。消費量を上回る摂取量を如実に物語っている腰や腹回りの脂肪をつかんでみる。
でも今日は、この脂肪も一緒に、ひとつの楽器になるんだなあ。そう思うと、自分の体がなんとも愛おしくなって、いつもより丁寧に優しく洗った。

送ってくれる旦那が仕事を終えて家に戻り、さあ出発。
レモンの絞り汁たっぷりのはちみつレモンを作り、マグボトルに入れ、思いっきりの冬装束で車に乗りこんだ。

喉の調子が気になって仕方がない。旦那がそんなわたしの体をポンポンと軽く叩く。
「大丈夫、落ち着け」

ホールに入ると、一番の演奏者、ソプラノ歌手と8人のチェリストがズラリと舞台に勢揃いして、最後の打ち合わせをしていた。
チェロばかり8人での伴奏は聞いた事が無いのでとても楽しみにしていた。
マンハッタンミュージックスクールに在籍している若手のチェリストさん達をはじめとする老若男女、それぞれ勝手に自分のレパートリーを弾いているのを聞いていた。
フランクを一緒に演奏したいなあという人をひとり見っけ!名前をちゃっかり教えてもらった。

今回のオーディションは、カーネギーの中ホール『ザンケルホール』で演奏できるというので、それを目的にいきなりやってきた人が半数以上も居た。
「これを機会にACMAのメンバーになります」と言うのだから、それを断る理由が無い。けれども、彼らの中には、演奏会が終わったら、適当に理由を作り、それっきり退会する人も出てくるだろう。
そんなカーネギー目当ての、プロに限りなく近いけれども、他のことで生計を立てている音楽愛好家さん達が、昨日のオーディションの大半を占めた。

さてわたし……歌った。めちゃくちゃ妙な緊張を感じながら。思い残すことは……ない。
後でいろんなピアノ人がやってきて、「伴奏をするから歌ってくれ!」と熱く誘ってくれた。
「メゾソプラノデビュー!」と言われ、「本格的に訓練を受けるつもりはないのか?」と尋ねてももらい、自分の歌が審査のマイナス要素にはならなかったようで一安心。

オーディションには、他に3人のソプラノ、1人のメゾソプラノ、それにテノールとバリトンの歌手が登場した。それぞれの持ち味を生かした素晴らしい歌と演技だった。
しかも、その7人のうちの5人が初めて現れた人達。ああ、A子だってそのひとりなんだった。だから7人のうちの6人になってしまう。
レギュラー会員のソプラノ歌手チョピンは、その6人に比べると見劣りしてしまう。彼女は昨日までずっと、ACMAでのソプラノスターだったのに……。
彼女にしてみれば、昨日のオーディションは、なんとも納得のいかない、もやもやとした暗雲の立ちこめる空間だったろうと思う。
オーディションを受けるための資格規定を練り直さなければ、この先もきっと、チョピンと同じようなもやもやを感じる常連メンバーが増え続ける。
今回、ほとんどプロのA子と組むわたしこそが、ある意味ズルい組の筆頭頭なので、こんなことを言う資格など無いのだけれど……。

オーディションの結果は来月半ば頃に出る。