



20世紀初頭のイギリス。文化的な中産階級のシュレーゲル家の次女ヘレンは、裕福なウィルコックス家の息子と浮名を流してしまう。そんな妹を気遣う姉マーガレットは、ウィルコックス家の当主であるヘンリーの妻ルースと親しくなる。病で余命いくばくもないルースは、マーガレットに愛着ある別荘ハワーズ・エンドを贈ろうとする。しかしルースの死後、彼女の遺言書はヘンリーや子どもたちによってもみ消されてしまい…
「眺めのいい部屋」「モーリス」に続き、ジェームズ・アイヴォリー監督がE・M・フォースターの小説を映画化。前2作以上に高く評価され、アカデミー賞でも主要数部門でノミネートされ、主演女優賞、脚色賞、美術賞を受賞しました。

最近、こういう格調高い文芸作品、作られなくなりましたね。ララランドとかムーンライトとかも悪くないのだけど、たまにでいいので庶民には縁のないリッチでハイソな世界を描いた映画も観たい。TVシリーズの「ダウントン・アビー」が大人気でしたが、やっぱ何かTVよりも映画のほうが芳醇で奥が深いんですよね~。そして、同じお金持ちの話でも、アメリカの大富豪や成金セレブと、英国の貴族や上流社会とでは、まるで違います。この映画の人々は、まったく贅昧三昧じゃない、むしろ吝嗇なんだけど、生活のためにあくせく働いたり、家事や育児に追われたりといったドメスティックな苦労など気配もなく、みんな優雅にキチンとした趣味の高い日々を送ってるんですよ。ああいった生活、本当に憧れます。私も贅沢はできなくてもいいので、きれいな屋敷で大勢の召使いにかしずかれて、生計を立てていくことを気にせず暮らしてみたいです。

この作品は、「眺めのいい部屋」や「モーリス」のような恋愛映画ではなく、どちらかといえばイギリスの階級社会の中にある格差や軋轢に右往左往したり、お金や土地のことで揉める人間模様をメインに描いてる映画です。階級差は古今東西ですが、イギリスのそれは歴史的にもお国柄的も、とりわけドラマになりやすい面白さを孕んでますよね~。露骨でありながら慇懃でもあるところが、ほんと英国って感じ。この映画では、シュレーゲル姉妹と関わりをもつレオナルド・バストという青年が、労働階級であるがために翻弄されたり辛酸をなめたり屈辱を味わうのですが、階級差ってほんと理不尽で不公平だよな~と、みじめな彼を見ていて同情せずにいられませんでした。「モーリス」の森番アレックもそうでしたが、頭も性格も良くても、逃れることができない、あきらめることのほうが圧倒的に多い身分の悲しみに暗澹となります。私も似たような身分だし…

アイヴォリー監督の文芸作はいつもキャストが素晴らしいのですが、この作品はとりわけ行き届てる感じ、集大成的な顔ぶれとなっています。ヘンリー役はアンソニー・ホプキンス、ヘンリーの後添えとなるマーガレット役はエマ・トンプソン。

ホプキンスおじさまは、何かもうレクター博士にしか見えなくて

アイヴォリー監督作品の常連だったヘレナ・ボナム・カーターが、ヘレンをチャーミングに演じてました。

実際にも貴族出身のヘレボナさんですが、しがらみや因習に縛られない自由奔放なお嬢さまを演じさせたら、やはり右に出る者はいません。めっちゃ勝気でアグレッシヴなところも彼女らしい。いつもに増して、眼光鋭いヘレボナさんでした。時代劇の衣装が誰よりも似合うところも、彼女ならでは。この映画では仲良し姉妹だったけど、後にヘレボナったらエマ・トンプソンからケナス・ブラナを略奪しちゃうんですよね~。映画よりも面白い私生活でのドロドロ関係です。
ヘンリーの妻ルース役は、大女優のヴァネッサ・レッドグレイヴ。前半だけの出演でしたが、アンソニー・ホプキンスが可愛く見えてしまうほどの存在感の強さ。哀れなレオナルド・バスト役は、エマ・トンプソン主演の「キャリントン」でも典型的な英国美青年だった、最近はドミニク・クーパー主演のドラマ「フレミング」などバイプレイヤーとして活躍してるサミュエル・ウェスト。モーリスことジェームズ・ウィルビーが、ヘンリーの長男役。モーリスとは打って変わって、スノッブでセコい役でした。

この映画の主役は、やはりハワーズ・エンドでしょうか。決して壮大なる館ではないのですが、優美さと安らぎに満ちていて、こんなところで引きこもりたい~と、心の底から思ってしまいました。オスカーを獲っただけあって、ハワーズ・エンド内やシュレーゲル姉妹の家とかの室内装飾、ティータイムのセットでさえ、趣深い美しさです。
ジェームズ・アイヴォリー監督は、とんと新作を発表しなくなりましたね。亡くなったわけではないようだけど、ご高齢なのでもう引退状態なのでしょうか。
これ、ヘレナ信者を自称していながら、未見!!! なんたるザマ。
いや~、たけ子さんのレビュー拝読し、絶対見ようと心に誓いました。
エマ・トンプソン、あんまし好きじゃないけど、イイ脚本も書くし、素晴らしいと思います。
ケネス・ブラナー、ハッキリ言って嫌いなんですが、ヘレナもあんまし男を見る目がないのか、私から見ると、???な男性遍歴です。
ま、才能ある男が好き、ってことなんでしょうが、、、。
ヘレナとDDLがカップルだったらサイコーなのに。彼女にはDDLはマジメすぎてつまんないのかも。
とにかく、この映画、必ず見ます!
建物に関しては撮影地に不自由しないと思いますが、細かい時代考証が難しいのかな?
映画では日本の幕末・明治に該当する時期を扱ってます。
あとアメリカのテレビドラマは地名(州名・市名)を口にする頻度があまりないような。
おや!意外なことにハワーズエンド、未見なのですね!ぜひご覧になっておくれやす~。すねこすりさんのレビュウ、拝読したいわ~。ヘレナはこの頃、女優としては全盛期でしょうか?彼女ならではの魅力の集大成的な演技です。
エマ・トンプソンの「いつか晴れた日に」、佳作ですよね。また観たいです。ケネス・ブラナは、冬に「オリエント急行殺人事件」が公開されますね!キャストが言われてるほど豪華とは思えないのは私だけ?
ヘレナ&DDL、お家柄といいお似合いですね。DDL、ほんとに引退しちゃうのか~。もったいないですよね~。ナベツネや森元首相みたいな老害が代わりに引退すればいいのに。
えびすこさん、こんばんは!
嵐が丘、昼ドラで昔やってましたね!高木美保だったっけ?
アメリカの地名といえば、星野源の舞台「テキサス」がwowwowで放送されるので楽しみ♪