まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

窓からロマンスが見える

2008-03-03 | イギリス、アイルランド映画
 ♪灯りをつけましょ爆弾に
 お花をあげましょ枯れた花
 5人ギャングに殺されて
 今日は悲しいお葬式

 幼少の頃より歌いつがれてきた、ひな祭りの替え歌。また独り、そっと口ずさむ日がめぐってきました。今年も我が家のお雛様は、お蔵の中に封印されたままです。きっと恨めしげに髪の毛が伸びてると思うので、怖くて出せません♪皆様は、朗らかに桃の節句を楽しまれたことでしょうか。

 「眺めのいい部屋」
 20世紀初頭。イギリスの良家の令嬢ルーシーは、旅先のイタリア・フィレンツェで、魅力的な青年ジョージと知り合い、ときめきと戸惑いを覚えて...
 1986年の作品だから、公開からもう20年以上経ってるんですねえ。ジェームズ・アイヴォリー監督は、この後「モーリス」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」と、英国文芸映画の秀作を連発しましたね。
 世間知らずだけど怜悧なヒロインが、周囲にはない匂いのする青年に惹かれるんだけど、やっぱメンドいことになるのはイヤだから、同じ世界の男と結婚しようとするんだけど、それも何か違う気がするし...と、揺れる想い~♪by ZARD という、お話じたいはシンプルかつアリガチなもの。この映画の魅力は何といっても、英国の上流社会の優雅で上品な生活を、格調高く描いているところ。
 イギリスのハイソライフ&ピープルって、金にあかせて贅沢してるって感じは、ほとんどしない。どちらかといえば、質素で慎ましく、金にもシビア、ていうか、ケチ(馬車の駄賃のことで騒ぐシーンとかで、それがよく描かれてた)。享楽よりも、気品ある美しい生活を保つことをモットーにしているところが、いにしえの日本の貴族と似た感じがします。華美で派手なことが高級と信じているようなアメリカや韓国の成金とは、感覚が違うようです。でもホント、あくせく働かず、召使にかしずかれ、静かで美しい環境で日がな一日、音楽や読書、テニス、お茶や庭いじり、たまに海外旅行して暮らしている彼らが、心の底から羨ましくなった。
 男女とも細かい部分まで品のある衣装が、ほんと素敵...だけど、いつも身だしなみを整えておかねばならないのも、辛いなあ。ジャージや下着だけでウロウロ歩く生活に慣れてる者としては。
 フィレンツェの街並み、英国の田舎の風景も美しい。ほんと絵画のように撮影されています。話やムードは、ちょっと緩慢なので、ヘタすると睡眠誘導されちゃいますが、あふれている美しいものを見ることを目的にすると、すごく楽しめるかも。
 それと、今となると超がつく豪華なキャストの好演&名演も、見所のひとつです。
 ルーシー役は、デビューしたばかりの頃のヘレナ・ボナム・カーター。当時20歳なので、当たり前ですが若い!いわゆる美人ではないけど、可憐でたおやかなブリッコ系ではなく、意思が強そうで(鋭い眼光!)賢そうなお嬢様なところに好感。ちょっとタカビーでお澄ましやさんな演技がナチュラルなのは、やはり彼女が実際にも良家のお嬢様だからでしょうか。ハリウッドのニセお嬢様女優とは、かもし出すものが違う気がします。ティム・バートン監督と結婚して、キワモノ系もイケる女優になるとは、この時いったい誰が想像し得たでしょうか。
 ルーシーのいとこシャーロット役、マギー・スミスが一番おいしい役かも。いい人なんだけど、ちょっとKYというか、みんなをイラっとさせてウザがられる老嬢、クスっとさせられます。フィレンツェで仲良くなる作家役で、ジュディ・デンチも登場。「ラベンダーの咲く庭で」より前の、2大女優のツーショットが見られます。
     
 そして、今年2度目のオスカーを受賞した、ダニエル・デイ・ルイス!当時29歳ぐらい?ルーシーと婚約する青年セシル役。いや~やっぱ、ハリウッドのチンピラ俳優とは、何もかもが違いますね。ホンモノの貴族ってこんな感じなんだろうな。見た目も立ち振る舞いも、ほんと優雅で洗練されてます。スノッブなイヤ味と滑稽さも、上品な香水のように匂わせる名演!ルーシーに下手くそなキスしたり(こいつ、気取ってるけど確実に童貞やな!と笑)、ルーシーに一方的に婚約解消されてションボリする姿、可愛い!「マイ・ビューティフル・ランドレット」も同年の映画なんですよね。信じられない。スノッブな貴族青年と、下町のパンクなゲイ青年が、同一人物だなんて。映画界をアっと言わせ、早くも現代最高の俳優誕生!と瞠目させた当時のデイ・ルイスです。
 ジョージ役は、ジュリアン・サンズ。少女漫画ちっくな美男子。ルーシーの弟役は、「モーリス」でも可愛かったルパート・グレイヴス。沼で水浴びシーンで、ふたりともスッポンポン!しかも長いんだよ、このシーン。羞恥心が少しでもあったら、絶対できないシーンだよなあ。二人とも、最近お目にかからないけど...おっさんになった姿は見たくないので、それでいいかも...
 そーいえば、英国美青年ブームってあったよなあ。生き残って活躍中なのは、デイ・ルイスとヒュー・グラントぐらい?ハリウッドで大成功したとはいえ、ヒューグラはシワクチャで既に爺さん化してますよねえ。その点、デイ・ルイスはキレイに年とってますよね。スゴい演技と評判の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(うまい邦題、つけてほしかった)楽しみ♪
 
 

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2 コメント

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美しい生活・・・・・・ (ゆきやっこ)
2008-03-04 22:08:39
たけ子さん、今晩は~♪
この映画、大好きです。あの麦畑?でのラブシーン、美しかった・・・・
英国の貴族世界のお話って、面白いですよね。私も、派手で成金主義のお金持ちよりも、気品ある美しい生活の方がいいなぁ~。なんともゆっくりと時間が過ぎていく生活。いいですね・・・・・そこには文化があり、優雅な世界が広がっているんでしょうね。
私も、たけ子さんと同じく、「存在の耐えられない軽さ」も大好きです。あの時のダニエルは、飄々とした色香があってよかった。あの映画を観た時、女は、あの二人の女のどちらかに分類されると思いました。「一途に愛を求める女」と「お互いの自由を享有できる女」。たけ子さんはどちらでしょう。私は・・・・レナ・オリンが演じた後者の女だと思います。ジュリエット・ビノッシュが演じた前者の女のように、一途ではないから・・・・。
そういえば、あの頃、ダニエルはジュリエットとお付き合いしていたみたいですね。男前好きですね、彼女。羨ましい恋愛遍歴ですけど・・・・。
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graceful life (松たけ子)
2008-03-05 20:39:51
ゆきやっこさん、こんばんは!
愛の花咲く~麦畑~♪オヨネーズの歌がバックに流れてきそうな?シーンでしたね!
ああ~私も、贅沢はしなくていいので、俗な心配しなくていい優雅で文化的な気品ある生活、してみたい~!
「存在の耐えられない軽さ」my best 3映画には絶対入ります!これと「トリコロール赤の愛」は、たまにビデオを取り出して観てます。
私はどちらかといえば、テレーザ系かなあ。サビーナみたいな奔放さに憧れるけど、そうなるには自信と勇気がなさすぎ。誰かを一途に愛することで、自己満足、自己陶酔するタイプかも...
ビノシュ、DDルイスともデキてたのか~ヤルなあ。つきあった男、ひとりでもいいので私に回してほしいです♪できたらブノワかオリヴィエ・マルティネスをシルヴプレ~!

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