まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

謎解きはランチの前に

2020-02-12 | 北米映画 15~21
 「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
 世界的な推理小説家ハーランが、家族が集った誕生パーティの翌朝に死体となって発見される。ハーランの莫大な遺産をめぐって家族が色めき立つ中、名探偵のブノワ・ブランは独自の捜査と推理で犯人を突きとめようとするが…
 評判通り、期待以上に面白かったです!田舎にある広大な屋敷、そこに集まったワケアリ家族、そして殺人。アガサ・クリスティー風ミステリーな舞台設定と登場人物、だけどイギリス的な優雅さとか上品さはなく、アメリカンな下品さとパワーであふれたハイテンションドタバタコメディ、という珍味な作品でした。あっと驚くトリックとかアリバイ工作とか、思いもよらぬ真犯人と動機、といったものは正直ありません。本格的ミステリのファンからしたら物足りないかもしれません。どちらかといえばミステリよりもコメディ色が濃ゆいかも。容疑者たちの醜い遺産争族っぷりが、滑稽に愉快に描かれています。

 それにしてもアメリカ人って。やっぱイギリス人とは違いますね~。すごい豪快で正直。殺人で小細工とか似合わない。オゲレツな口汚い罵り、このヤロー!!とすぐに掴みかかろうとする攻撃性などは、アガサ・クリスティーの世界ではほとんど見受けられない、まさにアメリカン気質。でも陰湿さとか病的なところがないというか、あっけらかんと明るいところもまたアメリカン。一家はみんな移民の看護師マルタに対してフレンドリーで気前がいいけど、実は彼女を見下していて、下々の者に優しくしてやってる、施してやってるというバレバレな親切ごかしな偽善、格差の現実は、「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」や「パラサイト 半地下の家族」の金持ち一家とカブります。相続人になったマルタに手のひら返しの差別意識丸だし攻撃を開始、泥棒!出てけ!と大騒ぎする一家は、移民を嫌い排除しようとするトランプ大統領が君臨する今のアメリカを思い出させました。皮肉なラストは、トランプさんへの揶揄のようでした。

 この映画、脚本も演出もすぐれていますが、キャストがこれまた素晴らしいです。地味だけど、いい役者ぞろい。みんな楽しそうにノリノリで好演してます。まず、名探偵ブノワ・ブラン役のダニエル・クレイグ。見た目はもう007にしか見えない彼ですが、表情や細かな仕草などで007色を払拭し、007とはまったく別人の新キャラになりきってます。彼ってもともと007になる前は、地味ながらいい役者として評価は高かったんですよね~。スーツが相変わらず似合う!イギリス風の紳士探偵だけど、実はアメリカ南部の田舎おっさん、という実態も笑えた。ちょっとキザなダンディ、トボけた感じでグイグイしつこく迫り、突拍子もない言動をするブランは、ポワロというより古畑任三郎系?そんなに名探偵とは思えず、どちらかと言えば事態をややこしくする困ったおじさんって感じでしたが。

 長女役はベテランの名コメディエンヌ、ジャーミー・リー・カーティス。カッコいいスタイリッシュ婆さん!彼女の夫役は、どこかで見たことがあるような男前おじさん。あ!ドン・ジョンソンだ!マイアミバイス!な、懐かし~!今でもカッコいいわ~。素敵熟年だけど軽薄な言動で笑いを誘います。次男役はハリウッド随一の怪優マイケル・シャノン。そこにいるだけで不気味!亡き長男の嫁役はトニ・コレット。「ヘレディタリー」での超怪演には度肝を抜かれましたが、この作品でも顔芸が強烈でした。殺される家長ハーラン役は、老いてから輝きを増した名優クリストファー・プラマー。苦み走った冷酷そうな鬼顔、でも切ない親心が泣かせます。重厚かつエレガントな雰囲気は、やはり英国俳優ならでは。

 看護師マルタ役のアナ・デ・アルマスは、実質のヒロイン。心優しく誠実だけど、いざとなるとしたたかにもなるチャーミングな役で、ダニエル・クレイグより出番も見せ場も多かったです。嘘をつくと嘔吐するという変な癖が、犯人を追い詰めることになる伏線にもなっていて、脚本がほんと優秀。いちばん美味しい役もらってのは、孫(長女の息子)役のクリス・エヴァンズかも。あの真面目で正義感あふれたキャプテン・アメリカが!人もなげな傲慢不遜さ、下品で憎々しい罵詈雑言と毒舌が非道すぎて爆笑しちゃいました。キャプテンアメリカ以外の彼を見たのは初めてでしたが、ズルい役イヤな役もなかなかハマってました。そしてどんな役でもイケメン。セーターがカジュアル、かつアメリカの金持ちっぽさをよく出してました。黒人刑事役のキース・スタンフィールドもなかなかのイケメンでした。

 美しくも怪奇な刃の館も見どころです。あんなに広いと管理が大変そう。奇抜でユニークなインテリアや置き物、面白いけどあんないろんなものに囲まれてたら落ち着いて暮らせんわ~。この映画、続編も決定したみたいで楽しみ。またいい役者をそろえてほしいものです。ダニエル・クレイグ、007を卒業してもまた新シリーズで稼ぐ予定?日本でぜひリメイクしてほしいわ。理想妄想日本版は…

 ブノワ・ブラン ・・・ 本木雅弘
 マルタ ・・・ 小松菜奈
 長女の息子 ・・・ 竹内涼真 
       ・
 長女・・・山口智子
 長女の夫・・・ 唐沢寿明
       ・
 次男・・・ 竹野内豊
 長男の妻・・・ 鈴木保奈美
       ・
 刑事A ・・・ 小澤征悦
 刑事B ・・・ 金子大地
 長男の娘・・・ 新木優子
 次男の息子・・・ 鈴木福
 家政婦・・・ 筒井真理子
       ・
 ハーラン・・・ 片岡仁左衛門

 こんなん出ましたけどぉ~?
 熟年美男モックンに名探偵役をやってほしい!ヤな男な涼真くんも見てみたい。唐沢&山口夫妻の久々の共演や、山口&竹野内のロンバケ以来の姉弟役も話題になること間違いなし!


 
 
 
 
 

 
 
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